エネルギーを集中する
こんにちは、サポートコーチ出雲の山根浩二です。
今日は、過去にうまくいかなかった事業について、少し考えてみたいと思います。
経営をしていると、新しい事業にチャレンジすることがありますよね。
これはいけるんじゃないか。
自分たちの技術を使えば、もっといいものができるんじゃないか。
今までとは違うお客さんに、商品を届けられるんじゃないか。
そんなふうに考えて、新しい事業を始める。
ところが、思ったようにはいかない。
お客さんが集まらなかったり、利益が出なかったり、思っていた以上に費用がかかったり。
いろいろと試してみたけれど、結局、事業を続けることができずに撤退する。
そういう経験をされた経営者の方もいらっしゃると思います。
そして、何年かたってから、ふと、その事業の話が出てくることがあります。
「以前、うちでもそういう事業をやっていたんですよ。」
そう話すと、周りの人から、
「それなら、もう一度やってみたらいいじゃないですか。」
と言われる。
でも、本人はこう思うんですよね。
「いやいや、昔やってうまくいかなかったから、ダメなんですよ。」
確かに、一度失敗した経験があるわけですから、そう考えるのも無理はありません。
実際にやってみて、うまくいかなかった。そのときの苦労も知っている。お金も時間も使ったかもしれない。
だからこそ、もう一度やることに抵抗がある。
ただ、私はここで、一つ考えてみたいことがあるんです。
**昔うまくいかなかった事業は、今やってもうまくいかないのでしょうか。**
もちろん、同じことを何も変えずに繰り返したら、同じ結果になる可能性はあると思います。
でも、本当に何も変わっていないのでしょうか。
ここが大事なところだと思うんです。
例えば、昔その事業を始めたときには、技術が十分ではなかったかもしれません。
必要な設備が高すぎて、採算が合わなかったのかもしれません。
商品をつくることはできても、販売する方法が見つからなかったのかもしれません。
そもそも、その商品を必要とするお客さんが、当時は少なかったということもあるでしょう。
あるいは、事業を進めるための人材が足りなかった。資金に余裕がなかった。協力してくれる会社がなかった。
いろいろな理由が考えられます。
では、今はどうでしょうか。
技術が進歩しているかもしれません。
昔は難しかった製造方法が、今なら実現できるかもしれません。
販売方法も変わっています。以前は地域のお客さんにしか届けられなかった商品が、インターネットを使うことで、遠くのお客さんにも届けられるようになっているかもしれません。
当時は高かった設備も、今なら別の方法で代用できる可能性があります。
会社の中にも、昔はいなかった人材がいるかもしれません。
そして何より、経営者自身が変わっています。
事業を経験し、失敗も経験し、いろいろなことを学んできた。
昔は気づかなかったことに、今なら気づけるかもしれません。
そう考えると、同じ事業に見えても、当時と今では条件が違っていることがあるんですよね。
事業というのは、商品やサービスだけで成り立つものではありません。
時代や環境、技術、資金、人材、経験、販売方法、そしてタイミング。
そうしたいろいろなものが組み合わさって、初めてうまくいくことがあります。
もちろん、運もあると思います。
どれだけ準備していても、思うようにいかないことはありますし、反対に、いろいろな条件がうまく重なって、予想以上の結果になることもあります。
だから私は、昔うまくいかなかったという事実だけで、今もダメだと決めてしまうのは、少しもったいない気がするんです。
以前、失敗したことがある。
それは間違いのない事実です。
でも、そこから「だから今も失敗する」と結論づけるのは、少し違うのではないでしょうか。
過去にうまくいかなかったことと、これからもうまくいかないことは、同じではないんですよね。
むしろ、昔チャレンジした経験があるからこそ、今度は違う方法を考えられるということもあると思います。
以前は、商品の魅力をうまく伝えられなかった。
でも、今なら伝え方を変えられるかもしれない。
以前は、製造コストが高くて利益が出なかった。
でも、今なら別の製造方法を選べるかもしれない。
以前は、事業を進めるための人材がいなかった。
でも、今なら一緒に取り組める仲間がいるかもしれない。
そう考えると、昔の失敗は、ただの失敗ではなくなってきます。
当時の自分たちが、何を知っていて、何を知らなかったのか。
何が足りなかったのか。
どこに問題があったのか。
そうした情報が残っているわけです。
今、改めて考えるときには、その経験も材料として使えるはずです。
もちろん、昔うまくいかなかった事業を、何でもかんでも再開すればいいという話ではありません。
今の時代にも需要があるのか。採算は合うのか。今の会社の強みを生かせるのか。
そうしたことは、改めて確認する必要があります。
調べてみた結果、やはり今はやらないほうがいい、という判断になることもあるでしょう。
それも一つの答えだと思います。
ただ、実際に検討して判断することと、昔失敗したからという理由だけで最初から可能性をなくしてしまうことは、違うと思うんです。
私は、そこに希望があると思っています。
特に、長く事業を続けてきた会社には、いろいろな経験や技術が蓄積されています。
昔、自社の強みを生かせると思って始めた事業があった。
でも、当時はうまくいかなかった。
その事業を、今の技術や経験、資金力、人材を使って、もう一度見直してみる。
以前とは違うメンバーで取り組むこともできるかもしれませんし、ほかの会社と協力することで実現できることもあるかもしれません。
昔はできなかったことが、今ならできる。
そんな可能性もあるわけです。
私は、これまでの経験を生かして新しい事業を考えることは、会社にとって大きなチャンスになると思っています。
ただ、私が気になるのは、そういう可能性があるにもかかわらず、
「昔やって失敗したから、もうダメだ。」
という一言で、話が終わってしまうことなんです。
その判断は、本当に今の状況を見て出した答えなのでしょうか。
それとも、過去の経験から、そう考えるようになったのでしょうか。
もちろん、過去の経験を大切にすることは必要です。
でも、その経験だけで未来まで決めてしまう必要はないと思うんです。
私がコーチングで大切にしているのも、こうした部分です。
今までの考え方を否定するのではなく、ほかの可能性も考えてみる。
「昔うまくいかなかったのは、何が原因だったんでしょう。」
「その原因は、今も残っているのでしょうか。」
「もし今の環境で取り組むとしたら、何が変わるでしょう。」
そんな問いを通して、もう一度考えてみる。
すると、以前は見えていなかった選択肢が見つかることがあります。
昔と同じことを、もう一度やる必要はありません。
過去の経験を生かして、今の時代に合う形に変えていけばいい。
もしかすると、昔は失敗した事業が、今度は会社の新しい柱になるかもしれません。
もちろん、そうならないかもしれません。
でも、やってみなければ分からないこともありますし、考え直してみなければ見えてこない可能性もあります。
昔、失敗した事業がある。
もし、そんな経験をお持ちなら、一度だけ考えてみてほしいんです。
その事業は、本当に今もダメなのでしょうか。
当時と今では、何が変わったのでしょうか。
そして、今の自分たちだからこそ、できることはないでしょうか。
過去の失敗は、未来の可能性を否定するためだけにあるのではありません。
そこから学んだことを、次の挑戦に生かすこともできるはずです。
私は、昔うまくいかなかったことの中にも、これからの事業につながる種が残っているのではないかと思っています。
その種が、今の時代に芽を出すかどうか。
一度、改めて考えてみるのも、悪くないのではないでしょうか。


