古代地図と軟弱地盤
力の流れの不思議
今年は多く水害が発生しました。流木が橋にぶつかり、橋のところで堰き止められて、流木が溜まっていき、その量の多さに耐えられなくなると、橋は壊れて流されてしまいます。そう言う映像を何度も見ました。
流木は川の流れに無抵抗です。川の流れに乗って流されて行くだけですから、流木そのものは、水の力を受けていない事になります。橋は水の流れに逆らっています。
これを家に例えると、川の流れは地震による水平力と云う事になります。流木は柱です。意外な気もしますが、柱は何本あっても地震の力によって傾いて行きます。では抵抗してくれる橋の役目を果たすのは何かと云いますと。耐力壁と呼ばれる壁です。
ですので、地震の際には耐力壁の多さと、バランスの良い配置が重要で、少なかったり、バランスが悪いと倒壊してしまいます。
地震力は固いところに集まる
この様に地震力は、抵抗しない部位は素通りし、抵抗する部分に対して力を及ぼすのです。平面的に建物を見れば、耐力壁が地震に抵抗しますが、断面的に見るとまた別な部位が抵抗している事が分かります。
断面的に見ると、床面と屋根面が階の中間部に比べ固くなっています。それを水平構面と呼びます。地震が発生した場合、柱にも地震力は加わりますが、柱そのものは何の抵抗もせず、床面や屋根面と云った水平構面に力を伝えて行きます。
水平構面に流れて来た地震力は、下の階の柱には伝わらず、固い耐力壁に伝わり、耐力壁からその下の階又は、地面に流れて行くのです。
弱い耐力壁を数多く設ける方が有利
木造住宅の場合、開放性を求めすぎると、耐力壁を設ける余地が無くなってしまいます。地震力は固いものに集中しますから、耐力壁が少なくても、耐力壁をうんと固くしてやれば、理屈的には地震に抵抗してくれることになります。木質系の大手ハウスメーカーが宣伝している重量木骨造がこの発想です。
大きな断面を持つ柱と梁を鉄板を用いて剛接合し、ラーメン構造を形成した造り方です。そうすれば開放的な空間を確保出来ますが、強度的には、弱い耐力壁を数多く配置する家と変わりません。資金的に余裕があるのであれば、開放的な家も良いですが、経済的に家を建てようとするならば、耐力壁を数多く、バランスよく配置する方が有利です。