ATMで金を下ろさせられる・カードを切らされる|悪質な恐喝からの離脱法
メンズエステの施術後にサービスの範囲外でキャストの身体に触れてしまい、入店時に署名した合意書の「罰金100万円」を根拠に支払いを求められたご依頼者の事例です。その場で5万円を支払い、残り60万円を1週間以内に支払う旨をSNSのメッセージに残していましたが、弁護士が受任通知を送付した後は相手方からの請求がなく、追加の支払いをしないまま終結しました。
※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。ご依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
ご相談の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ご相談者 | 関東地方にお住まいの男性 |
| 利用したサービス | メンズエステ(SNS経由で予約) |
| 請求の内容 | 入店時に署名した合意書に基づく罰金100万円(その場で65万円に減額) |
| ご相談時の状況 | 5万円を支払い済み。残り60万円を1週間以内に支払う旨をSNSのメッセージに投稿させられていた |
| 弁護士の対応 | 受任通知をメールで送付し、窓口を弁護士に一本化 |
| 結果 | 受任通知の送付後、請求が止まり、追加の支払いなく終結 |
| 解決までの期間 | 受任から約3か月 |
ご相談までの経緯
入店時に罰金100万円の合意書に署名していた
関東地方にお住まいの男性からのご相談です。ご依頼者は、SNS経由で予約したメンズエステを利用した際、入店時に罰金100万円の定めがある合意書に署名していました。施術の終了後、ご依頼者はサービスの範囲外でキャストの身体に直接触れてしまい、キャストからやめるよう告げられました。
その場で5万円を支払い、残額の約束をSNSに残すことに
退室後、男性から声をかけられ、「刑事事件になります」と告げられました。合意書に基づいて100万円を請求されたものの、その場で65万円まで減額となり、ご依頼者は手持ちの現金とコンビニで引き出した現金をあわせて5万円を支払いました。
残りの60万円は1週間以内に支払う約束となり、予約に使っていたSNSのメッセージ上に、5万円を支払ったこと、60万円の請求があること、可能な限り1週間以内に支払うことを自ら投稿するよう求められました。書面の示談書は作成されていません。
相手方には電話番号や生年月日、住所の番地まで知られており、ご依頼者は大きな不安を抱えていました。支払期限が迫るなか、減額の可能性について相談したいと、翌日に当事務所へ来所されました。
弁護士の対応と交渉の経緯
まず相手方との直接のやり取りを止める
相談の翌日に受任した弁護士は、ご依頼者に対し、相手方からの連絡手段をブロックすること、万一応答してしまった場合は弁護士に依頼した旨だけを伝えて通話を終えることを助言しました。
電話が不通のため、メールで受任通知を送付
弁護士は店舗のホームページに記載された電話番号へ架電しましたが、現在使われていない旨のアナウンスが流れ、つながりませんでした。そこで、店舗のメールアドレス宛てに受任通知を送付し、次の点を伝えました。
- 当事務所がご依頼者の代理人に就任したこと。
- 既払いの5万円を含む65万円の請求について協議したいため、店舗責任者の連絡先を知らせてほしいこと。
- 今後の連絡や要望はすべて当事務所に行い、ご依頼者や関係者への連絡・接触は控えてほしいこと。
受任通知の送付後、相手方から当事務所への連絡はなく、ご依頼者への請求もありませんでした。弁護士は経過を見守り、相手方からの接触がないまま約3か月が経過した時点で終結としました。ご依頼者が支払ったのは、受任前の5万円のみです。
解決結果と対応のポイント
解決の内容
本件の解決内容は次のとおりです。
- 残り60万円について、追加の支払いをせずに終結しました。
- 罰金100万円の合意書に署名していましたが、その金額を支払うことなく請求が止まりました。
- 相談の翌日に受任し、受任当日に受任通知を送付しました。
- 受任通知の送付後、相手方からの接触や請求はありませんでした。
- ご依頼者が相手方と直接やり取りする必要がなくなりました。
- 受任から約3か月で終結しました。
サービスの範囲外の行為は行うべきではありません
前提として、メンズエステでサービスの範囲外にキャストの身体に触れることは行うべきではありません。本件でも、ご依頼者の行為がキャストに不快な思いをさせたことは事実です。また、行為の内容によっては刑事上の問題が生じることもあり、民事上の支払いの要否とは分けて考える必要があります。
合意書の金額をそのまま支払う義務があるとは限りません
一方で、入店時に「罰金100万円」の合意書に署名していたとしても、その金額をそのまま支払う義務があるとは限りません。私人が刑罰としての罰金を科すことはできず、こうした定めは違約金の取り決めとして扱われると考えられます。実際の損害と比べて著しく高額な違約金は、公序良俗に反するものとして効力が制限される場合があります(民法90条)。本件では、相手方がその場で65万円まで減額しており、100万円という金額の根拠ははっきりしない状況でした。
残額の約束を残した後でも、支払う前に相談を
その場で一部を支払い、残額の支払約束をメッセージに残してしまうと、「約束した以上は払わなければならない」と考えがちです。しかし、「刑事事件になります」と告げられ、身元に関する情報を把握された状況でなされた約束は、ご本人の自由な意思に基づくものとはいえない場合があり、強迫による意思表示として取消しが問題となることもあります(民法96条1項)。約束を残した後であっても、支払う前に相談することで、取り得る対応の幅が広がることがあります。
電話がつながらなくても受任通知は送れる
本件では店舗の電話番号が不通でしたが、メールアドレスやSNSのアカウントなど、相手方に届く連絡手段があれば受任通知を送付することができます。弁護士が窓口となったことを相手方に明示することで、本件のように請求が止まる場合もあります。もっとも、相手方の対応は事案によって異なり、常に同じ結果になるわけではありません。
同種のご相談をお考えの方へ
メンズエステなどで罰金や示談金を請求され、その場で一部を支払ってしまった方や、残額の支払期限が迫っている方は、支払う前に一度ご相談ください。合意書や支払いの約束が残っている場合でも、事情を伺ったうえで、支払義務の有無や今後の対応を検討します。
弁護士法人若井綜合法律事務所では、風俗トラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。


