【男女トラブル】交際相手から「既婚を隠していた」と責められたら、何を払う可能性がある?
13年前から交流のあった知人の男性から、これまで食事のたびに手渡しで受け取っていた金銭について、年度別の明細とともに2600万円の返還を求める手紙が届いたご相談です。弁護士が受任通知を送付して返還義務を争い、相手方に代理人弁護士が付いた後の交渉を経て、解決金100万円で合意書を締結しました。受任から約2か月で解決に至った経緯をご紹介します。
※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。ご依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
ご相談の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ご相談者 | 関東地方在住の女性 |
| 相手方 | 13年ほど前に知り合った高齢の男性(ご依頼者の元勤務先の客) |
| ご相談の内容 | 13年間に受け取った金銭について、2600万円の返還を求める手紙が届いた |
| 主な争点 | 受け取った金銭が贈与にあたるか、貸付にあたるか |
| 解決結果 | 解決金100万円を支払う内容で合意書を締結 |
| 解決までの期間 | 受任から約2か月 |
ご相談までの経緯
食事のたびに「お小遣い」を受け取る関係が13年続いていた
ご依頼者は13年ほど前、勤務先のカフェの客であった高齢の男性と知り合いました。カフェを退職した後も、食事に行くなどの交流が続いていました。交際関係や身体の関係はありませんでした。
ご依頼者によれば、食事のたびに相手方から1万円から3万円程度の金銭を「お小遣い」として手渡しで受け取っていたとのことです。ご依頼者から金銭を求めたことは一度もなく、借用書や返済の約束を交わしたこともありませんでした。
相手方は以前から、これまでに渡した金額を記したメモをご依頼者に見せることが何度かありました。その際も返還を求められたことはなく、ご依頼者は「そういうものではない」と伝えてメモを返していました。援助の趣旨を示すメッセージのやり取りなど、書面として残っているものはありませんでした。
連絡が途絶えた後、2600万円の返還を求める手紙が届く
その後、相手方からの連絡が3か月ほど途絶えた後、相手方本人から手紙が届きました。手紙には13年間に渡した金銭の年度別の明細が添付され、合計2600万円の返還を求める内容が書かれていました。
ご依頼者は支払う義務はないと考えていたものの、高額の請求にどう対応すればよいか分からず、当事務所にご相談いただきました。
弁護士の対応と交渉の経緯
受任から3日以内に受任通知を送付し、窓口を一本化
弁護士はまず、13年間の金銭のやり取りの実態、相手方からの連絡の経緯、メモや手紙の内容を確認しました。そのうえで、手紙に記載された住所を確認し、受任から3日以内に相手方へ内容証明郵便で受任通知を送付しました。
受任通知では、当事務所が代理人に就任したこと、今後の連絡は当事務所に行うこと、ご依頼者本人への直接の連絡は控えることを伝えました。弁護士が窓口となったことで、ご依頼者が相手方と直接やり取りする必要はなくなりました。
相手方代理人との交渉で返還義務を争う
受任通知の送付から約1週間後、相手方に代理人弁護士が就任したとの連絡があり、以後は弁護士同士の交渉となりました。
弁護士は、金銭は相手方の意思で手渡されたものであること、借用書や返還の約束を示す資料がないこと、ご依頼者から金銭を求めた事実はないことを踏まえ、返還義務を争う姿勢を示しました。そのうえで、ご依頼者の負担を抑えながら紛争を終わらせるための協議を進めました。
合意書の締結と解決金の送金
交渉の結果、ご依頼者が解決金として100万円を支払い、相手方は本件に関するその他の請求を行わないことなどを内容とする合意に至りました。弁護士が合意書案を作成して相手方代理人に送付し、相手方の署名押印を得た合意書を受け取りました。
解決金はご依頼者から当事務所の預り金口座でお預かりし、合意書に基づいて当事務所から相手方代理人の指定口座へ送金しました。送金の完了をもって手続きは終了し、受任から約2か月で解決となりました。
解決結果と対応のポイント
解決内容
本件の解決内容は次のとおりです。
- 2600万円の返還請求について、解決金100万円の支払いで合意しました。
- 相手方代理人との間で合意書を締結し、本件に関する追加の請求が行われないよう取り決めました。
- 解決金は当事務所を通じて送金し、ご依頼者が相手方と直接やり取りすることはありませんでした。
- 受任から3日以内に受任通知を送付し、ご依頼者本人への連絡を控えるよう求めました。
- 受任から約2か月で解決しました。
「貸したお金」と主張されても、直ちに返還義務が生じるわけではありません
お金の貸し借り(消費貸借)は、返すことを約束したうえで金銭を受け取ることによって成立します(民法587条)。そのため、返還を求める側は、その金銭が返す約束のもとで渡されたことを示す必要があります。
一方、相手方が自らの意思で渡した金銭は、贈与と評価されることがあります。書面によらない贈与であっても、すでに渡し終えた部分は後から解除することができません(同法550条)。借用書や返還の約束を示す資料がなく、相手方が自らの意思で手渡していた本件のような場合、後から明細を作成して「貸したものだった」と主張しても、それだけで返還義務が認められるわけではありません。
もっとも、交際関係にない相手から長期間にわたって継続的に金銭を受け取っていると、本件のように相手方との認識の違いから返還を求められることがあります。受け取る際の経緯や趣旨については、慎重に考えておくことが大切です。
解決金を支払って合意した理由
本件で一定の解決金を支払って合意した背景には、相手方に代理人が付いたことに加え、2600万円という高額の請求が訴訟に発展した場合の時間的・精神的な負担を避けたいというご依頼者の意向がありました。
請求額の4%に満たない金額で、追加の請求を防ぐ合意書とあわせて解決できたことは、ご依頼者にとって現実的な選択であったと考えています。
届いた手紙にご自身で返答しないことが大切です
相手方から直接手紙が届いた段階でご本人が返答すると、やり取りの中の一言が「返還を認めた」と受け取られるおそれがあります。弁護士が早い段階で窓口となり、書面で対応することが、交渉を進めるうえで重要になります。
同種のご相談をお考えの方へ
長年交流のあった相手から、これまでに受け取った金銭の返還を突然求められた方や、明細付きの手紙が届いて対応に迷っている方は、ご自身で返答する前に弁護士へご相談いただくことをおすすめします。受け取った経緯ややり取りの記録を確認したうえで、返還義務の有無の見通しと、交渉による解決の方法を検討します。
弁護士法人若井綜合法律事務所では、男女間のトラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。過去に受け取った金銭の返還を求められてお困りの方も、相手に渡したお金の扱いでお悩みの方も、まずはお気軽にご相談ください。


