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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

昨日の地震

2018年11月3日

テーマ:【免震住宅・地震対策】

コラムカテゴリ:住宅・建物


南海地震の前兆か!?

6月の北大阪地震に続き、昨日11月2日の夕刻に、紀伊水道を震源とする地震が発生しました。
震度は最大で4でした。マグニチュードは5.4で震源の深さは約50kmでした。
50kmの深さと云えば、地殻を通り過ぎて、マントルで発生した地震だと云えます。紀伊水道沖にはマントル対流に起因する、大陸プレートが衝突している場所があり、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでいます。その沈み込んだ先の直上が紀伊水道であると云えます。
そう考えると、今回の地震は、単なる断層が移動する直下型の地震では無く、海洋プレートが衝突して起こるズレが原因となる、東日本大震災の様な地震ではないでしょうか。

大阪北部地震の震源の深さは13km

地殻の厚みは、陸地で約30kmあります。大阪北部地震の震源域の深さは13kmでしたので、まさに地殻内の断層がズレた為に発生した直下型地震でした。
直下型地震の特徴は、深度の浅さから被害が限定的ですが、震源域が浅い為震源付近の建物は破壊的な影響を受けます。また、発生周期が長く数千年~数万年に一度程度の発生確率です。
それに比べ、プレート移動型の地震は、東日本大震災に代表される様に、規模が大きく、破壊が広範囲に及びます。津波を伴い、発生周期も100~150年に一度と短いのが特徴です。

南海地震が発生したのは72年前

前回南海地震が発生したのが、昭和21年で72年前の事です。発生周期から考えると、まだ余裕がある様に思えますが、発生周期はあくまでも、サイコロの目を当てる様な確率の問題ですので、今回の紀伊水道の地震が、南海地震の前兆であってもおかしくはありません。
政府が、南海地震が30年以内に起こる発生確率は、70~80%としていますので、用心するに越した事はありません。

家は新築すると、50年以上の耐用年数を見込みます。すなわち、まず南海地震には遭遇すると考えないといけません。新築をお考えの方は、耐震性能だけは、何をおいても重視する様にしてください。
木造住宅は、二階建てであっても、構造計算を行い、力の流れを正確に把握し、地震力に抵抗出来る耐力壁の配置を心がけましょう。

建物の強度の事は、専門家に任せていれば大丈夫と考えるのは早計です。

専門家は仕事を受注する為に価格競争を展開しています。法律に抵触しなければ、ギリギリまで構造耐力をそぎ落とし、1円でも安い建物を提供しようと考えています。

現在の建築基準法は、木造住宅に関して云えば、建築確認申請時に、構造計算書の提出義務を免除しています。この事が、木造住宅を勘や当てずっぽうで、建ててしまう悪の温床となっています。

新築の際には、木造住宅でも構造計算をしっかりと行い、耐震等級3を取得して欲しいと、はっきり要求しましょう。そうしないと、勘や当てずっぽうで家を建てられてしまいます。

地震保険があるから大丈夫と考えてはいけません。地震保険に頼るのは最後の手段と考えるべきです。
今、台風21号により被災した、家の保険手続きを代行していますが、大規模の災害が発生すると、被害の査定等の交渉に多大な時間を要し、査定額も満足できる保険金が下りるかどうか分かりません。
基本は、地震に強い家を造ると云う事が、唯一無二の自分の財産を守る方法です。

この記事を書いたプロ

福味健治

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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