パソコン、タブレットの故障原因で多い「消耗」や「劣化」その実態とは?

古賀竜一

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テーマ:機器と端末の管理と保守


機器類は使うほど消耗・摩耗・劣化する

パソコン、タブレットはコンピューターの仲間ですが、機械であることは間違いありません。機械は使えば使うほど摩耗・消耗します。また、使っていなくても時間経過による経年劣化は避けられません。厳密には「摩耗」「消耗」「劣化」は意味が異なりますが、ここでは機器の性能低下や故障につながる現象としてまとめて説明します。

一番摩耗しやすいのが駆動部です。絶えず動いている部分や動かしている部位は、摩擦などによってすり減ったり、変形・破損したりします。摩耗が進むと当然正常に動作しなくなりますので、故障の直接原因になります。

ノートパソコンなら液晶画面を支えるヒンジ部分や、キーボード、スイッチボタンなどは、使うほどに物理的な摩耗が生じます。

物理的な駆動部分以外にも消耗・劣化する部分があります。フラッシュメモリなどは、書き換えを繰り返すことで記録セルが劣化していきますし、バッテリーも充放電回数によって確実に性能が低下していきます。

パソコン、タブレットでは主に以下のものが該当します。

「バッテリー」:充放電回数や高温環境などによって劣化する(一般的に2~5年程度で性能低下が目立ちやすい)
「HDD」:駆動部分がある機械なので摩耗・消耗する(不良クラスタなどの発生)
「メモリ」:めったに壊れないが、熱や経年などでまれに故障する
「SSD、フラッシュメモリ」:書き換えによって記録セルが劣化する
「光学ドライブ」:駆動部分の摩耗やレーザーピックアップの劣化が起きる
「ヒンジ部分」:開閉の繰り返しによる摩耗や金属疲労が起きる
「スイッチ類」:扱い方や使用回数によって摩耗・損耗する
「(USB等)コネクタ類」:頻繁な抜き差しで接点が摩耗したり、コネクタ部分が変形したりする
「キーボード」「マウス」:使用頻度によって寿命差が大きい
「電源ユニット」:冷却ファンの軸受け摩耗や、コンデンサの経年劣化が起きる
「メイン基板」:設定保持用バッテリーの消耗や、電子部品の経年劣化が起きる
「ファン類」:軸受けの摩耗で異音や回転不良が発生する


これだけの部分が消耗や劣化を起こすとなると、まるで機械全体が消耗品のようなもの。道理でパソコンやタブレットが消耗品扱いされることが増えているわけです。

使っていなくても機器に起きる経年劣化


よくサポートの現場で「動かなくなったけど買ってからほとんど使っていないので故障ではないはずだ」という相談が寄せられることがあります。何年も放置していた機械が、いざ使おうとしたら動かないということは、パソコンなどに限らず機械類ではよくある話です。

心情的には「使っていないからどこも悪くなっていないはずだ」と思いたい気持ちは分かります。しかし、逆に使っていないことで劣化やトラブルを招く部品もあるのです。

まず、バッテリーが過放電や性能低下によって正常動作しなくなっていたり、スイッチ類やコネクタ類の接点が酸化や腐食によって接触不良を起こし、正常動作を妨げることがあります。

パソコンでよくありがちなのは、内部パーツに樹脂やゴムを使用している光学ドライブです。材質が経年で変性・劣化し、モーターの駆動力を正常に伝えられなくなって、トレイが出てこなくなることがあります。

それから液晶パネルも経年で劣化していきます。劣化すると画面が色あせたり変色したりします。明るさが低下して暗くなったり、色ムラが出現したりすることもあります。

また、消耗とは別に、プラグやコネクタ類は経年劣化で表面に酸化被膜ができ、導通不良を起こすことがあります。工場や作業場など空気環境が悪い場所では、特に顕著に現れることがあります。

さらに言えば、基板上の電解コンデンサなども、放置しているだけで経年劣化が進みます。電解コンデンサは周囲温度が高いほど劣化が促進される性質があります。ですから、夏場の車内やエアコンのない高温環境に長期間置かれていたパソコンは、コンデンサ劣化が早まる場合があります。

そのほかにも意外なのが、CPUやGPUなどの放熱を助ける熱伝導シートやグリスの経年劣化です。劣化して硬化すると熱伝導性能が低下し、冷却不良を起こすことがあります。実際のサポート現場でも、それが原因と思われるトラブル事例は珍しくありません。


※熱伝導グリスが劣化して固体粉化している

機械を使っていなくても劣化するというのは、このような部分があるからなのです。

まとめ



近年のパソコンは軽量化や低価格化、小型化などが進んでおり、内部部品に高い負荷がかかりやすい設計の製品もあります。そのため、使用環境や使い方によっては、劣化が早く進むケースも現実的に存在します。

機械を使用する以上、消耗や劣化は避けられません。だからといって、使わずに後生大事に保管しておけば安心というわけでもないのです。長年使っていないのに故障したことを不思議に思われる方もいますが、それは経年劣化を想定していないからなのです。

機械は適切に使ってこそ価値を発揮します。大事に正しく使うということを、日頃から心がけてください。

筆者実績:http://www.kumin.ne.jp/kiw/#ss

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古賀竜一(システムエンジニア)

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ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

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