【親子問題】家を借りる際の保証人・保証会社の問題|無職の子のために親が引き受ける前に
本記事は、2025年6月1日に施行された改正刑法(拘禁刑の導入、再度の執行猶予の要件の見直しなど)を反映した内容です。実際の見通しは、判決の内容や個別の事情によって異なります。
子が執行猶予付きの判決を受けて家に戻ってきた後、以前と同じ仲間と連絡を取り始めた、お金の使い方がまた荒くなってきた、といった変化に気づいて不安を抱える親御さんは少なくありません。「今度何かあれば刑務所に行くことになるのではないか」「親として何ができるのか」と考えながらも、本人に強く言えば反発されるのではないかと迷う場面もあると思います。
この記事では、執行猶予中に新たな問題が起きた場合に法律上どのような扱いになるのかを整理したうえで、親ができること、避けたいこと、相談できる窓口について解説します。
執行猶予中に問題を起こすと、法律上どうなるのか
執行猶予は、有罪判決で言い渡された刑の執行を一定期間見合わせ、その期間を問題なく過ごせば刑の言渡しの効力がなくなるという制度です。裏を返せば、猶予期間中の行動によっては、見合わせていた刑が執行されることになります。
新たな罪で実刑になると、猶予は必ず取り消される
猶予期間内に新たな罪を犯し、拘禁刑の実刑(執行猶予の付かない判決)を受けた場合、前の執行猶予は必ず取り消されます(刑法26条1号)。この場合、前の判決で言い渡された刑と新しい刑の両方を服役することになるため、刑務所で過ごす期間が想像以上に長くなるおそれがあります。
罰金や遵守事項違反でも取り消されることがある
新たな罪が罰金で済んだ場合や、保護観察付きの執行猶予で守るべき事項(遵守事項)を守らず、その情状が重い場合には、裁判所の判断で執行猶予が取り消されることがあります(刑法26条の2)。「罰金だから大丈夫」「軽い違反だから問題ない」とは言い切れません。
再度の執行猶予は、改正で要件が広がったものの限られた場面にとどまる
執行猶予中の再犯でも、もう一度執行猶予が付く「再度の執行猶予」という制度があります。2025年6月の改正で、対象となる刑の上限が1年以下から2年以下の拘禁刑に引き上げられ、保護観察付きの執行猶予中の再犯であっても、1度に限り再度の執行猶予が認められる余地ができました(刑法25条2項)。
ただし、「情状に特に酌量すべきものがある」ことが要件とされており、実際に認められる場面は限られています。前回の裁判で示した反省や家族の監督が機能しなかったと受け止められやすい点も、見通しを厳しくする事情になります。
薬物事件での実務上の見通しは薬物事件で再度の執行猶予は可能か|要件と実務の壁でも取り上げています。
猶予期間の満了間近でも油断はできない
改正前は、猶予期間内に罪を犯しても、新しい判決が確定する前に猶予期間が過ぎれば、前の執行猶予を取り消すことができないという問題がありました。改正後は、猶予期間内に犯した罪について期間内に起訴されていれば、期間が過ぎた後でも執行猶予が取り消されることがある仕組みになっています(刑法27条2項以下)。満了日が近いからといって、気を緩めてよい状況ではありません。
| 状況 | 前の執行猶予の扱い |
|---|---|
| 新たな罪で拘禁刑の実刑 | 必ず取り消される |
| 新たな罪で罰金 | 取り消されることがある |
| 保護観察の遵守事項違反(情状が重い場合) | 取り消されることがある |
| 新たな罪で再度の執行猶予 | 取り消されない(要件は厳格) |
「問題を起こしそう」と感じる兆しを整理する
親御さんからのご相談では、次のような変化が不安のきっかけになっていることが多くあります。
- 事件のときと同じ相手や仲間と、また連絡を取り合っている。
- 出どころの分からないお金や物を持っている。
- 薬物やギャンブルをやめたと言っていたのに、生活リズムや言動が変わってきた。
- 被害者に連絡しようとしている、または被害者の近くに行っている様子がある。
- 家の中で暴言や物に当たることが増え、親への暴力も出始めている。
どの兆しかによって、優先して動く先は変わります。依存の問題が疑われるなら治療や支援の窓口、被害者への接触が心配なら弁護士や警察、家の中の暴力なら親自身の安全確保、というように、まずは何が起きているのかを分けて考えることが大切です。
親にできること
執行猶予中の子に対して、親が本人の行動を法的に縛ることはできません。それでも、判決の条件を把握し、支援者とつながり、生活の土台を整えることで、問題が起きる前に手当てできる余地は残っています。ここでは、親が取り組みやすい順に見ていきます。
判決の内容と条件をあらためて確かめる
最初に、判決書や判決時の説明をもとに、猶予期間がいつまでか、保護観察が付いているか、付いている場合にどのような遵守事項が定められているかを確認します。被害者と示談をしている場合は、示談書に接触しない約束などが入っていないかも見ておきます。内容が分からなければ、当時の弁護人に問い合わせるのがよいでしょう。
執行猶予中に何が制限されるのかについては、執行猶予判決を受けた後の生活|何が制限されるのかでも解説しています。
保護観察付きなら、保護観察官や保護司に早めに伝える
保護観察が付いている場合、保護観察官と保護司が本人の生活状況を把握し、指導や助言を行っています。親から見て気になる変化があれば、早めに伝えておくことで、指導の機会につながることがあります。伝えた内容によっては指導が強まることもありますが、問題が大きくなってから発覚するよりも、本人にとって立て直しやすい段階で手当てが入る意味は小さくありません。
遵守事項と取消しの関係は保護観察付き執行猶予の遵守事項と、取り消される場面、同居する家族の関わり方は【親子問題】保護観察中の子と同居する家族の役割で詳しく取り上げています。
保護観察が付いていなくても、相談できる窓口はある
保護観察の付かない執行猶予では、判決後に公的な見守りがないため、親だけで抱え込みやすくなります。保護観察所には、犯罪や非行に関する地域の相談窓口「りすたぽ」が設けられており、本人や家族からの相談に応じて、関係機関との連携や情報提供を行っています。相談は無料です。
薬物やギャンブルなどの依存が背景にある場合は、精神保健福祉センターや専門の医療機関、家族会などの支援も視野に入ります。詳しくは【親子問題】刑事処分だけでは止まらない|依存症支援の窓口をご覧ください。薬物の再使用が心配な場合は【親子問題】執行猶予中の再使用|何が起きるかも参考になります。
生活の土台を整え、親がすべてを担わない
再犯の背景には、仕事や住まい、お金の流れ、交友関係といった生活の不安定さが関わっていることがよくあります。親が支えられる部分はありますが、本人の行動を親が常に見張ることはできませんし、それを目標にすると親子ともに疲弊してしまいます。家庭が担える部分と、支援機関や専門家に任せる部分を分けて考えることが、長く続けられる関わり方につながります。
この考え方は【親子問題】再犯を防ぐために家庭が担える部分・担えない部分でも整理しています。
親が避けたい対応
心配するあまり取った行動が、かえって親自身を難しい立場に置くこともあります。次のような対応は避けたいところです。
- 本人を部屋に閉じ込める、外出を力ずくで止めるといった対応は、親子であっても監禁などの罪に問われるおそれがあります。
- 本人がしたことを隠すために証拠となる物を処分すると、親自身が証拠隠滅の問題に巻き込まれるおそれがあります(親族については刑の免除の規定がありますが、必ず免除されるわけではありません)。
- 本人に代わって被害者に連絡を取ると、事態をこじらせたり、新たなトラブルを招いたりすることがあります。
- 本人の借金や賠償を、条件を決めずに肩代わりし続けると、問題に向き合う機会を本人から遠ざけてしまうことがあります。
暴力や危険があるときは、取消しよりも安全を優先する
子から暴力を受けていても、「通報すれば執行猶予が取り消されて刑務所に行くことになる」と考えて、ためらう親御さんは多くいます。その迷いは自然なものですが、親や家族の身の安全は何よりも優先されるべきものです。けがをするおそれがある、刃物を持ち出したといった場面では、ためらわずに110番通報を検討してください。
通報の判断の目安は【親子問題】110番を呼ぶ判断基準|その場で何を伝えるかで解説しています。
実際に事件が起きてしまったら
新たな事件で子が逮捕された場合は、できるだけ早く弁護人を選任し、事件の見通しや再度の執行猶予の可能性を確認することが大切です。被害者がいる事件では示談の成否が、依存の問題がある事件では治療への取組みが、それぞれ判断材料になることがあります。
親が再び監督を約束する場合も、前回と同じ内容では評価されにくいことがあります。何がうまくいかなかったのかを振り返り、同居の有無や支援機関の利用など、具体的に変える点を示せるかが問われます。初動については【親子問題】子が逮捕された|親が最初にすべきこと、親の関わり方の範囲については【親子問題】成人した子の刑事事件で親ができること・できないことをご覧ください。
弁護士が親の代理人として関わる場合
当事務所では、成人した子の暴力やお金の無心、犯罪行為に悩む親御さんの代理人として、弁護士が自立支援カウンセラーとチームを組んで対応しています。弁護士は親への金銭要求や攻撃の窓口を引き受け、カウンセラーは住まい探しや仕事探し、日々の金銭管理など、子の生活の基盤づくりを支えます。執行猶予中の子についても、刑事手続の見通しを踏まえながら、生活の立て直しと親の負担の軽減を並行して考えることができます。
サービスの内容は【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応で紹介しています。
執行猶予中の子の変化に気づいたときは、問題が起きてからではなく、その手前の段階で動くことで選べる手段が増えます。判決の内容や子の様子、家族の状況を整理するところから始めてみてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


