【不貞慰謝料】サインを求められた側のチェックリスト
本記事は、当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、年齢や具体的な状況などの一部を変更しています。
交際の申し出を断った途端に相手の態度が変わり、以前に受け取った品物を返すよう迫られる。応じなければ大学や内定先に知らせると告げられ、警察に相談してはいるものの、相手が逆上するのではないかと考えると次の一歩を踏み出せない。本記事では、このような状況にあった方のご依頼を受け、当事務所が受任通知を送付したことで、相手方からの接触が止まった事例をご紹介します。
事案の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ご相談者 | 関東地方在住の学生の女性(就職先の内定を得て、卒業を控えた時期) |
| 相手方 | ご相談者の勤務先の客であった男性 |
| ご相談のきっかけ | 身体的な接触の求めを断り、連絡を断とうとしたところ、渡した品物の返還を求められ、大学や内定先への連絡をほのめかすメッセージが続いた |
| ご要望 | 相手方からの接触を止めたい。大学や内定先に知られることなく解決したい |
| 懸念事項 | 警察から警告を出してもらうと、相手方が逆上するのではないか |
| 解決金 | なし(依頼者から品物や金銭を返すことも、相手方に支払うこともなく解決) |
| 解決までの期間 | 受任通知の送付後、3か月以上接触のない状態を確認して終結 |
断ったことをきっかけに、相手方の態度が変わった
依頼者は、学業のかたわら接客業に従事していました。勤務先の客であった男性(相手方)とは、次第に店の外でも顔を合わせるようになっていました。
相手方は、依頼者の家庭の事情を知ると、「自分を頼ってほしい」「父親代わりだ」といった言葉を繰り返すようになりました。依頼者はこれを断りきれず、品物や金銭を受け取るようになります。その後、相手方の言動は、結婚してほしい、一緒に住もうといった内容にまで及ぶようになりました。
転機となったのは、相手方から身体的な接触を求められ、依頼者がこれを断った場面です。相手方は強い不満を示し、その後も不満を述べる連絡が続きました。依頼者は、相手方との連絡や接触を断つことを決めました。
品物の返還要求と、大学や内定先への連絡をほのめかすメッセージ
相手方は、この申し出を受け入れませんでした。最後に一度だけ会ってほしいと求め、実際に会った際には、また連絡を取りたい、勤務先に行く、渡した物を取りに行くといった趣旨の発言をしています。
さらにその後、相手方はこれまでに渡した品物の一覧を作成して送り、返すよう求めてきました。あわせて、連絡をしなければ犯罪者になるかもしれない、被害届を出してでも返してもらう、訴える、大学や就職先に問い合わせが行っても仕方がない、といった趣旨のメッセージが繰り返し届くようになりました。
警察に相談しても、次の一歩を踏み出せなかった
依頼者は、すでに就職先の内定を得ており、卒業を控えた大切な時期にありました。大学や内定先に事情を伝えられることは避けたいと考えていました。
警察にも相談していましたが、警告を出してもらえば相手方がかえって感情的になるのではないかという不安から、そこから先に進めずにいました。一人で対応を続けることは難しいと考えた依頼者は、当事務所にご相談のうえ、対応をご依頼くださいました。
当事務所の対応
依頼者を介さず、当事務所から直接通知を送る
受任にあたり、担当弁護士がまず検討したのは、通知をどのような経路で相手方に届けるかという点でした。
当初は、依頼者から相手方に書面を転送していただく方法も想定していました。しかし、依頼者のご家族が心配されていたこと、また警察からも今後は相手方に返信しないよう助言を受けていたことから、当事務所から直接送付する方法に切り替えました。依頼者自身が相手方に働きかける形をとらないことで、相手方がそれを理由に再び連絡してくる余地を残さないという判断です。
把握しているすべての連絡先に通知を届ける
相手方は、複数の連絡手段を使い分けていました。そのため、把握できている連絡先のすべてに宛てて通知を送り、相手方本人が確実に内容を目にする状態をつくることを優先しました。
法的な評価を示しつつ、誓約書による収め方も提示する
通知の内容についても検討を重ねました。
まず、相手方がこれまで依頼者に対して行ってきた言動を具体的に挙げたうえで、それらが脅迫罪、強要未遂罪、ストーカー規制法違反、民事上の不法行為に該当しうることを指摘しました。そのうえで、品物の返還を求める請求には法的な根拠がなく、依頼者としては応じられないことを伝えています。
同時に、現状のままであれば刑事事件としての対応も検討せざるを得ないとしつつ、次の内容を約束する誓約書を速やかに作成するのであれば、穏当に解決できる可能性があることも示しました。
- 今後、依頼者本人に連絡・接触しないこと。
- 依頼者のご家族、学校、勤務先などの関係者に連絡・接触しないこと。
- 本件を第三者に口外しないこと。
刑事手続に進む可能性を具体的に示す一方で、相手方が自ら手を引く道も用意しておく構成です。これにより、相手方には、要求を続けた場合のリスクと、ここで引き下がる場合の負担とを比べて判断する材料が示されることになります。
今後の連絡方法と、口外した場合の問題も明記する
あわせて、今後の連絡は、請求の法的根拠を示したうえで書面により当事務所宛てに行うよう求めました。また、本件をインターネットやSNSなどで第三者に広めた場合には、プライバシー侵害や名誉毀損の問題が生じうることも通知に記載しています。
解決結果と対応のポイント
通知の送付後、相手方から依頼者本人への接触はなく、当事務所への連絡もありませんでした。依頼者が懸念していた大学や内定先への連絡も確認されず、品物の返還を求める話が再び持ち出されることもありませんでした。その後、3か月以上にわたって接触のない状態が続いたことを確認し、事件を終結しています。
- 受任通知の送付後、相手方からの接触はなくなりました。
- 大学や内定先への連絡は行われませんでした。
- 品物や金銭の返還要求には応じないまま解決しました。
- 依頼者が相手方と直接やり取りする必要はなくなりました。
- 依頼者を介さず当事務所から、把握しているすべての連絡先に通知を送りました。
- 法的な評価とあわせて、誓約書による収め方を示しました。
担当弁護士からのコメント
関係を断とうとした途端に相手の態度が変わり、過去に受け取った品物や金銭を返すよう求められるというご相談は、決して珍しいものではありません。ここでは、本件と同じような状況にある方に向けて、押さえておきたい点をお伝えします。
受け取った品物は返さなければならないのか
贈り物として受け取った品物や金銭は、関係が終わったことを理由に後から返還を求められても、応じる必要がない場合が多いと考えられます。民法上、書面によらない贈与は解除できるとされていますが、すでに渡し終えた部分については解除できないとされているためです(民法550条)。
もっとも、当初から「貸す」「返す」という前提でやり取りしていた場合には、贈与ではなく貸し借りと評価されることがあります。どちらにあたるかは、当時のメッセージなどのやり取りを確認して判断することになります。
学校や内定先に知らせるという言葉の法的な意味
返還に応じなければ学校や勤務先、内定先に知らせると告げて相手を怖がらせ、要求に従わせようとする行為は、その内容や態様によっては脅迫罪や強要罪(未遂を含む)に該当しうるものです。また、好意の感情や、それが満たされなかったことへの恨みの感情から、面会や交際を求めたり、拒まれた後も連続してメッセージを送ったりする行為は、ストーカー規制法の「つきまとい等」にあたる場合があります。
学校や内定先に知られることをおそれて、要求に応じてしまう方もいらっしゃいます。しかし、一度応じたからといってそこで終わるとは限らず、次の要求につながるおそれもあります。応じるかどうかを決める前に、要求の法的な根拠を確認しておくことが大切です。
警察に相談した後の「次の一歩」として
警察に相談したものの、警告を出してもらうと相手がかえって感情的になるのではないかと考え、先に進めずにいるというご相談も少なくありません。そうした場合でも、弁護士が代理人として介入することで、連絡の窓口を弁護士に一本化し、ご本人が相手方と直接やり取りする負担をなくすことができます。そのうえで、相手方の行為が法的にどのように評価されうるかを示し、行為をやめるよう求めることが可能です。
本件では、相手方の言動が犯罪に該当しうることを具体的に指摘したうえで、誓約書を差し入れて手を引くのであれば穏当に解決する余地があることを示しました。どのような通知が適しているかは、相手方の言動や残っている記録、警察への相談状況などによって変わります。
学校や勤務先に知らせると言われている方、渡された品物を返すよう求められている方、警察に相談したものの次にどうすればよいか迷っている方は、お一人で抱え込まず、一度当事務所にご相談ください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


