充電式バッテリーを内蔵したデバイスや機器の正しい使い方と寿命を延ばす5つの方法
HDDの仕組みと音との関係
●今回のコラムは 「パソコンと音」 編の「HDDの音」についてです。
●HDD(Hard Disk Drive)とはハードディスクドライブのこと。パソコンの中でも最も重要な部分で、ここにOS(基本ソフト)を始めアプリケーションやデータなどすべてが格納されています。ですからこのHDDが無ければOSは起動することはなくパソコンはタダの箱、それかオブジェになってしまいます。
●最近ではSSDをメインでシステムドライブにしている場合も多く、HDDをサブドライブとして利用している人も多くなりました。しかし、データを格納すればその重要性が変わることはありません。
●HDDは機械です。構造としては「プラッタ」という回転盤があって、その盤面には磁性体がコーティングしてあります。その盤にヘッドアームの先端にある磁気ヘッドで電磁気的に円周状にデータを記録したり読み出したりします。プラッタは電磁モータによって回転します。そのためHDDからは回転音やデータを読み取るために動くアームの駆動音など、相応のメカニカルな音が発生します。
正常なHDDの通常の作動音とは
●最近のHDDは通常の稼働状態では余り大きな音を出すことはありません。一昔前のHDDはガリガリ、ゴリゴリ、ガーガーガーなど騒音とも思えるレベルのかなりの大きさの音を発していましたが、技術の進歩で現在では耳を澄まさないと聞こえないレベルにまで清音化されています。それでも今時の清音化されたパソコンの中でも、ファン類と共に主要な音の発生源になっています。
●パソコンの電源を入れるとまず、HDDはプラッタを回すためのモーターが高速回転しますのでキューンという起動音が出ます。そして直後にデータを読み取り始めますので、ヘッドアームが忙しく動きメカニカルな音が出ます。この動作音はHDDメーカーや機種によって特色があり、音だけでどこのメーカー製HDDかがわかることもあります。
●OSを読み込み始めると、ヘッドの正常な作動音であるカリカリカリとかゴロゴロゴロとかグググググという音が続きます。OSが起動してしまうと一旦この音は止みます。続いてアプリケーションを起動するとデータの読み込みのため、また同じ音が聞こえてきます。
●パソコンを終了させる時は電源が切れると同時にHDDのモーター回転が止まりますのでキューンという音で終了するHDDもあります。この音を異常に感じる方も多いようですが異常ではありません。
●パソコンによってはHDDの型式やロットによって、状態が正常でもカリカリという音が大きく聞こえるものもあります。ですから音がするから直ちに故障とか劣化していると早合点しないようにして下さい。しかし、劣化で音が大きくなる傾向というのはありますので普段と明らかに違うと感じた場合は、SMART値などで診断をした方が良いかもしれません。
●また、筐体や格納の場所、マウント方法によっては音が共鳴して大きくなったりHDDではなく筐体自体にビビリ音などが出ていることがあります。そういう場合はどこからの音なのかをはっきりとさせて改善しておく必要があります。
HDDの異常発生初期段階の音とは
●ここまでのプロセスは通常の正常稼働時のHDD作動音を表現してみましたが、では異常時の音は一体どうなるのでしょうか?
●まず起動時です。
●電源を入れてモーターの起動音がした後に、ガキッとかカコンとかカチャカチャとか音がする場合は、HDDに何らかの異常が出ていると思われます。ヘッドがおかしくなっている、不良クラスタが発生している・・など可能性が高い状態です。
●次に、パソコンが起動している最中に連続したカリカリ音やゴロゴロ音ではなくカコンカコンと一定の規則を伴った音が混ざる場合もバッドセクタ、記録面の傷が発生している可能性大です。大切なデータはこの時点で早急にバックアップしましょう。この時点がユーザー自身でデータバックアップできる最終ラインと判断しても良いでしょう。
●モーターの駆動音がブーンという音のあとにいったん止まったり、チューンチューンという断続音が出る場合は回転を制御しているコントローラ、コネクタ類の接続不良が発生している可能性があります。場合によっては供給電源の電圧やメインボード側信号などに問題がある場合も誤作動の原因となって異常動作をし異音が発生することがあります。
●このようにHDD自体の異常が原因ではなく、その他の部分が原因となっている場合は、その部分を改善する必要があります。放置すると問題のないHDDに故障を誘発させることがありますので、直ちに専門家に相談しましょう。
HDDの異常発生、危険領域の音とは
●では、かなり危ない深刻な状況の音とはどんな音でしょうか。
シーッとかシャーーとか何か引き摺るような音が出ている場合、ヘッドが変形などして直接プラッタに接触して当たりながら擦っています。これは磁性体への傷でデータ復旧ができなくなる可能性が高くなりますので、もはやPCやHDDの通電自体してはいけない状況です。
●カチャカチャカチャとかカックンカックンと連続して激しく聞こえてきた場合はHDDが死亡する寸前の可能性が高いです。この時点でのデータ退避は途中で停止してしまう確率が高くなります。要はこの音が出始めたHDDはもはや手遅れということですから、無理をすると専門家によるデータ復旧もできない状態になってしまいます。このような音が出ているものを復旧ソフトにかけたり、弄り回すなどの深追いは禁物です。
HDDの異常、最終段階の音は?
●そしてHDD最大の危険な音の状態、それはどんな音かというと!!!
ドラムローーーーーールっ!!
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「無音」 です。(^o^)>
●つまりHDDは完全に動かなくなってます。おしまいになってます。音がしない場合は最悪の状態です。基板の異常、モーターの故障、ヘッドのプラッタ張り付きなどが考えられます。更にBIOSで認識できなくなっている場合データはほぼ絶望的といえます。
●しかし、そういうものでもデータを復旧出来た事例がありますが、成功率はとても低くわずかで、復旧出来ても費用はかなりの高額になってしまいます。そう簡単には喜べない事態です。
●普段からHDDの音を意識してパソコンを使用することによって、未然にトラブルを回避できる指標になりますので、是非参考にしてください。
●最近のスマートフォンやタブレットPCなどはHDDではなく内部の半導体(フラッシュメモリ)に格納されるため、機械のような駆動部分が無いので基本的に無音です。SSDも機械ではありませんので音に関して言えば対象外となります。
●次回は パソコンと音 第3回「ビープ音、その他」です。
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4005819
九州インターワークス
「パソコンの安定化対策」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/antei.htm