経営者の相続 家族の問題(その2) ☆遺言・相続vol.7⑭☆

佐井惠子

佐井惠子

テーマ:企業法務

こんにちは、司法書士 佐井惠子です。
100株保有の株主が死亡しました。相続人甲・乙の2名。
遺産分割ができるまでは、甲・乙が各50株の議決権を行使できる・・・?
わけではありません。

経営者は大株主でもあります。
経営者が一人株主、すなわち全株保有しているとします。
全株100株として、その会社は、遺産分割が整うまでは、
株式は一株一株全てが相続人の共有となってしまいます。
相続人が甲・乙で、その相続分が各2分の1とすると、
1株毎に甲・乙二名の共有状態となり、それが100個となるだけで、
各自50株ずつという訳ではありません。

遺産分割が整うまでは、共有株式代表者を会社に届けると、その代表者が議決権の行使を行えます。
ところが、甲乙どちらも過半数を握っていないので、代表者を甲とするか乙とするか決まりません。

協議が整うまで、何も決められない、何も承認できない会社になってしまった会社。
あるいは、相続争いがきっかけとなって、人手に渡ってしまった会社が実在します。

経営承継の重要な視点に、家族の問題があります。
一朝一夕に解決しないことですが、経営者の決断だけですぐにできることもあります。
100点満点は無理とあきらめるのではなく、60点、70点を目指したいものです。
経営者の相続によって会社に発生するリスクをいかに回避するかを考える。
これも、経営者の責任であり、「紛争の予防」と考えています。

司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.com

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