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IT機器トラブルの際には電源スイッチを入れなおすのではなく電源コードを抜き挿しするだけで直ることがある

2015年5月28日 公開 / 2022年1月27日更新

テーマ:知って得するITノウハウ

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: ITマネジメントパソコントラブルパソコン修理

突然のトラブルで焦って思考停止にならないように

●パソコン・タブレット・プリンタ・Wi-Fi無線ルータ・その他周辺機器などを使っている最中に様々なトラブルが生じることがあります。

●印刷できない、ネットがつながらない、エラーが出る、ファイルが開けない、周辺機器が使えない・・・など、トラブルが突然起きると「壊れたかもしれない、ウイルス? 寿命かな?」など様々なことが頭をよぎって、焦ってしまうことがあると思います。

●トラブル相談で電話をいただくユーザーの多くは、突然の事で焦っているためどうして良いか分からなくなり、思考停止状態に陥ってトラブルになった状況のまま電話をかけて来られます。

●そんな時、まずは冷静になってもらってソフトウェアの再起動やOSの再起動を促すのですが、案外それだけで解決するトラブルもあります。しかし、OSやソフトウェアのトラブルではない、機器的なトラブルでも2~3割方は「あること」で解消してしまうことがあります。

●その「あること」とは一体何でしょうか? それは特別難しくも、面倒でもなく、意外と簡単に誰にでもできる方法です。

「電源を切る」ではなく電源を「外す」

●その方法とは「電源を入れなおす」ということ。これは単にパソコンを終了操作したり本体のスイッチボタンを押してOFFにするということではありません。コンセント電源を抜く、テーブルタップのスイッチを切る、または電源ケーブルを機器本体から抜く・・ということです。

●ノートパソコンやIT周辺機器の場合はそれだけでなくバッテリーも外します。コンセントからプラグを外しただけでは機器内の電圧は抜けません。バッテリー供給で回路内に電圧はかかったままになっています。

●固まってしまったパソコンの場合はいきなりコンセントを抜くと問題がありますので、電源スイッチを4秒以上の長押し操作で電源を切ります。その後、コンセントからプラグを抜きます。

●特に周辺機器などではそれだけで全トラブル数の2~3割程度は改善することが、これまでの数多くのサポートの事例で実際に判明しています。

●なーんだ、そんなことか・・・という方もおられると思いますが、簡単なことでもそういうことを知らない、焦って思いつかないユーザーにとってはあれこれ悩んだり、おもむろに修理業者に依頼したりして、無駄な時間やコストの発生の原因になっていることがあります。そうならないためにもトラブルの初期対応で知っておいたほうが良いことのひとつなのです。

●機器類にトラブルが起きたとき、まず真っ先にユーザーがしなければいけないことはスイッチを切ったあと「電源(コンセントやバッテリー)を抜く」ということです。

●ではなぜ、電源を抜くことでトラブルが解消することがあるのでしょうか?


※電源を元から抜く


※ノートパソコンならバッテリーも外す

電源を切ることにはちゃんとした根拠がある

●もしかしたら、パソコン修理屋がサポート代金を課金しやすくするための「パフォーマンス」のひとつだとか、「おまじない」とか「気休め」、「プラシーボ効果」と思っている人もいるかもしれませんが、全くそんなことはなくこれにはちゃんとした根拠があります。

●今時のIT機器類は、以前の機械のようにメカだけで作動しているわけではなく、機器内蔵の制御プログラム(BIOSやファームウェア)によってコントロールされています。

●機械はその制御プログラムの支配下にあります。本来そのプログラムは外部から改変できない固定仕様なのですが、ユーザーが変更可能なカスタム設定領域が確保されていて、利用用途などに応じてプログラムの設定を変更することができるようになっています。

●このプログラム容量は時代と共に大きくなって、今では一昔前のパソコン並みのものも出てきています。どうかすると基本プログラムにLinuxやAndroidといったOSが採用されていることもあります。

●制御プログラムも当然「プログラム」ですからバグ発生や処理が追いつかない、過負荷などによって機能不全に陥ることもあります。その時、パソコンがフリーズするのと同じように機械も制御不能になってしまいます。そうなると、機能しなくなって何々ができなくなった・・などのトラブル発生となるのです。

●前回のコラムで、スイッチをOFFにしても電源がつながっていれば、機器の本体の内部には常に電圧がかかっている・・ということをお話しました。

●制御プログラムは、本体のスイッチをOFFしても電源がつながっていると設定などは保持されています。そのため本体のスイッチを切っただけではプログラムの異常も保持されたままになっています。

●その状態を解消するには、本体の電源自体を元から抜いて回路への通電を絶ち、メモリから冗長化したプログラムの異常などを揮発させて初期化やリセットする必要があります。

●その後、再度電源を投入すれば初期化された正常なプログラムが再読込される仕組みになっているため異常が改善されることがあるのです。


※無線ルータのネットワークプロセッサとメモリ。 電源の入れなおしでユーザー設定を消すことなくリセットできる。 しかし、初期化ボタンを押すと「工場出荷状態」になりユーザー 設定も消えてしまう。

初期化(リセット)の際の注意点

●そのようにして、解消できる機器類はプリンタ、ルータ・モデム、パソコン、その他IT機器のほぼ全般に渡ります。

●内蔵充電池で動作しているスマホやタブレットなどでは0%の完全放電から完全充電することで回復することがあります。※頻繁に行うと充電池が劣化しますので注意してください。

●ここで注意したいのは、電源を外しても大体の機器類はユーザー設定値が初期化されることはありませんが、完全な初期化(工場出荷状態に戻す)などの操作を行った場合はユーザー設定値も消失します。特にWi-Fiルータなどは接続契約の資料を失念されている場合、設定が復旧できなくなりインターネットが接続できなくなってしまいます。

●バックアップ電池などが内蔵されているものはその電池を抜く、リセットスイッチなどがある場合は押すことで初期化できますが、工場出荷状態になる可能性が高いので再度設定をやり直す必要がありますので注意が必要です。

●以上、注意点を守れば、トラブル発生の際にまず「電源を元から抜く」ということは解決の基本中の基本です。

●それでも改善しない場合、原因は他にあります。自分の手に余ると思ったら迷わず専門家やサポートエンジニアへ相談されることをお勧めいたします。

九州インターワークス 注目のページ
「パソコンの安定化対策」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/antei.htm

この記事を書いたプロ

古賀竜一

コンピューターサポートのプロ

古賀竜一(九州インターワークス)

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