地震が起きたら大阪平野に安全な場所はない。
当たり前の事ですが、車は移動します。移動する際乗っている人が平気でいられるのは、サスペンションがあるからです。サスペンションが無ければ振動が直接伝わり、幾ら平坦な舗装道路を走っていても、乗れたものではありません。車体は頑丈にすれば振動には耐えられるでしょうが、乗り物としては役に立ちません。日本では江戸時代までバネの発想が無かったため速度の速い馬車を造る事は出来ず、歩みの遅い牛車が関の山でした。
動くものに対してサスペンションはどれだけ重要か、また可能性を広げるのか、これらのことから判ると思います。
家はどうでしょうか。「家は移動するものではないから、サスペンションは必要ない。」これが今までの発想でした。しかし、車ほど常に振動している訳ではありませんが、家も竣工から解体までの数十年と云う長いスパンで考えますと揺れています。地震が家を振動させるのです。
振動が大きければ、家は倒壊します。家を倒壊させないために耐震構造の発想が今の建築基準法の発想です。耐震構造はサスペンションの事を考えずにボディーの強化を考えていました。中にいる人間や家財道具のことは何も考えていません。特に二階建て以上の建物になると、建物の特性から揺れる際にしなりが発生するため、二階は一階よりも激しく揺れている様に感じます。その分建物のダメージも大きくなります。
その二階のしなりを解消する為公案されたのが制震構造です。一階の耐力壁に制震装置を設け、二階で起こるしなりを抑えようとするものです。これで建物の倒壊は幾分抑えることが可能です。しかし震度7の揺れは、震度7として建物に直接加わります。中にいる人や家財道具まで振動が直接伝わります。
家のサスペンションの役目を果たす装置も公案されています。免震装置です。基礎と土台の間に免震装置を取り付け、土台から上の構造物に地震の揺れを直接伝えない様にする装置です。装置の中には地震の衝撃を1/16まで抑える装置も開発されています。震度7の地震が来ても免震住宅の中にいる人には震度4程度にしか感じません。勿論耐震構造や制震構造に比べ家のダメージも極端に抑えることも出来ます。問題は免震装置の費用です。木造住宅に有効に働く免震装置が少ない為、市場に競争原理が働かず、値段が中々下がりません。また、構造的な欠点として、建物と地面がつながっていない構造ですので、液状化現象を起こして建物が不同沈下するような場所で建てる事も出来ません。
ただ、耐震構造・制震構造に比べ、人を守る安全性は飛躍的に向上していますので、災害時家族のことを放ったらかしにして、災害救助に出動しなければならない人の家には必須の装置かとも思います。