値上げが怖い。その正体は「値下げが正義」という思い込みかもしれない

山根浩二

山根浩二

テーマ:引き算コーチング

「値上げするのが怖いんです」

経営者の方から、こんな言葉を聞くことがあります。

値上げしたら、お客様が離れてしまうんじゃないか。
「高くなった」と思われるんじゃないか。
今まで来てくれていたお客様に申し訳ない。
だったら、もう少し我慢して今の価格で続けたほうがいいんじゃないか。
そんなふうに考えてしまう。
確かに、値上げには怖さがあります。

でも、ここで少し考えてみたいんです。
「そもそも、なぜ私たちは値上げをこんなに怖いと思うんだろう?」
私は、その理由の一つに「値下げは正義」という価値観があるのではないかと思っています。
安くすれば、お客様に喜んでもらえる。
安くすれば、たくさん売れる。
たくさん売れれば、商売はうまくいく。
そんなイメージです。

日本では、昔から「安くて良いもの」が非常に高く評価されてきました。
なぜなら昭和の時代にスーパーが誕生して、他店よりも安く大量に販売するというビジネスモデルの成功例を日本人は見てきて価値観として信じられてると思います。
「昨日より安い」「他店より安い」「お買い得」ということが、商品の魅力として大きく打ち出されてきました。
誰もが消費者としての立場の価値観が強いので、価値あるものが「安い」というのを喜ぶ土台があります。

もちろん、値下げそのものが悪いわけではありません。
大量に仕入れて、大量に販売することで、一つの商品あたりの利益を小さくしても全体として利益を出す。
大きな会社であれば、そういうビジネスモデルも成立します。
ところが、小さなお店や中小企業が、同じことをしようとするとどうなるでしょうか?

私は以前、実際にそんなお店を見たことがあります。
あるとき、小さな雑貨屋さんがオープンしました。
その店主さんは、以前、大きな雑貨店で働いていたそうです。
そこでは、お客様が次々にやってきて、商品がどんどん売れていく。
「雑貨屋さんって、こんなに売れるんだ」
そう思ったことがきっかけで、自分でもお店を始めたそうです。
ところが、実際に自分で店をやってみると、思っていたようにはいきません。
大きなお店と同じような商品を仕入れて、同じような価格をつけても、同じようには売れない。
かといって、大きなお店より高い価格にすると、お客様から比較されてしまう。
「同じような商品なのに、こっちのほうが高い」
そう見られてしまう。
結局、十分な利益を残すことができず、そのお店は早い段階で閉店してしまいました。


この話を聞いたとき、私は「価格の問題」というより、「戦う場所を間違えてしまったのではないか」と感じました。
小さなお店が、大きなお店と同じルールで戦う必要はありません。
むしろ、大きなお店にはできないことをやる。
そこに、小さなお店の強みがあるはずです。

例えば、商品のことを詳しく説明する。
お客様の話をじっくり聞く。
その人の暮らしに合った商品を一緒に考える。
店主のこだわりや商品の背景を伝える。
「なぜ、この商品を選ぶのか」まで含めて提案する。

お客様が買う理由を理解して納得して買われる状態を提供する。
これに関しては、沢山の正解があると思います。

こうしたことは、必ずしも大きなお店が得意なことではありません。
つまり、小さなお店に必要なのは、「どうすれば大手より安くできるか?」ではなく、
「大手では提供できない、どんな価値を提供できるか?」
なのかもしれません。

ところが、私たちはつい「価格」に目を向けてしまいます。
「もっと安くしないと売れない」
「高くしたら申し訳ない」
「お客様は安いほうを選ぶ」
そう思ってしまう。
でも、本当にそうでしょうか?
ここが、私がコーチングで一緒に考えてみたいところです。
値上げの相談を受けたとき、私は単純に「値上げしましょう」と言いたいわけではありません。

むしろ、
「なぜ値上げが怖いんでしょう?」
「高くしたら、本当にお客様は離れるんでしょうか?」
「その価格でなければ、お客様に選ばれないんでしょうか?」
「そもそも、大手と同じ価格である必要があるんでしょうか?」
「あなたのお店だからこそ提供できるものは何でしょう?」
今まで言葉にしていなかった答えを見つかる。
そんなことを、一緒に考えてみたいです。

思い込みを外す、という言い方をすることがあります。
でも私は、「今までの考え方が間違っていた」と決めつける必要はないと思っています。
「値下げが正義」という考え方も、ある場面では正しいのかもしれません。
大量に販売できる会社にとっては、それが成功する方法なのかもしれません。
ただ、それが「自分のお店にも当てはまるのか?」ということです。

他の人にとって正しい方法が、自分にとっても正しいとは限りません。
そこに気づくことが大切なのだと思います。
あなたにしか見つけられない答えがあると私は信じています。

値上げは、お客様から余分にお金を取ることではありません。
自分たちが提供している価値に対して、適正な価格を設定することでもあります。

そして、その価値をきちんと伝えることも、経営者の大切な仕事です。

「値上げが怖い」

そう感じたときは、いきなり価格を上げるか、上げないかを決める前に、一度立ち止まってみてください。

もしかすると、怖いのは「値上げ」そのものではないのかもしれません。
「値下げは正義」
「安いほうがお客様のため」
「高くすると悪い」
そんな、知らないうちに身につけてきた価値観が、値上げを怖くしているのかもしれません。

もしそうだとしたら、必要なのは「値上げする勇気」だけではありません。
「本当に、それが正しいんだろうか?」
と、引き算コーチングによって
自分の当たり前を一度問い直してみること。

そこから、これまで見えていなかった別の可能性が見えてくるのではないでしょうか?

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

山根浩二プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

山根浩二
専門家

山根浩二(ビジネスコーチ)

サポートコーチ出雲

経営を好転させるには、やる事を足すのではなく『絞る』。それが”引き算経営”の本質です。今、あなたが本当にやるべき一つの事に集中するだけで、迷いが確信に変わり、狙い通りの結果を手に入れられます。

山根浩二プロは山陰中央新報社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

引き算コーチングのプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ山陰・島根
  3. 島根のビジネス
  4. 島根の経営改善・資金繰り
  5. 山根浩二
  6. コラム一覧
  7. 値上げが怖い。その正体は「値下げが正義」という思い込みかもしれない

山根浩二プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼