示談金の水準をどう判断するか|提示額を検証する4つの視点
ホテヘル型の風俗店を利用中に盗撮が発覚し、免許証と健康保険証を店舗に預けたうえで、反省文や誓約書に署名させられた男性からのご相談です。弁護士が受任当日から交渉の窓口となり、身分証の返還を受けたうえで、キャスト2名および店舗との間で示談金100万円(3回分割)による示談を成立させました。その経緯と、同じような状況に置かれた方に知っておいていただきたい点をご紹介します。
※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。ご依頼者のプライバシー保護のため、事案の内容は一部変更しています。
ご相談の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ご相談者 | 関東地方にお住まいの男性 |
| ご相談の内容 | ホテヘル利用中の盗撮発覚と、店舗から求められた示談への対応 |
| 相手方 | キャスト2名および店舗(交渉の途中から代理人弁護士が就任) |
| ご相談時の状況 | 免許証と健康保険証を店舗に預け、反省文・誓約書に署名済み |
| 解決の内容 | 身分証の返還、示談金100万円(3回分割)による示談成立 |
| 解決までの期間 | ご相談から示談書の締結まで約3ヶ月半(支払完了まで約5ヶ月) |
ご相談までの経緯
ご依頼者は、ホテヘル型の風俗店を利用した際、サービス中にキャストを無断で撮影していました。撮影に気づいたキャストがサービスを中断し、店舗に連絡が入ります。
店舗に呼び出されたご依頼者は、免許証と健康保険証を預けることになりました。さらに、スマートフォンから削除していたデータを復元するよう求められ、反省文と誓約書を作成しています。その過程で過去の利用時にも同様の撮影があったことが分かり、2件の撮影を認める書面に署名しました。
店舗からは、警察に届け出るかどうかはキャスト本人の判断によると告げられます。ご依頼者から示談を申し入れたものの、条件は決まらないまま、翌日にあらためて店舗へ出向く段取りになっていました。
身分証を預けたままでは、住所や勤務先を相手方に把握されている状態が続きます。家族や職場に知られるのではないか、刑事事件になるのではないかという不安から、ご依頼者は翌日の来店を前に当事務所へご相談くださいました。
弁護士の対応と交渉の経緯
受任当日に店舗へ連絡し、窓口を弁護士に一本化
ご相談を受けた当日に受任し、その日のうちに弁護士から店舗へ連絡を入れて受任通知を送付しました。これにより、ご依頼者が一人で店舗へ出向く事態を避けています。
まず身分証の返還を求める
弁護士が最初に取り組んだのは、身分証の返還です。トラブル解決までの担保として身分証を預かり続けることは、法的に問題となり得ます。弁護士がこの点を指摘して返還を求めた結果、店舗から免許証と健康保険証の返還を受け、ご依頼者のもとへお戻しすることができました。
分割払いの提案で隔たりを詰める
示談交渉は容易には進みませんでした。ご依頼者が用意できる金額と相手方が求める水準には隔たりがあり、協議は平行線をたどります。その後、キャストと店舗の側も弁護士を選任したため、以後は代理人同士の交渉となりました。
弁護士は、ご依頼者の支払能力を具体的に説明しつつ、支払いを複数回に分ける方法を提案するなどして、双方の隔たりを少しずつ詰めていきました。その結果、キャスト2名および店舗との間で、示談金100万円を3回に分けて支払う内容の示談書を締結するに至っています。
示談金は、いずれも当事務所の預り金口座を経由して相手方代理人の口座へ送金し、合意どおり全額の支払いを完了しました。ご相談から示談書の締結まで約3ヶ月半、支払いの完了までを含めると約5ヶ月を要しましたが、その間、ご依頼者が相手方と直接やり取りをすることはありませんでした。
解決結果と対応のポイント
本件の解決内容は次のとおりです。
- 店舗に預けていた免許証と健康保険証の返還を受けた。
- キャスト2名および店舗との間で、示談金100万円による示談が成立した。
- 支払いを3回に分けることで、一括では支払えない状況に対応した。
- 示談金は当事務所の預り金口座を経由して送金し、履行を確認した。
- 弁護士の介入後は、ご依頼者が相手方と直接やり取りする場面はなかった。
無断撮影は犯罪に当たり得る行為です
前提として、相手の承諾を得ずに撮影する行為は、性的姿態等撮影罪などに当たり得る犯罪行為であり、行ってはならないものです。撮影された側にとっては、生活や仕事にも影響しかねない被害となります。
身分証を預けるよう求められたら
トラブルの現場で「身分証を預けてほしい」と求められることがありますが、応じないことをおすすめします。身分証を渡すと住所や勤務先を相手方に把握され、交渉で不利な立場に置かれやすくなるためです。すでに預けてしまった場合でも、返還を求められることがありますので、あきらめずにご相談ください。
被害を受けた方が複数いる場合
本件のように、被害を受けた方が複数いることもあります。その場合、一部の方とだけ示談を成立させても、残りの方から別途請求を受けたり、被害届を提出されたりするおそれが残ります。誰と誰との間で、何について解決したのかを書面で明確にしておくことが大切です。
支払能力を超える約束はしない
その場の勢いで支払能力を超える金額を約束すると、後に支払えなくなり、かえって紛争が長引くことがあります。金額だけでなく、支払いの時期や回数も交渉の対象になり得ますので、書面に署名する前にご相談ください。
同種のご相談をお考えの方へ
当事者同士のやり取りでは、相手方のペースで話が進みやすくなります。弁護士が窓口となることで、ご本人が直接対峙することなく、必要な条件を整えたうえで、書面による解決を図れる場合があります。
弁護士法人若井綜合法律事務所では、風俗店でのトラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。身分証を預けてしまった方、店舗やキャストから示談を求められている方は、お一人で抱え込まず、早めにご相談ください。


