上町断層帯の危険な兆候
視聴率しか考えず、本質を報道しないバラエティー番組
今年も3月11日がやって来て、地震の恐ろしさを再認識しています。
テレビもゴールデンタイムに地震の特集を組んでいましたが、見ていると内容が目も当てられないお粗末な内容で、公共の電波を使って震災と云ったシリアスな題材を、興味本位に構成して良いのか非常に不快感を覚えました。
地震が発生した場合、どの様に対処すべきかを三択問題形式で、タレントたちに回答させて、答え合わせしている内容でしたが、その解答の根拠としている内容が、一面的でとても全ての場面で通用する内容ではありません。
一例を挙げると、家にいて何処に逃げたら良いかという問題で、①トイレ②庭③廊下と云う回答が用意されていて、正解は③の廊下だったそうです。理由は、周囲に柱が多く存在し、転倒物が少ないからだそうです。
家具が転倒するくらいの大地震ならば、家の倒壊を考えねばなりません。木造家屋でもマンションでも同じです。
下記の動画をご覧ください。
大地震の場合、家屋の倒壊を念頭に入れなければなりません。廊下に逃げて安全でしょうか。出題者が正解を選んだ理由に、廊下はモノが倒れて来る危険が少ないからとありましたが、壁そのものが倒れてきます。
これは、鉄筋コンクリートや木造と云った構造の種類を問いません。また新築や古物と云った築年数も、耐えられる程度の差こそあるものの、同様の危険が存在します。破滅的な地震が来れば、兎に角表に飛び出す事です。圧死を避けようと思えばそれしかありません。怪我は治りますが死んでしまえば生き返りません。
地下鉄の構内で地震が発生した場合何処に逃げるかと云う問題も出されました。これも三択形式で①地上に逃げる②構内に留まる③停車中の電車に逃げ込む、と云う回答が用意されていて、電車は剛性が高く安全だという理由で「電車に逃げ込む」を正解にしていました。
下の写真をご覧ください。フェイクでも合成写真でもありません。阪神大震災で起きた地下構内の写真です。構内の柱がせん断破壊を起こし、高さが1/2以下になっています。その為天井が構造躯体ごと崩れ落ちています。
ここに電車が止まっていたら電車ごと潰れています。地震の激しさと電車の剛性を比較したら、決して電車の剛性は高いものではありません。構内の構造物が崩れれば、同じ様に壊れます。
私が学校で、建築の勉強をしていた頃は、地下街は地上の建物と比べて、地震が発生した場合、比較的安全だと教えられてきました。阪神大震災以降、私の中では地下街の考え方が一変しました。地下街はどこにいても安全な場所はありません。地下街を歩くときは常に地震を意識して、今地震が発生すればどこに行けば地上に出られるかと常に考えておくことです。
トイレの中は安全だと考える人がまだ多い様ですが、これも都市伝説です。先ほどの動画を見ても分かるようにトイレに逃げ込みたくなるくらい大きな地震であれば、何をさておいても表に飛び出す事です。
トイレに閉じ込められる事を危惧して、トイレのドアにスライド式の小窓を設けた例が紹介されていました。ドアが開かなくなった場合、小窓を摺り上げて、そこから脱出するそうです。一見面白いアイデアの様に思いますが、冷静に考えるとどうでしょう。ドアが開かなくなるくらいドアが変形しているのに、小窓がちゃんとスライドしてくれるでしょうか。ドアが変形していれば小窓もスライドしなくなると考えるのが自然だと思います。私が同じ事を危惧するなら、マンションのベランダにあるパーテーションの様な材料でドアを作り、閉じ込められたら蹴破って外に出るくらいの事を考えます。ドアが開かなくなるくらい変形していれば、おそらくパーテーションは蹴破らなくても割れているでしょう。