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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

梅雨明け十日の暑さ対策

2018年7月17日 公開 / 2018年7月18日更新

テーマ:【エコ住宅】

コラムカテゴリ:住宅・建物

異常気象なのか

梅雨明け10日と云うのは昔からのことわざで、梅雨が明けたら夕立も降らない猛暑日が10日は続くと言うものです。今年は10日どころかいつまで続くのか分からない猛暑日の連続です。
昨今の気象は数十年前と比較すると確実に暖かくなっています。私が子供の頃は暑いと言っても扇風機があれば快適でした。歳を取ると暑さ寒さに鈍感になると云いますが、子供の頃より今の方が暑い気がします。
私の感覚だけでなく、データで見ても平均気温が1度以上上昇しています。
平均気温の一度上昇と云うのは、単に50年前の夏は30度あったけど現代の夏は31度になっていますと言うものではありません。
現代でも異常気象により涼しい夏もあるのです。冷害に苦しむ夏もある中での平均気温の一度上昇は、暑い夏になると経験した事のない暑さに遭遇すると云う事を示しています。

暑さの正体

暑さにも色々な種類があります。コンクリートが焼けて夜になっても暑かったり、屋根が薄い為に日陰になっていても焙られている様な暑さを感じたり、空気そのものの暑さも感じます。
コンクリートが暑く感じるのはコンクリートに蓄熱された熱が伝わって来る為です。これを伝導熱と云います。
薄い屋根が焙られるのは屋根そのものが太陽に照らされて発熱する為です。これを輻射熱と云います。
空気そのものが熱いのは熱い空気が体に触れる為です。これを対流熱と云います。

建物でコントロールできるのは主に伝導熱と輻射熱

伝導熱も輻射熱も断熱材を性能の良い物にするか厚みを増やすかすれば、コントロールは可能です。性能を良くするのは一般的に言って高価で限界がありますので、通常は厚みを確保する様にします。壁や屋根は断熱材でコントロール出来ますが、ガラス窓は断熱材を設ける事が出来ませんので、熱が入り放題になってしまいます。室温をコントロールしようと思えば、窓を不必要に大きくしないで、直射日光が室内に入り込まない様な日除けが必要になります。
Low-Eガラスや不活性ガスを充てんしで断熱化した二重ガラスの窓でも、一般的な断熱材の壁に比べると10倍以上熱を通します。窓の大きさの検討と日除け対策が家造りに大きな意味を持つのはお分かり頂けると思います。
敷地の大きさとかその他の要因で、日除けを求める事が出来ない場合はスダレや葦簀と云った古来からある暑さ対策が効果的です。カーテンやブラインドと云った室内に設ける日除けより、スダレや葦簀の方が数倍性能が上がります。
窓を完全に覆う事が出来ればアサガオやフウセンカズラと云った弦系植物の緑のカーテンも良いでしょう。

対流熱をコントロールする方法

熱い空気を冷やすのはクーラー等に頼るしかありません。ではクーラーの無い時代がどうしていたのでしょう。一般的に用いられていたのは夕方に庭木に水を撒く方法です。水を撒くと水が蒸発する際に気化熱を奪ってくれますので、幾分かは涼しくなります。冷媒は異なりますが気化熱を利用するのはクーラーと同じ原理ですね。
あと北側の窓を開けると言う方法もあります。消極的ではありますが、北側の地面は建物の影になり太陽光で熱せられていませんので幾分温度が低いのでその冷気を貰おうと云うものです。但し北側に林等が続いていて熱せられていない地面が広がっていないと大きな効果は期待できません。
太陽に熱せられていない地面と云えば、床下もそうです。床下の地面の温度は10cmも掘れば年間を通じ16度と一定しています。この16度の地熱を室内に取り込めばこれも有効な空調の補助となります。ただし土は熱容量が小さいので、地下水が豊富にあるとか、一定の条件が揃わないとお金を掛けた割に効果を得る事は少ないので誰にでもお勧めと言う訳ではありません。

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福味健治

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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