パソコンやネットを最新にしたのに遅い!意外な原因「ボトルネック」

古賀竜一

古賀竜一

テーマ:機器と端末の管理と保守

ボトルネックとはどういう意味か?


コンピュータの処理や通信、データ転送が遅い場合、原因は一つではありません。さまざまな要因が絡みます。その中でも、意外と見落とされがちなのが「ボトルネック」の存在です。

「最新型の高速なネットワーク機器を導入した」とか「パソコンをしっかりとメンテナンスした」ということで、「これで万全になった」と安心してしまう方は少なくありません。しかし、環境のどこかに「ボトルネック」が潜んでいると、「あれ?せっかくお金をかけたのに、思ったほど速度が上がらない!なぜ?」という結果になってしまいます。

「ボトルネック」とは、文字通りボトル(瓶)のネック(首)という意味です。ビンの途中がキュッと狭くなっている形状に例えて、「経路の途中に狭くて通りにくい箇所がある状態」を指します。

分かりやすく道路事情で例えてみましょう。
何車線もある広い道路が、工事のために途中で1車線に減少して狭くなっているような状況です。どれだけ手前の道路が広く、走っている車がスーパーカーだったとしても、その狭い場所(ボトルネック)に差し掛かれば当然大渋滞が起き、そこを通過できる車の台数は制限されてしまいます。

IT環境でも全く同じことが起こります。データ転送や通信の経路途中に「極端に遅い部分」や「速度を低下させる要因」があると、単位時間あたりに転送できるデータ量(スループット)がそこで制限され、結果として全体の処理や通信に長い時間がかかってしまうのです。

ボトルネックを残したままだと、最新機器を導入してもポテンシャルを十分に活かすことができません。せっかく費用をかけてIT環境を整えても、投資に見合った速度向上が得られず、費用対効果が大きく損なわれてしまいます。

もしボトルネックがあるIT環境をそのまま何年も使い続けていたとしたら、その数年間に被った時間的・業務的なロスは、明らかに目に見えない「大きな損失(お金の損失)」です。

「技術的な話は難しくて苦手だ」と感じる方もいるかもしれませんが、これが「毎月、毎年、お金を捨て続けている話」となれば、無視はできないはずです。

もちろん、一部の機器を新しくすることで、以前よりはいくらか速くなるかもしれません。しかし、本当に快適で高速なIT環境を実現するためには、経路上のボトルネックを完全に排除し、導入した機器の性能を十分に発揮させる必要があります。

では、具体的にどのようなケースがボトルネックになってしまうのか。サポートの現場でも頻繁に遭遇する盲点と、その具体的な改善方法を詳しく解説します。

具体的なボトルネックの事例


IT環境でよく見受けられる代表的なボトルネックの事例です。これらは「意外と気が付きにくい部分」ばかりですので、速度低下を根本から解決したい場合は、すべての項目に目を通してみてください。

1. パソコン・端末内部のボトルネック

メモリの仕様不適合
CPUが求めるデータ転送量(帯域幅)に満たないメモリを選定してしまい、内部処理で速度低下が起きている。

マルチチャンネルが機能していない
メモリの容量や挿すスロットの位置が適切でないため、本来のマルチチャンネル(複数枚のメモリに同時アクセスして高速化する技術)性能が機能していない。

ストレージの速度不足
CPUやメモリはハイスペックなのに、OSの起動やメインの駆動にHDD(特に回転数が5,400rpmなどの低速なもの)を使用しており、ストレージの転送速度が全体の足を引っ張っている。

2. 周辺機器・データ通信のボトルネック

古いUSB規格の混在
USB 3.xなどの高速転送に対応した外付けSSDや機器を接続しているのに、途中に挟んでいるハブやケーブルが古い「USB 2.0規格」のため、速度が大幅に制限されている。

古いディスプレイケーブル
いまだにアナログケーブルで接続していたり、古いHDMIケーブルなどをそのまま使っているため、モニターが持つ本来の高解像度や高リフレッシュレート(なめらかな表示)が正常に発揮できていない。

Webカメラなどの通信設定
カメラやパソコン、ネットワーク自体は高性能・高速対応しているにもかかわらず、アプリ側の設定が通信帯域を抑えるための「低解像度設定」のままになっており、画質や動作が制限されている。

ネットワーク通信のボトルネック

機器の100Mbps制限
インターネット回線やパソコンが1Gbps(ギガ)以上に対応しているのに、途中のブロードバンドルーター、スイッチングハブ、あるいはUTM(統合脅威管理機器)の規格が「100BASE-TX(最大100Mbps)」止まりになっている。

古いLANケーブルの残存
宅内やオフィスの配線の一部に、最大100Mbpsまでしか対応していない古い「カテゴリ5(CAT5)」のケーブルが残っている。

Wi-Fi規格のミスマッチ
無線Wi-Fiルーター(親機)が最新の高速規格に対応していても、受信するパソコンやスマホ(子機)側が古い規格(Wi-Fi 4など)のままであるため、遅い方の速度に引っ張られている(またはその逆のパターン)。

高速回線なのに性能を発揮できない環境
2.5GbEや10GbEといった超高速なネットワーク環境を構築したつもりでも、途中のハブやLANケーブルが「1Gbps(1000BASE-T)」止まりのままになっている。

もし、これらの環境が複数当てはまるようであれば、あなたのIT環境は「ボトルネックだらけ」ということになります。

いくら最新のパソコンや高性能なWi-Fiルーターを単体で導入しても、全体の通信速度が遅くなってしまうのは当然と言えます。


IT環境のボトルネックを突き止め、改善するための手順


端メモリの動作状況を確認する

まず確かめておきたいのが、システムメモリ(RAM)が「マルチチャンネル」で動作しているかどうかです。

デスクトップでもノートPCでも、メモリが1枚しか挿さっていない(シングルチャンネル)状態では、CPUの性能を十分に引き出せていない可能性があります。もう1枚同規格のメモリを増設することで、処理速度の大幅な改善が見込めます。

また、2枚挿さっていても、それぞれの容量や仕様が異なる場合は、本来のデュアルチャンネル性能が発揮されないことがあります。最も安定して性能を発揮させるには、「同容量・同規格」のメモリで揃えるのが鉄則です。

※メモリの動作状況やスロットへの装着状態を調べるには、「CPU-Z」などの定評ある無料診断ツールを使用すると、パソコンを分解することなく詳細に確認できます。





OSの起動ドライブは一択で「SSD」にする

もし、現在もHDD(ハードディスク)をメインの駆動ドライブ(OSがインストールされている場所)として使用しているパソコンがあれば、そこが最大のボトルネックです。

特に回転数が5,400rpmのHDDは、データの読み書きが非常に低速です。(※発熱や消費電力が少ないため、データ保存用の“倉庫”としては優秀な側面もありますが、システム駆動には向きません)。

現代のWindows 10やWindows 11は、SSDの高速なランダムアクセス速度を前提に設計されています。そのため、7,200rpmの高速型HDDへ交換する程度ではボトルネックは解消されません。劇的な速度改善を求めるなら、メインドライブの「SSD化(換装)」が必須です。


SSDの場合はSATAよりもNVMe

さらに、CPUやメモリが高性能で、クリエイティブな作業や大容量データを扱う用途であれば、従来のSATA接続のSSD(転送速度上限:約550MB/s)すらボトルネックになる場合があります。

マザーボードにM.2スロットがあり「NVMe」に対応しているなら、より高速な「NVMe SSD」を導入しましょう。

その際、規格が「PCIe Gen4」などの高速なものであっても、マザーボード側が「Gen3」までしか対応していなければ、実際の速度上限はGen3相当になります。必ずパソコン側の対応規格を確認して選択してください。

ネットワークから「100Mbpsの壁」を排除する

インターネットや社内LANの速度を落とさないために、以下の有線・無線のチェックを行いましょう。

ルーター・ハブの仕様確認
Wi-Fiルーターのインターネット側(WAN)およびLAN側ポート、そして途中のスイッチングハブの仕様が「1000BASE-T(1Gbps)」以上に対応しているか、型番から確認します。「100BASE-TX(最大100Mbps)」の機器が一つでも混ざっていれば交換が必要です。

リンク速度の確認(Windows)
有線LANの場合、Windowsの「設定」>「ネットワークとインターネット」>「プロパティ」を開き、現在の「リンク速度(受信/送信)」が「1.0 Gbps(1000 Mbps)」以上になっているか確かめます。

LANケーブルの規格チェック
ネットワーク周りの配線ケーブルの表面に印字されている文字を確認します。最低でも「カテゴリ5e(CAT5e)」、できれば「カテゴリ6(CAT6)」以上になっているか確かめてください。無印の「カテゴリ5(CAT5)」は最大100Mbps止まりになるため、見つけ次第交換します。

Wi-Fi受信側(子機)の規格確認
パソコンやデバイス側のWi-Fi仕様が、Wi-Fi 5(11ac)やWi-Fi 6(11ax)以降に対応しているか確認します。古い規格にしか対応していない古いパソコンの場合、最新規格に対応した外付けの「USB Wi-Fi子機」を導入することで改善する場合があります。






業者任せにせず、自分でもチェックする重要性


このように、IT環境におけるボトルネックは、ユーザーの預かり知らないところで発生しているケースが非常に多く、結果として費用対効果を大きく損なっています。

最新機器の導入を業者に依頼した場合、技術営業もできる業者は親切に環境チェックを行って「ボトルネック」の存在を伝えてくれる場合もあります。

ところが実際の現場でもよくある盲点ですが、機器の設置や設定を行う業者の中には、あくまで「契約範囲内の作業(指定された機器をつなぐ、ネットを繋げる)」しか行わない場合があります。

一歩踏み込んだ「環境全体の最適化」や「潜在的なボトルネックの改善提案」までは行ってくれないことがほとんどです。

なぜなら、その提案によってコストの上積みが発生する可能性がある場合、現場と営業担当者の間でトラブルになる可能性があるからです。特にOA機器業者や大手のシステム業者、下請け孫請け体制の全国チェーンの事業ではその傾向が強くなります。要するに「業者都合」というものです。

「プロの業者にやってもらったから大丈夫」と思い込んでしまっているユーザーほど、古いLANケーブルや100Mbps止まりの古いハブをそのまま放置され、高性能な最新機器の本来得られる性能を十分活かせていないケースが少なくないのです。

現在の環境でどこがロスの原因になっているのかを知ることは、コストの面でも非常に重要です。業者にまかせっきりにするのではなく、ユーザー自身でも最低限のチェックを行える知識を持っておく必要があります。

あなたのパソコンやオフィスにも、どこかに潜んでいるかもしれないボトルネック。費用対効果を最大化するためにも、ぜひ一度チェックしてみることを強くおすすめします。

筆者実績:http://www.kumin.ne.jp/kiw/#ss

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古賀竜一
専門家

古賀竜一(システムエンジニア)

九州インターワークス

ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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