【解決事例】別れ話を切り出せずにいた交際相手との関係|警察対応と並行して交渉し、接触禁止の合意書を結んだ事例

若井亮

若井亮

テーマ:男女トラブル

本記事は、当事務所が実際にお受けした事案をもとに作成しています。ご依頼者のプライバシーに配慮し、氏名・年齢・具体的な状況などは一部変更しています。


別れたいと伝えるたびに強い言葉を向けられ、やがて話を切り出すこと自体が難しくなっていく。自宅にまで来られ、警察を呼ぶことになった――。本記事では、警察による対応と並行して弁護士が相手方との交渉を進め、接触禁止と相互の権利放棄を内容とする合意書を締結するに至った事例をご紹介します。

 同じような状況で身動きが取れずにいる方にとって、どのような順序で何を進めたのかが、ご自身の状況を整理する手がかりになれば幸いです。

ご相談の概要


項目内容
ご相談者関東地方在住の女性
相手方数年にわたり交際していた男性
ご相談のきっかけ別れ話を切り出しても受け入れられず、不安を覚える言動が繰り返されていた
ご要望交際関係を解消し、今後の連絡や接触をやめてもらいたい
懸念事項相手方と直接やり取りを続けなければならないこと、相手方のSNSアカウント
解決金なし(金銭の支払いを伴わない解決)
解決までの期間約2か月


別れ話を切り出せないまま、関係が続いていた

 ご依頼者は、関東地方にお住まいの女性です。数年にわたって交際していた男性(相手方)との間でトラブルが生じ、関係を解消したいと考えるようになりました。

 ところが、ご依頼者が別れ話を切り出しても、相手方はこれを受け入れませんでした。それどころか、ご依頼者が強い恐怖を感じるような言動が繰り返され、話し合いそのものを持ち出しにくい状態になっていきました。

 連絡が来るたびに不安を覚えながらも、相手方を刺激しないよう、それまでと同じようにやり取りを続けるほかない。そうした日々が続いていたといいます。

 このままでは生活を立て直せないと考えたご依頼者は、インターネットで当事務所の男女トラブルの相談窓口を見つけ、ご相談のうえでご依頼くださいました。

当事務所の対応と解決までの流れ


受任直後の緊急時に備え、具体的な行動の手順をお伝えした

 受任にあたって担当弁護士がまず行ったのは、緊急時にどう行動していただくかを具体的にお伝えすることでした。

 この種の事案では、弁護士が介入した直後に相手方の反発が強まることがあり、注意が必要な時期といえます。そこで担当弁護士は、相手方から連絡があっても無理に応答しなくてよいこと、万一相手方が自宅を訪れた場合にはご自身で対応せず、退去に応じないときは速やかに警察へ通報することを、あらかじめお伝えしていました。

 実際に、受任から間もなく、相手方がご依頼者の自宅を訪れて立ち去らないという事態が起きました。ご依頼者は事前の打ち合わせどおりに警察へ通報し、臨場した警察官から相手方に対して、つきまとい行為についての警告が行われました。ご依頼者も警察署で事情を説明しています。

 弁護士に依頼していても、その場で差し迫った危険から身を守る役割を担うのは警察です。対応の手順を前もって共有していたことで、ご依頼者は迷わずに行動することができました。

受任通知で法的な問題点を示し、書面による解決を提案した

 担当弁護士は、警察による対応と並行して、相手方へ受任通知を送付しました。

 通知では、相手方のこれまでの言動について、法的にどのような問題が生じうるかを具体的に指摘しました。そのうえで、このままでは刑事上の手続も検討せざるを得ないとしつつ、速やかに書面を取り交わし、今後ご依頼者本人やご家族、勤務先などの関係者に連絡や接触をしないこと、本件に関する情報を第三者に口外しないことなどを約束するのであれば、穏当に解決できる可能性があることを伝えています。

 要求を続けた場合に生じうる問題と、相手方が自ら身を引く道とを、同じ書面の中で併せて示す構成です。相手方にとって、どちらを選ぶかを冷静に考えられる材料を示すことを意識しました。

相手方の要望も取り入れ、双方が義務を負う合意書にまとめた

 受任通知を受け取った相手方からは、当事務所へ連絡がありました。相手方も書面による解決を望んでおり、あわせて、自分の側にも接触禁止や口外禁止の義務を負わせる形にしてほしいという要望が示されました。

 担当弁護士は、ご依頼者の利益を損なわない範囲でこの要望を検討し、双方が同じ内容の義務を負う合意書案を作成しました。一方だけに義務を課す形よりも、双方が対等な立場で約束する形のほうが、相手方にとって署名を受け入れやすくなると考えたためです。あわせて、相手方が合意を守る限りはご依頼者の側から刑事上の手続を求めないという条項を、当方からの譲歩として盛り込みました。

 また、ご依頼者からは、相手方のSNSアカウントについての不安も寄せられていました。担当弁護士はこの点も交渉の中で取り上げ、アカウントの削除を求めています。

交渉が停滞した場面で、いったん打ち切る姿勢を示した

 交渉は、最初から順調に進んだわけではありません。合意書を送付した後、相手方から、署名をいったん見送りたい、期限を延ばしてほしいという申し出があり、あわせて条項の修正を求める要望も示されました。

 この場面で担当弁護士が選んだのは、交渉を続けることではありませんでした。すでに案文を示して説明し、相手方も一度は了承していた手続を拒むのであれば、こちらからこれ以上の提案はできないこと、送付した正本はそのまま返送してほしいこと、合意を望むのであれば相手方の側から具体的な書面案を示してほしいことを回答したのです。

 交渉を打ち切る姿勢をはっきり示したことで、状況は動きました。その後、相手方は合意書に署名し、当事務所へ返送しています。ご相談から合意書の締結までは、約2か月でした。

解決結果と対応のポイント


  • 接触禁止・口外禁止・相互の権利放棄を内容とする合意書を締結しました。
  • 双方が同じ内容の義務を負う形にしたことで、相手方の署名を得ることができました。
  • 金銭の支払いを伴わない形で解決しました。
  • 受任直後の緊急事態には、警察への通報と警察による警告という形で対応しました。
  • ご相談から合意書の締結までの期間は約2か月でした。


担当弁護士からのコメント


別れるかどうかは、ご自身で決めてよいこと

 交際関係を解消するかどうかは、本来、それぞれの当事者が自由に決められることです。相手が納得しない、受け入れないという理由で、交際を続けなければならない法的な義務が生じるわけではありません。

 それでも、別れ話を切り出すこと自体ができなくなってしまったというご相談は少なくありません。話を持ち出せば何を言われるか、何をされるか分からないという不安から、関係を終わらせる決断そのものが先送りになってしまうのです。お一人で向き合い続ける限り、この状態から抜け出すのは簡単ではありません。

 弁護士が代理人として入ることで、連絡の窓口が弁護士に一本化され、ご本人が相手方と直接やり取りをする必要はなくなります。そのうえで、相手方の言動が法的にどのように評価されうるかを示し、行為をやめるよう求めることができます。

警察と弁護士の役割分担

 もっとも、弁護士が介入しただけで身の安全が確保されるわけではありません。自宅を訪ねてこられた、その場から立ち去ってもらえないといった状況では、まず警察へ通報していただく必要があります。退去を求められたのに応じない行為は不退去罪(刑法130条)の問題となりうるほか、つきまとい行為についてはストーカー規制法に基づく警告などの措置が取られることもあります。

 警察は目の前の危険に対応し、弁護士は法的な解決の枠組みをつくる。この役割の違いを踏まえて、両方を並行して進めることが大切です。そのため当事務所では、ご依頼いただいた段階で、緊急時にどう行動していただくかを具体的にお伝えするようにしています。

何を譲り、何を譲らないか

 こうした事案では、相手方が、自分だけが義務を負う形に強く抵抗することがあります。本件では、相手方の要望を踏まえ、双方が同じ義務を負う内容の合意書としました。ご依頼者の利益が損なわれない限り、形式の面で歩み寄ることが、早い段階での締結につながる場合があります。何を譲り、何を譲らないかの見極めが、解決までにかかる時間に影響します。

 また、交渉が停滞した場面では、あえて打ち切る姿勢を示すことが有効な場合もあります。譲歩を重ねるほど、相手方がさらに検討の時間を求めるようになることがあるためです。当方の提案がこれ以上動かないものであることをはっきり伝えることで、相手方に判断を促すことができます。

合意書を結んだ後に気をつけていただきたいこと

 合意書を締結した後についても、お伝えしておきたいことがあります。本件の接触禁止の条項は、双方を拘束するものです。相手方が約束を守っているのに、こちらから連絡を取ってしまえば、合意違反を問われるおそれがあるだけでなく、それまで警察との間で積み重ねてきた経緯にも影響しかねません。ようやく取り戻した落ち着いた生活を保つためにも、合意の内容はご自身の側でも守っていただく必要があります。

 別れたいのに別れられずにいる方、別れ話を切り出せずにお困りの方、自宅に来られるなど身の危険を感じている方は、お一人で抱え込まず、一度当事務所にご相談ください。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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