議事録に割印(契印)は必要か
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
平成19年4月1日施行の改正医療法により、理事の任期は2年を超えることができなくなりました。
2年を超えてしまった理事の選任のための定時社員総会を開催するために、監督官庁に対し、仮理事の選任を求められる場合があります。
定時社員総会開催の日を、任期満了の日より前に設定するようご注意下さい。
平成19年4月1日施行の改正医療法より前から、理事の任期を定めている医療法人は多数ありました。
例えば、
(役員の任期)
第17条 役員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
2.補欠により就任した役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3.役員は、任期満了後といえども、後任者の就任するまでは、その職務を行うものとする。
実は、改正前の医療法では、理事の任期は法定されていませんでした。
この定款規定は、結局のところ、監督官庁の指導のもと任意に規定を置いていたわけです。
医療法改正によって、理事の任期は2年と法定されることとなり、第3項の意味合いが、
任期伸長規定から民法第654条の善処義務(任務が終わっても、急迫の事情がある場合は、
次の人が業務を行えるまで、必要な処分をしなければならない義務。)を
定めたに過ぎなくなりました。
その結果、理事は、2年の任期を超えて理事が社員総会を招集・開催することができないので、
仮理事の選任を監督庁に求め、選任された仮理事によって開催された
社員総会で改めて理事を選任することになります。
何か問題や争いがあって開催が遅れたということではなく、2・3日遅れただけというとき、
仮理事選任申立などしている方が、いたずらに期間が過ぎていくように思います。
そこで、救済措置として、仮理事を選任するのを待つことのできない急迫の事情がある場合は、
議事録に具体的に記載することで、仮理事選任の申立をすることなく、
改選決議に基づく登記をすることを認められました。
法務省の登記取り扱いをご紹介します。
社会福祉法人に関する最高裁判所平成18年7月10日第二小法廷判決を受け、
平成19年1月11日付法務省民商第31号民事局長回答によれば、
社会福祉法人の理事選任の議事録には、急迫の事情がある旨の記載がされていることが求められています。
そして、平成19年3月30日法務省民事局商事課長通知において、
医療法人においても同様の取り扱いを求めています。
ご参考
最高裁判所平成18年7月10日第二小法廷判決
「仮理事の選任を待つことができないような急迫の事情があり、かつ、
退任した理事と当該社会福祉法人との間の信頼関係が維持されていて、
追認した理事に後任理事の選任をゆだねても選任の適正が損なわれるおそれがない場合には、
受任者は委任の終了後に急迫の事情があるときは必要な処分をしなければならない旨
定めた民法第654条の趣旨に照らし、退任した理事は、
後任理事の選任をすることができるものと解するのが相当である。」
もっとも、選任された理事長が同一人でない 場合は、
原則通りとなるものと考えます。
定時社員総会の開催日について、ご注意下さい。
笑顔の和が広がりますように。
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司法書士佐井惠子
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