古代地図と軟弱地盤
建物は上下動には強い
地震が発生するたびに、定型句の様に繰り返させる言葉に、「下から突き上げる様な揺れが襲ってきた」と云うものがあります。地震計は横揺ればかりでなく上下の揺れも記録しています。
画像は阪神大震災の時の地震波ですが、南北方向、東西方向の他に上下にも激しく揺れている事がわかります。
但し、上下動で建物が損傷を受ける事が稀で、倒壊につながる揺れは殆どの場合が横揺れです。
建物は常日頃から、980galの力で下向きに引っ張られています。つまり重力です。ですので何もしなくても安全を見て垂直の力に耐えられる様に、予想される重量の2倍くらいの力が加わっても、大丈夫な様に作られています。上下方向の重力加速度を画像のメモリから読みますと500galには達していません。上下動に抵抗する力は980galの2倍で1960galほど耐力になりますが、地震時の重力加速度980+500gal=1480galでは、まだまだ余裕がある事が分かります。
建物が倒壊する原因は横揺れ
それに対し、横向きの力は普段は掛かりません。ゼロです。ゼロの状態から急に880galの重力加速度が働いたのです。重力が980galですので、ほぼ重力に近い力が横向きに働いたのです。言い換えれば瞬間的ではありますが、崖に横向きに家を建てたのと同じ力が掛かったのです。
建物が地震で倒壊する原因は上下の揺れではなく、横方向の揺れです。
建物が倒壊するメカニズムは複雑でgalばかりでは表現できませんが、建築基準法では400galに耐えられれば適法とみなされます。400galは震度階で表現しますと震度6強に相当します。建築基準法を満たすだけでは震度7の地震には耐えられないのです。
縦揺れも横揺れも横波が原因です
縦揺れと縦波を混同しがちですが、縦揺れを起こす原因は上下方向に揺れる横波のせいです。縦波と云うのは別名疎密波と云いまして、進行方向に粗密を繰り返す波の事です。横波は進行方向に直角に揺れる波の事です。