IT機器トラブルは電源スイッチの入れ直しより、電源コードの抜き挿しだけで直ることがある

古賀竜一

古賀竜一

テーマ:機器と端末の管理と保守




突然のトラブルで焦って思考停止にならないように


●パソコン・タブレット・プリンタ・Wi-Fi無線ルータ・その他周辺機器などを使っている最中に、様々なトラブルが発生することがあります。

●印刷できない、ネットにつながらない、エラーが出る、ファイルが開けない、周辺機器が認識しない……など、突然の不具合が起きると、「壊れたかもしれない」「ウイルス?」「寿命かな?」など、様々なことが頭をよぎって焦ってしまう方も多いと思います。

●実際、サポート現場でも、突然のトラブルで冷静さを失い、何をして良いかわからないまま相談されるケースは少なくありません。

●しかし、IT機器のトラブルの中には、ソフトウェアやOSの再起動だけで改善するものも数多くあります。また、それでも改善しない場合に「完全に電源を切る」ことで復旧するケースもあります。

●その方法は特別難しいものではありません。昔からある基本的な対処法ですが、現在のIT機器でも有効な場面が少なくないのです。

「電源を切る」ではなく電源を「外す・抜く」


●ここでいう「電源を入れなおす」とは、単に本体のスイッチをOFFにするだけではありません。必要に応じて、コンセントを抜く、電源タップのスイッチを切る、ACアダプタを外すなど、「機器への給電を完全に止める」ことを意味します。

●ただし、いきなりコンセントを抜くのは危険な場合があります。特にパソコンでは、保存中のデータやSSDへの書き込み処理が破損する可能性があります。そのため、まずはOSや機器の通常の再起動を試し、それでも改善しない場合に完全電源断を行うのが安全です。

●Windowsパソコンでは、「高速スタートアップ」機能によって、通常のシャットダウンでは内部状態が一部保持されることがあります。そのため、単純な電源OFFよりも「再起動」のほうが改善効果を持つ場合があります。

●パソコンが完全に固まって操作不能になった場合は、電源ボタンを数秒長押しして電源を切ったあと、必要に応じてコンセントやACアダプタを外します。

●ノートパソコンでは、以前のようにバッテリーを取り外せる機種は減っています。現在主流の内蔵バッテリー型では、ACアダプタを外した状態で電源ボタンを長押しし、内部回路を放電させる仕組みを採用している機種もあります。

●特にWi-Fiルータ、プリンタ、USB周辺機器などでは、電源を完全に切って数十秒?数分待ってから再投入することで改善するケースが、サポート現場でも比較的多く見られます。

●簡単な方法に見えますが、トラブル時には焦って思いつかなかったり、逆に難しく考えすぎてしまったりすることがあります。結果として、不要な修理依頼や無駄な時間・コストにつながる場合もあります。

●そのため、IT機器トラブル時の初期対応として、「再起動」や「完全電源断」を知っておくことは重要なのです。

●ではなぜ、再起動や完全な電源断でトラブルが改善することがあるのでしょうか?



※電源を元から抜く


※ノートパソコンならバッテリーも外す

電源を切ることにはちゃんとした根拠がある


●「電源を入れなおしてください」という案内を聞くと、「おまじない」や「気休め」のように感じる人もいるかもしれません。しかし、これにはきちんとした技術的理由があります。

●現在のIT機器は、単純な機械ではありません。パソコンはもちろん、Wi-Fiルータ、プリンタ、テレビ、レコーダー、スマート家電なども、内部では小型コンピュータとして動作しています。

●その多くは、UEFI(BIOS)やファームウェアと呼ばれる制御プログラムによって管理されており、中にはLinuxやAndroidベースのOSが動作している機器もあります。

●つまり、現代のIT機器は「専用コンピュータ」に近い存在になっています。そのため、パソコンと同じようにソフトウェア的な不具合や一時的な処理異常を起こすことがあります。

●例えば、メモリ不足、処理の集中、通信異常、USB機器との不整合、内部キャッシュの不具合、ファームウェアの一時的な暴走などによって、機器が正常動作できなくなることがあります。

●その際、本体のスイッチをOFFにしただけでは、一部の動作状態やメモリ内容が保持される場合があります。

●そこで、コンセントやACアダプタを外して完全に通電を止めることで、メモリや制御回路に残っていた異常状態や一時データを消去し、内部状態を初期化できる場合があります。

●その後、再度電源を投入すると、制御プログラムや機器状態が正常な状態で再読み込みされるため、不具合が改善することがあるのです。


※無線ルータのネットワークプロセッサとメモリ。 電源の入れなおしでユーザー設定を消すことなくリセットできる。 しかし、初期化ボタンを押すと「工場出荷状態」になりユーザー 設定も消えてしまう。

初期化(リセット)の際の注意点

●このような再起動や完全電源断は、パソコンだけでなく、プリンタ、Wi-Fiルータ、モデム、NAS、USB周辺機器など、多くのIT機器で有効な場合があります。

●一方で、「電源を入れなおすこと」と、「工場出荷状態へ初期化すること」は全く別です。

●通常の再起動や電源断では、保存されているユーザー設定やWi-Fi設定などが消えることは基本的にありません。しかし、「RESETボタン」や「初期化メニュー」を使うと、工場出荷状態へ戻ってしまう場合があります。

●特にWi-Fiルータでは、接続IDやパスワード、プロバイダ設定などが消えると、再設定できなくなるケースがあります。設定変更や初期化を行う前には、契約書類や設定情報を必ず確認・保管しておきましょう。

●また、機器によっては内部バックアップ電池や特殊なリセット方法が存在する場合もありますが、安易に分解や電池取り外しを行うのは危険です。メーカーのサポート情報やマニュアルを確認した上で行うことをおすすめします。

●スマホやタブレットについても、昔のように「完全放電で直す」という方法は現在ではあまり推奨されません。リチウムイオン電池は深放電によって劣化するため、まずは強制再起動やOS更新を試すほうが安全です。

●また、クラウド同期中やOS更新中、SSDへの書き込み中などに強制電源断を行うと、データ破損や起動不能につながる危険があります。電源断はあくまで最終手段として慎重に行う必要があります。

●以上の注意点を守れば、「再起動」や「完全電源断」は、IT機器トラブル時の代表的な初期対応のひとつとして現在でも有効です。

●それでも改善しない場合は、故障や設定異常など別の原因が考えられます。自分での対応が難しい場合は、無理をせず専門家やサポートエンジニアへ相談することをおすすめします。

筆者の実績 :http://www.kumin.ne.jp/kiw/#ss

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古賀竜一(システムエンジニア)

九州インターワークス

ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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