母ごころと相続・贈与 ☆相続・遺言vol.6⑫☆

佐井惠子

佐井惠子

テーマ:相続


こんにちは、司法書士 佐井惠子です。
相続の仕事では、ふともらす、生身の、母ごころを映す言葉をいただくことがあります。
「お兄ちゃんが帰ってきて、全て弟のものというのでは、可哀そうな気がして。」
この言葉も、そのひとつです。

ご夫婦で共有していた自宅。実家を遠く離れ、家庭をもっている長男さんと近くで暮らしている次男さん。
ご主人が亡くなり、その共有持分を次男さんのものにする遺産分割が整い、
その結果、自宅は、お母様と次男さんの共有となりました。

お父さんの持分を次男さんが相続した後、
お母様の持分を次男さんに贈与して、全て持たせようかと、相談をお受けしていました。
次男さんは、別に家もあり、お母様がずっと自宅に住み続けるのですから、
すぐに贈与はしなくても、そのまま持ち続けてもいいのではないでしょうかと、お返事していました。

気になって、もう一度お気持ちを確認したいと思い、
どうなさいますかとお尋ねしたときに、先ほどのお話となりました。
ご長男が実家に戻ってきたときに、寂しい思いをさせはしないかという、
母ごころから出た言葉でした。
いつか、長男さんにお伝えしたいと思う言葉です。

オーナー会社の株式などという遺産については、経営権の問題だけに、
決して兄弟で半分ずつなど、お勧めできませんが、
今回のケースでは、遺産全体のバランスから考えても、いい判断であったと思います。
私も、まだまだです。

司法書士佐井惠子
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