<引き算コーチングの核心>コーチングで、何を引き算するのか?
こんにちは、
サポートコーチ出雲の山根浩二です。
以前、
メンターコーチから学んだことの一つに、
”感情の通り道は一つしかない”、
という話があります。
どういうことかというと、
プラスの感情とマイナスの感情があるとして、
感情の通り道は狭いので、
一度に通れるのは一つだけだ
という考え方です。
例えば、喜びを感じているときに、
同時に悲しみを感じることはできない。
反対に、悲しみを感じているときに、
喜びを感じることもできない。
もちろん、うれしいことがあったのに、
どこか寂しいというように、
いくつかの感情が入り交じることはあります。
ただ、ある感情に強く浸かっているときには、
ほかの感情が感じにくくなる。
そういうことはあるのではないでしょうか。
この話を初めて聞いたとき、
なるほど、
そういう見方もあるのかと思いました。
そして、コーチングのセッションでも、
機会があればクライアントに
お伝えすることの一つです。
今の感情に、どっぷり浸かっている
例えば、
仕事で思うような結果が出なかったとします。
自分なりに頑張ったのに、成果が出ない。
周りの人はうまくいっているように見える。
自分には能力がないのかもしれない。
これから先も、このままなのだろうか?
そんなことを考えているうちに、
どんどん気持ちが落ち込んでいく。
こういうことって、ありませんか。
最初は、
うまくいかなかったという出来事が
あっただけなのに、
そこからいろいろなことを考え始めて、
気がつけば、
落ち込んだ気持ちの中にどっぷり浸かっている。
そうなると、
なかなか別のことを考えられなくなります。
少し先のことを考えれば、
まだできることはあるかもしれない。
別のやり方を試せば、
結果が変わるかもしれない。
誰かに相談してみれば、
違う方法が見つかるかもしれない。
頭では、
そういう可能性があることを知っていても、
なかなかそうは考えられない。
なぜか。
今の感情に強く影響されているからです。
落ち込んでいるときには、
落ち込む理由が次々に見つかる。
不安なときには、不安になる材料が目につく。
自分が今感じていることを裏付けるように、
物事を見てしまうことがあります。
そうすると、
ますますその感情から抜け出しにくくなる。
まるで、
一本の道を歩き続けているようなものです。
感情の通り道は、一つしかない
ここで、先ほどの話に戻ります。
感情の通り道は一つしかない。
もし、今感じている感情とは
別の感情に切り替えることができたら、
どうなるでしょうか?
例えば、不安を感じているとき。
「このままうまくいかなかったら、
どうしよう?」
そう考えていると、
うまくいかなかった
場合のことばかり考えてしまいます。
では、質問を変えてみたらどうでしょう。
「もし、うまくいくとしたら、
何ができるだろう?」
同じ状況なのに、考える方向が変わります。
不安な未来を想像する代わりに、
うまくいく可能性を探し始める。
すると、今まで見えていなかった方法や、
試してみたいことが
浮かんでくるかもしれません。
もちろん、
質問を一つ変えたからといって、
すぐに気持ちが切り替わるとは限りません。
それでも、
今までとは違う方向に意識を
向けるきっかけにはなります。
ほかにも、こんな質問があります。
「もし、信頼している人が同じ状況だったら、
どんな言葉をかけますか?」
「この経験から、
何か得られるものがあるとしたら、
それは何でしょう?」
「今の状況で、
自分にできることが一つあるとしたら、
何でしょう?」
質問によって、意識を向ける先が変わります。
そして、意識を向ける先が変わることで、
感じ方にも変化が生まれることがあるのです。
感情を変える前に、今の自分に気づく
ただ、ここで一つ大切なことがあります。
それは、
無理にポジティブになろうとしなくてもいい、
ということです。
落ち込んでいるのに、
元気を出さなければいけない。
不安なのに、
前向きに考えなければいけない。
そうやって自分に言い聞かせても、
かえって苦しくなることがあります。
だから、まずは今の自分が
どういう状態なのかに気づくこと。
「ああ、今、自分は不安なんだな」
「ずいぶん落ち込んでいるな」
そんなふうに、
一歩引いて自分の感情を眺めてみる。
感情をなくそうとするのではなく、
今、そういう感情を感じている
自分がいることに気づく。
それだけでも、少し違ってくることがあります。
そのうえで、自分に質問してみる。
「このまま同じことを考え続けたら、
どうなるだろう?」
「別の見方をするとしたら、
どんな見方ができるだろう?」
「今の自分が、少しでも楽になるために
できることは何だろう?」
答えを無理に出す必要はありません。
質問をすることで、
今まで一つしかないと思っていた
道のほかにも、
道があるかもしれないと
気づくことが大切なのです。
選べることに気づく
コーチングをしていると、
クライアントが同じことを何度も考えて、
堂々巡りになっている場面があります。
本人は真剣に考えているのですが、
考えれば考えるほど、
同じところに戻ってしまう。
そんなとき、
私は少し違う角度から質問をすることがあります。
すると、
それまでとは違う答えが出てくることがある。
本人も
「ああ、そういう考え方もありますね」と気づく。
その瞬間、何かが変わり始めます。
それまで見えていなかった
選択肢が見えてくるからです。
私は、コーチングの役割の一つは、
こういうところにあると思っています。
答えを教えることではなく、
本人が別の可能性に気づけるようにすること。
そして、自分で選べる状態になってもらうことです。
感情の通り道は一つしかない。
この考え方を知っていると、
今の感情に浸かっている自分に気づいたとき、
少し違う対応ができるかもしれません。
今は不安だけれど、
別のことを考えてみよう。
今は落ち込んでいるけれど、
違う質問を自分に投げかけてみよう。
そうやって、
今の感情とは違う方向に意識を向けてみる。
それでも気持ちが変わらないこともあるでしょう。
それなら、それでもいいのです。
大切なのは、
今感じている感情が、
自分のすべてではないということ。
今の自分には、
この感情しかないように感じられても、
別の感じ方や考え方が見つかる可能性はあります。
その可能性に気づくことができれば、
次の一歩も、
少し違ったものになるのではないでしょうか。


