理念が「掲げられているだけ」の会社の特徴【コンサルの視点4】

経営相談を受けていると、経営者は必ず「問題」を持って来られます。
「人が採れない。」
「売上が落ちている。」
「社員が育たない。」
「ホームページから問い合わせが来ない。」
もちろん、それらは現実に起きている問題です。
しかし、私が最初に考えるのは、「その問題は、本当に解決すべき問題なのだろうか」ということです。
少し意地悪に聞こえるかもしれません。
けれど、この問いを持つことは、経営ではとても大切です。
例えば、「人が採れない」という相談があります。
そこで求人広告を増やしたり、採用サイトを作り直したりすることは、一見すると正しい対策に見えます。
しかし、話を聞いていくと、実は人が辞めてしまう原因は採用ではなく、教育体制だったということがあります。
教える人が決まっていない。
仕事が属人化している。
入社しても、何を期待されているのか分からない。
その状態で採用だけ強化しても、また同じことを繰り返すだけです。
あるいは、「売上を増やしたい」という相談でも、詳しく見ていくと利益率の低い仕事ばかりを受けていたり、既存のお客様への対応だけで社長の時間が埋まっていたりすることがあります。
売上だけを追いかければ、会社はさらに忙しくなります。
けれど、利益も時間も残らない。
その結果、「もっと売上を増やさなければ」という判断をしてしまい、さらに苦しくなる。
経営では、このような悪循環は決して珍しくありません。
私は、経営コンサルタントの役割は、解決策をたくさん知っていることではないと思っています。
むしろ、「今見えている問題は、本当に原因なのか」を一緒に考えることに価値があります。
病院で例えるなら、熱があるからといって、すぐに解熱剤を出すだけでは終わりません。
なぜ熱が出たのか。
その原因は何なのか。
そこを見極めるからこそ、適切な治療につながります。
経営も同じです。
目の前の問題だけを見て対策を打つことは、症状だけを追いかけることになりかねません。
一歩立ち止まり、その問題が生まれた背景を考える。
その積み重ねが、本質的な経営改善につながります。
だから私は、相談を受けたとき、すぐに「こうすれば解決します」とは言いません。
まずは、「その問題は、どこから生まれたのでしょうか」と問い掛けます。
本当の原因が見えてくれば、解決策は自然と絞られてきます。
そして、その解決策は、他社の成功事例を真似したものではなく、その会社だからこそ選ぶべき答えになります。
私は、経営改善とは「答えを探すこと」ではなく、「本当に向き合うべき問題を見つけること」から始まると考えています。


