シンプルな治療 ( 病ましてまで、知らしてくれる? ) 聖路加国際病院理事長の医師日野原重明先生
本日のお話を読む 前に、皆様まず鏡を 用意してください。 そして、ベーっと舌 をだして自分の舌が どのようになってい るか見てみましょう。
舌チェック
まず、舌の色を見ていきます。舌が薄い ピ ン ク 色 の 方 は、 冷えがあり、血流が悪く、逆に赤みが強い方は、身体 に熱がこもっている状態なので、ゆっくりできる休息 の時間が必要です。熱を取り去るためには、地黄や石 膏が入った漢方薬を使います。 次に、舌の形です。舌の縁に歯の跡があり、ギザギ ザしている方は、むくみがあります。この状態を漢方で、 水毒といいます。水毒の原因である、余分な水を取り 除くためには、半夏が入った漢方薬をよく使います。 次に、舌の上の苔の状態です。胃腸が悪かったり、風 邪をひいたりした時、この苔が増え、舌の上が真っ白 になります。 最後に、舌の裏を見てみましょう。血管がよく見え る方は、よく見えるから血流がいいのだと喜んではい けません。血管が太く、黒ずみ、くっきりと見えてい る方は、実は、血流が悪い証拠です。漢方では、この ことを瘀血といいます。 漢方薬を少しさぼったら、血管がよく見え、慌てて 漢方薬を煎じることがありました。また、暴飲暴食を すると、舌の上に苔がびっしりとつき、反省すること もよくあります。もちろん、きれいなピンクにうっす ら苔がある最高の状態だと、それだけで1日がハッピー になります。
漢方診断の一つ「舌診」
このように舌を診て、身体の状態を知ることを「舌診」 といいます。実際に目でみて、自分の健康をはかれる 大切な指標です。つまり、舌は、自分の健康をうつし だす鏡です。人間は口から肛門まで1つの管で繋がっ ていて、その途中途中に食道があり、胃があり、腸が あります。その中で唯一、目で直接見ることができる のが、口の中の舌なのです。専門家でなくとも、皆様が日常生活でできることが舌診です。 最後に余談ですが、静岡の人は、舌のことを「舌べら」 といいます。ぜひ、毎日鏡で“ 舌べら ”チェックして みてください。