床の張り替え時期
手入れする時間がないので、手入れしなくてよい材料で家を造りたい。
これは、掃除下手な人に限らず一度は考えることです。その為に光触媒を用いた外装材や、油汚れを一拭きで落としてしまうキッチンパネル。汚れが拭き取りやすい壁紙等々が出ています。
しかし、新しく出てきた材料には、これまたその材料のメンテナンスが必要になります。光触媒の外壁を例に挙げますと、光合成の逆の反応(光を用いて有機物を水と二酸化炭素に分解する)を利用しますので、落ちる汚れは有機物(排気ガスの煤等)に限られます。アイデアは素晴らしいですが、メンテナンスフリーを強調する割には一般の方がイメージするフリーとは程遠い状況です。
上の画像は古い日本の家屋です。見るからに新築ではありません。しかし古ぼけた印象は受けません。古さと共に味わいを深め、落ち着きのある佇まいになっています。その重厚さからは住む人の品性さえ伺い知ることが出来るようです。
ここに使われている木は何の塗装もしていない白木です。新築当初はこの白木から木の香りが漂い新築なりの良さのある家だったでしょう。経年変化するにつれ木の香は薄らいで行きますが、それと共に渋さを増し写真の様な落ち着きのある風情になって行くのです。
私はここに真のメンテナンスフリーのヒントがあるのではないかと思います。
西洋の木をペンキで塗ってしまう発想で写真を見ますと、何の手入れもしていないただの古ぼけた家ですが、経年変化を楽しむ家を意図的に建てたとするならば、これは究極のメンテナンスフリーです。
安い材料でも発想を変える事によって、新しい価値観が生まれ尚且つメンテナンスも楽な家が可能になると考えます。