上町断層帯の危険な兆候
建物には固有震動周期がある
固体には独自の震動周期があります。一番有名なのは音叉の共振実験でしょう。同じ波長の音叉を並べて、片方のみ叩いて鳴らしてみると、空気が振動し、叩いていない方の音叉までが、共振して音が鳴りだします。固有震動周期を少しでも変えてやると、もう共振は起こしません。
これは音叉以外でも同じ事です。下の実験は、形状の異なる建築模型を揺らせる実験です。短い波長で建築模型を揺らすと、背の低い建物が揺れ出し、波長を長くしてやると、背の高い建物が揺れ出します。
固有震動周期は、背の高さにも関係しますし、構造体の固さでも変化します。固いものは周期が短く、柔らかくなれば秋季が長くなります。弦であれば、強く張れば周期が短く、緩く張れば長くなります。
建物についても、同じ事が云えます。下の実験映像は、左に耐震等級1の建物(柔らかい)右に耐震等級2(固い)の建物を並べて配置して、震度6強の地震波で揺らせてみた実験です。さて結果はどうなったのでしょう。
結果は、耐震等級1の建物が残り、耐震等級2の建物が倒壊してしまいました。公式な見解は、耐震等級1の建物は地震の最初の一撃で、土台と柱が破断して抜けてしまっているので、その時点で倒壊判定で、偶然立ったまま残ったに過ぎない。耐震等級2の家は最初の一撃では、土台と柱の破断が認められず、想定通り耐震等級2の家の方が強かったと結論づけしています。
果たして本当でしょうか。
構造計算に共振の検討が無い
もしかしたら、先の動画にある様に、建物を固くしてしまったために、固有震動周期が地震波の震動周期と合ってしまい、共振したのではないでしょうか。
一般的に多くの建物の構造計算に用いられる、許容応力度計算には、共振に関する検討は含まれていません。静かに横から力を押した場合の検討しかなされません。
どの程度の力で押すのかと云いますと400galと云う単位の力で押して、それ以上であれば、安全であるとしているのです。400galと云いますと震度5強に相当します。耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の強度を求められますから、500galの強度に耐える事を要求されます。震度6強は丁度500galなのです。
だからと云って、耐震等級2の家は耐震等級1の家より弱いと結論づけする気は毛頭ありませんが、共振してしまうと、予想外の結果になるのではと懸念しているのです。