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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

独りよがりの耐震等級

2013年2月7日

テーマ:【免震住宅・地震対策】

コラムカテゴリ:住宅・建物

最近耐震等級と云う言葉だけが一人歩きしています。宣伝文句で耐震等級と云う言葉だけが氾濫している状態です。
耐震等級とは何を指して、どうすれば取得出来るのでしょうか。

耐震等級とは「住宅の品質確保促進に基づく法律」(品確法)と云う法律の中に登場する法律用語です。
建築基準法で、構造に対する最低の基準を明記してありますが、あくまでも最低の基準のため、構造的に優良な住宅を定義する必要から、耐震等級と云う言葉が生まれました。
建築基準法をクリアする等級を、耐震等級1
地震に対し、建築基準法で定める基準の1.25倍の強度を、耐震等級2
地震に対し、建築基準法で定める基準の1.5倍の強度を、耐震等級3
と定めたのです。

耐震等級は、建築基準法を理解していれば、誰でもその等級を目指す事が出来ますが、誰が行っても同じ結果になるとは限りません。構造設計者の実力や、条件設定の違いでバラバラな結果が出てしまいます。これでは、客観的な指標とはならないので、品確法のなかで住宅性能表示制度と云う制度を定め、第三者機関が、計算された構造等級が満足出来るものかどうか、客観的な評価をします。そうして評価された建物のみが耐震等級○○の家と表現することが出来るのです。

ところが、最近は建築基準法の1.25倍とか1.5倍と云うところだけがクローズアップされ、第三者機関の評価を受けずに、耐震等級○○と勝手に謳っている物件を目にする様になりました。酷いケースになると、建築基準法の基準の1.75倍の強度があるから、耐震等級4だとか、2倍だから耐震等級5だとか宣伝しているケースも見られます。
法律には、耐震等級は3までしか明記されていません。それには理由があり、構造等級ばかりを上げてしまっても、トータルバランスとして、優良な住宅にならない為です。
しかも、客観的評価を受けると言う大前提が崩壊して、独りよがりの等級になってしまっています。

耐震等級○○の家と謳っている家があれば、必ず住宅性能評価書の有無を確認しましょう。客観的な評価を受けている家しか、耐震等級○○の家とは名乗れません。

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福味健治

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