別れた相手が裸の画像を持っている|拡散される前に削除させる交渉
交際相手やパパ活相手との間で妊娠が判明したとき、多くの方が最初に直面するのは「これからどうなるのか」という見通しの立たなさです。婚姻していない男女の妊娠では、結婚している夫婦とは前提が異なり、認知・養育費・中絶同意書といった言葉の意味を正しく理解しているかどうかで、その後の負担や進め方が変わってきます。
本記事では、男女トラブルを数多く扱ってきた弁護士の視点から、婚姻外の妊娠で押さえておきたい基礎知識を、妊娠した側・妊娠させた側のどちらの立場からも整理して解説します。感情的なやり取りに入る前に、まず制度の枠組みを知っておくことが、後悔の少ない判断につながります。
婚姻していない男女の妊娠で、まず押さえる3つの前提
具体的な手続きに入る前に、婚姻外の妊娠に共通する前提を確認しておきます。ここを取り違えると、話し合いの出発点がずれてしまいます。
1つ目は、婚姻外で生まれた子には、当然には父子関係が生じないという点です。
結婚している夫婦の子には法律上当然に父子関係が認められますが、婚姻していない男女の子は、父親が「認知」という手続きを取ってはじめて、法律上の父子関係が生まれます。この父子関係があることが、養育費を請求できる前提になります。
2つ目は、関係の呼び名が法的義務の有無を左右しないという点です。
交際関係であっても、パパ活を通じて知り合った関係であっても、一度きりの関係であっても、生物学上の父子関係があり認知で法律上も確定すれば、父親には扶養義務が生じます。関係の性質によって養育費の義務が消えるわけではありません。
3つ目は、産むか産まないかの最終的な決定権は、妊娠した女性本人にあるという点です。
男性の側から中絶を求める法的な権利は認められていません。この点は後述する中絶同意書の話にもつながります。
認知の基礎知識
認知とは、婚姻していない父母のもとに生まれた子について、父子の間に法律上の親子関係を生じさせる手続きです(民法779条)。認知の効力は子の出生の時にさかのぼって生じます(民法784条)。
認知には、いくつかの方法があります。
- 任意認知:父親が自らの意思で役所に認知届を提出する方法です。もっとも基本的な形になります。
- 胎児認知:子が生まれる前、胎児の段階で行う認知です。この場合は母親の承諾が必要です(民法783条1項)。出産前に父子関係を確定させておきたい場合に用いられます。
- 遺言認知:父親が遺言によって認知の意思を示す方法です。
父親が任意に認知しない場合には、家庭裁判所の手続きを通じて認知を求めることになります(強制認知)。まず認知調停を申し立て、当事者が合意しその内容を裁判所が相当と認めれば「合意に相当する審判」がなされます(家事事件手続法277条1項)。合意ができないときは、認知の訴えを提起し、判決によって認知を求めます(民法787条)。訴訟では、父子関係の有無を確かめるためにDNA鑑定が行われることがあります。
認知を求める時期についても押さえておきましょう。父親が生存している間は、認知を求めるのに時効の制限はありません。ただし、父親が亡くなった後は、その死亡の日から3年を過ぎると認知の訴えを起こせなくなります(民法787条ただし書)。また、子がすでに成人している場合の認知には、子ども本人の承諾が必要です(民法782条)。
認知が成立すると、法律上の父子関係にもとづいて、父親には子に対する扶養義務が生じ、子には父親の相続権が認められます。相続分については、かつて婚姻外の子は婚姻中の子の半分とされていましたが、法改正により現在は同等です。なお、相手が既婚者である場合、認知の事実は父親の戸籍に記載されるため、そこから配偶者に事実が判明することがあります。この点は認知に応じるかどうかの判断材料になり得ます。
養育費の基礎知識
養育費は、認知によって父親に扶養義務(民法877条1項)が生じることで、請求できるようになります。裏を返せば、認知がなされていない段階では、養育費を法的に請求するのは難しいのが実情です。
金額の決め方には、裁判所が公表している養育費算定表が用いられます。これは2019年に改定されたもので、支払う側と受け取る側の年収、子どもの人数と年齢をもとに、標準的な金額の目安を示すものです。たとえば、支払う側の年収が500万円、受け取る側の年収が100万円(いずれも給与所得者)で、0歳から14歳の子どもが1人の場合、月額でおおむね4万円から6万円程度が目安とされます。相手にすでに扶養する子がいる場合などは、一人あたりの金額が下がる方向に働きます。
養育費の取り決めは、まず当事者の話し合いで行うのが基本です。合意ができたら、口約束で終わらせず、公正証書などの書面に残しておくことが望まれます。書面化しておくと、後に支払いが滞ったときの対応が取りやすくなります。話し合いで折り合いがつかない場合は、家庭裁判所に養育費請求の調停を申し立て、それでもまとまらなければ審判で判断を求めることになります。
なお、算定表はあくまで裁判所が判断する場合の目安であり、当事者が合意すればこれと異なる金額を定めることもできます。一方で、相手に収入や資産がない場合には、取り決めどおりに回収できないこともあり、この点は現実的な限界として理解しておく必要があります。
中絶同意書の基礎知識
婚姻外の妊娠で誤解が生じやすいのが、中絶同意書をめぐる「配偶者の同意」の要否です。ここは正確に理解しておきたいところです。
人工妊娠中絶については、母体保護法14条が「本人及び配偶者の同意」を得て行うことができると定めています。ここでいう「配偶者」とは、法律上の婚姻関係にある夫または妻を指し、事実婚(内縁)の関係も含めて扱われます。したがって、法律婚も事実婚もしていない場合、たとえば単なる交際相手やパパ活を通じて知り合った相手は、ここでいう「配偶者」にはあたりません。 日本産婦人科医会も、法律婚も事実婚もしていない未婚の女性の場合は本人の同意のみで足り、同意書の配偶者欄は空欄になるとの考え方を示しています。つまり、婚姻外の相手の同意は、法律上、中絶の要件にはなっていません。
また、母体保護法には年齢の規定がないため、未成年であっても本人の同意で足りると解されています。
ここから、いくつかの実務上の注意点が導かれます。
まず、男性の側に中絶を求める権利はないという点です。仮に相手が中絶に同意する旨の書面を交わしたとしても、その履行を裁判所に強制してもらうことはできません。逆に、避妊について偽った、暴行によって性交を強いた、女性が出産を望んでいるのに執拗に中絶を迫ったといった事情がある場合には、男性側が慰謝料の支払いを命じられる可能性があります。
次に、同意書を偽造してはならないという点です。相手の署名を勝手に書いて同意書を作成する行為は、有印私文書偽造罪(刑法159条)にあたり、3か月以上5年以下の拘禁刑が定められています。事情があって署名を得にくい場合は、勝手に判断せず、受診先の医療機関に相談することが適切です。
中絶費用の負担については、法律上の明確なルールはなく、当事者の話し合いで決めるのが原則です。妊娠には男女双方が関与している以上、費用を折半する例も、男性側が負担する例もあります。なお、人工妊娠中絶が可能なのは妊娠21週6日まで(22週未満)と定められており、この期限を過ぎると中絶を選ぶことはできなくなります。
交際・パパ活の妊娠で特に注意したい点
婚姻外の妊娠のなかでも、交際やパパ活を背景とするケースには、いくつか固有の注意点があります。
相手が既婚者だった場合のリスクがあります。パパ活の相手が既婚者で、性的関係があったときは、それが不貞行為にあたり、相手の配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。つまり、妊娠した側が、別の面では請求を受ける側に立つこともあり得ます。もっとも、慰謝料の支払い義務が生じるかどうかは、相手が既婚者であることを知っていたか(故意)、または注意すれば知り得たか(過失)によって判断が分かれます。
相手の身元がはっきりしない、連絡が取れないという問題も起こりがちです。認知や養育費を求めるには相手を特定する必要があり、状況によっては弁護士会照会などを通じた身元の調査から始めることになります。
「妊娠した」という申告の真偽を確かめることも大切です。妊娠の事実がないのに、中絶費用や出産費用の名目で金銭を求められた場合、詐欺にあたる可能性があります。妊娠の有無や週数は思い込みで判断せず、産婦人科での受診によって客観的に確認しておくことが、後のトラブルを防ぎます。度を越えた金銭要求や脅しを伴う請求は、恐喝や脅迫にあたる場合もあり、こうしたときは早めに専門家へ相談してください。
まず取るべき初動(男女共通)
立場を問わず、妊娠が判明した直後に共通して押さえておきたい行動を挙げます。
- 妊娠の事実と週数を医療機関で確認する。 中絶を選択肢に含める場合は期限があるため、事実確認を先送りにしないことが大切です。
- 話し合いの内容を記録に残す。 認知・養育費・費用負担についてのやり取りは、LINEやメールなど後から確認できる形で残しておくと安心です。
- 取り決めは書面にする。 認知や養育費の合意は、口約束ではなく、公正証書などの書面にしておくと履行を確保しやすくなります。
- 安易な口約束や感情的な対応を避ける。 特に「認知する」という発言は後から撤回することが難しく、その場の勢いで発した言葉が後の交渉に影響することがあります。
- 早い段階で弁護士に相談する。 期限のある判断が続くため、方針を固める前に見通しを確認しておくと、選択肢を狭めずに済みます。
まとめ
交際やパパ活を背景とする妊娠は、認知・養育費・中絶同意書という制度の枠組みを正しく理解できているかどうかで、その後の負担も進め方も変わってきます。認知は養育費の前提となる手続きであること、養育費には算定表という目安があること、そして中絶同意書における「配偶者の同意」は婚姻外の相手には求められていないこと。この3点を押さえておくだけでも、話し合いの出発点が定まります。
当事務所は男女トラブルを数多く取り扱っており、妊娠にまつわる認知・養育費・費用負担の問題にも対応してきました。相手とすでにこじれている場合や、中絶できる期間が迫っている場合は、自分で動く前に、専門家の見立てを聞いてから次の一手を決めることをおすすめします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。


