古代地図と軟弱地盤
生活習慣にして記憶の継承を行う
地震の記憶は世代交代と共に薄れていきます。今生きている人の1/4はもう阪神大震災の記憶がありません。このままでは、次の地震に見舞われる頃には、阪神大震災の記憶も残っていないでしょう。震災の記憶を風化させないためには、日常生活の習慣として震災を記憶する必要があります。
歯を磨いたり、戸締りする様な日常の生活習慣として、地震を記憶すれば後世まで地震の記憶は継承されていきます。
耐震工事は簡単にしないと普及しない
地震はいつどこで発生しても全く不思議ではありません。でも、いつ来るか判らない、もしかしたら、来ないかもしれない地震に、多大な費用を掛けたり、使い勝手の悪さを我慢したり、暗さに耐える事は出来ません。
費用を掛けず、日常の生活に不便をきたさない耐震改修が必要です。その方法とは、既知の技術を用いて、大量に出回っている材料を使い、今までにない使い方を考案することです。
古い家の耐震装置は弱く多くが原則
一部だけ頑丈な耐震装置を設けても、老朽化した家ではスムーズに地震力を伝えることが出来ず、返って危険です。極端な話しをすれば、耐震装置だけ残って、後は全壊するかも知れません。剛性の高い耐震装置は、専門的知識が無いと、諸刃の刃となります。また、剛性の高い装置ほど高額になり、早く普及させることが出来ません。剛性の弱い耐震装置を数多く配置し、全体をバランス良く揺らせて地震に対処する方が合理的です。
南が弱く北が硬い日本の家
北半球にある日本では、北風を防ぐため北側の窓は出来るだけ小さくし、南側の窓は日差しを取り入れるため、可能な限り大きく取られています。その結果剛性が北に偏る傾向があるのです。このままでは東西方向から地震が来た場合、ねじれる様にして建物が倒壊してしまいます。
日差しを遮ることなく、南面の剛性を高める工夫が必要なのです。
荷締め機を耐震装置として利用する
日本の家は、南面に窓が多くあります。窓に耐震装置を取り付ければ、バランス良く家の剛性を高めることが出来ます。耐震装置を着脱式にしておいて、邪魔な場合は取り除き、寝るときや窓を利用していない時は取り付ける、と云う作業を、日常的な生活習慣として残すことで、地震の記憶を後世に継承することが出来ます。
トラックの荷物を、固定するために用いられている荷締め機を、窓にタスキ状に固定すると、引っ張り筋交いと同じ働きをします。日本の家の窓は横長なため、わずかな引っ張り応力でも、窓の上下にある、垂れ壁や腰壁の面材程度(壁量倍率1.0)の剛性が確保出来ます。古い家には弱い剛性の耐震装置を数多く配置する方が有利です。市場に大量に出回っている荷締め機程度の価格であれば、一件の家に何箇所配置しても大きな負担とはなりません。荷締め機を利用すれば、簡単且つ迅速に住宅の耐震化を普及させることを可能にし、後世へ震災に備えるための、記憶の継承が可能となります。