定款作成にも、漢字、送り仮名のルールがあります
こんにちは、司法書士 佐井惠子です。
いろいろな文書に署名捺印いただくことが多いのが、司法書士の仕事です。
そんなとき、「これは実印ですか?それとも認印でいいですか?」と、
よくお尋ねいただきます。
会社の議事録に、ポンポンと、これはA取締役の印鑑、これはB取締役の印鑑・・・と、
会社で保管している認印を押している総務の方、いらっしゃいませんか?
それは論外としても、登記手続きにおいて印鑑証明書の添付を求められている場合はともかく、
そうでない場合は、実印でお願いしますとは、なかなか申し上げにくいものですが。
以前、都市銀行の支店長さんに教えてもらったんだけど・・・と前置きして、
「会社の議事録には、平取締役にも実印を押してもらっています。
なぜなら・・・・。」
と、お話いただいた経営者の方がいらっしゃいました。
続きは、個別にお話しした方がよさそうですが、文書の証拠力という意味からも、同様のことが言えるのです。
契約書に実印を押している文書は、ひとたび裁判になると、
お白洲における遠山の金さんの啖呵「この桜吹雪が目に入らぬか」のように、
有無を言わせぬ決定的証拠となるのです。
民事裁判のルールでは、実印による印影は、本人の意思に基づいて押印されたものと推定され、
さらに、文書全体が本人の意思に基づいて作成されたものと推定されるのです。
その結果、「いやそうでない!」という場合は、
その推定を覆すだけの立証が成功したときに限り、この推定は破られる。
ところが、なかなかそれが難しいので、このルールによると、
実印が押された文書というものは、真正に成立したものとされる確率が高いわけです。
法律家作成の文書は、将来紛争になったとしても役に立つ、
そういうものの作成を求められているのでしょうが、
例え、内容が十分に検討を加えたものであったとしても、
そもそも、本人が知らないうちに作成された・・・と抗弁されては元も子もありません。
後日のことを考えて、あえて実印をお願いする場合があるのは、そういった訳があるのです。
実印も認印も同じでは、決してありません。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.com