現行法規では建物は震度6強で倒壊する。
上町断層がズレ初めている
H30.06.18大阪北部に於いてM6.1の地震が発生し、5人の犠牲者がでました。地震規模としては中程度の地震ですが、震源域が浅い為規模以上の被害が出ました。断層型の地震は海洋プレート移動型の地震に比べ震源域が浅く人口密集地に近い為、規模が小さくても甚大な被害になる事が多くあります。阪神大震災や熊本地震の様にM7クラスの地震も近年頻繁に観測されています。
その状況下で、南海地震の被害より大きな被害が予想される、上町断層帯に危険な兆候が現れはじめていると言うデータが2011年に公表されています。
上図は上町断層が動いた場合の最大震度を予測した図です。赤は震度7を示しています。大阪城付近を震源域と想定していますので、大阪城周辺の震度7は容易に予想できますが、関目森小路付近の住宅密集地も震度7が予想されています。また淀川を越えた新大阪駅北西側でも震度7の地域が見られます。この二つの地域は活断層付近にあるか地盤が軟弱な為地震波が増幅されている事を示しています。
今回の地震の震源域より西にある上町断層ですが、下図の様に断層は東に潜り込んでいますので、上町断層が原因ではないと否定する事も出来ません。
下図は大阪平野の断面を表しています。左が大阪湾、右が奈良県です。ピンクの地盤の中を二本の赤い線が右下方向に流れています。縦の本線に当たる線が生駒断層です。枝線が上町断層を示しています。上町断層は下に沈むにしたがって生駒断層へと向かっていますので、今回の地震の震源域付近を通っているとも考えられるのです。
2011年10月14日サンケイ新聞の記事
大阪府を縦断する「上町断層帯」の一部で、断層が平行にずれる「横ずれ断層」型の微小地震が集中的に発生していることが、産業技術総合研究所の研究チームの調査で分かった。
横ずれ断層型の微小地震の頻発は、大規模地震の引き金になる可能性が指摘されている。
調査したのは、産総研の地震発生機構研究チームで、平成14年6月~平成23年1月の約9年間に、産総研などが観測した上町断層帯付近で起きた地震のデータを収集し分析。
その結果、この間に、深さ20キロより浅い震源で起きたマグニチュード(M)1以上の地震が計256カ所で確認された。
このうち233カ所を地震のタイプで分類したところ、大半は斜めの断層で乗り上げている側が上方にせり上がる「逆断層」型だったが、弓形になっている上町断層帯が最も屈曲している地域(弓形の頂点付近)では、横ずれ断層型が数十回集中して発生していることが判明した。上町断層帯は、大阪府豊中市から大阪市を経て、岸和田市内までの約42キロにわたって弓形に連なる活断層。国内の活断層の中でも地震発生確率が高い方に属しており、阪神大震災を上回るM7・5程度の直下型地震を引き起こすと推測されている。
府内の住宅密集地を走っているため、巨大地震発生の際の被害が甚大となることは避け難い。
今後数か月は新たな地震に注意が必要
今回の地震は位置的に見て有馬~高槻断層が動いた可能性が高いですが、有馬~高槻断層は421年前に動いており、平均発生間隔1500年周期を考えても、一概に有馬~高槻断層が動いたと断定する事は難しいと云うのが現時点での判断です。また、この周辺は生駒断層や上町断層も存在し、今回の地震がきっかけとなり、新たな断層地震を引き起こす事も十分考えられます。熊本地震の例もありますように、次に発生する地震の規模の方が大きい場合もあります。
今後数か月は地震に対し注意が必要です。
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