二階リビングのローコスト住宅
ローコスト住宅と聞いて、どういう印象を受けられますか?
ローコスト住宅を、「値段は安いけど安いなりの家」と考える人が多いようです。
確かに、ローコストを売り物にしているハウスメーカーのチラシを見ていると、床は合板フローリングで、壁と天井はビニルクロス仕上げと画一的です。
また間取りにしても○LDKと云った旧住宅公団の呼称がそのまま当てはまってしまう簡単なものです。
新築のあいだは、綺麗ですが特に思いいれもない材料で造ってしまえば、古くなると住宅ローンの負担だけが重くのしかかって来ます。
もちろん良い面もあります。大量一括購入によるコストダウンは、私が目指す手造り住宅では真似の出来ないことです。コストダウンで得た利益の大半は企業の利益に吸収されてしまい、そのの全てが消費者に還元されている訳ではありませんが。
ただ、本当にローコスト住宅は、ありきたりな間取りや仕上げを我慢しなければならないのでしょうか?
「値段は安いけど安いなりの家」の正体は、建てる側の論理で構築した、建てる側に都合の良い家になってしまっている為に、「値段は安いけど安いなりの家」になってしまっているのです。
世間を見渡せば、合板フロ-リングよりも安い無垢フローリングもあります。しかし安い無垢フローリングは節があったり、時間が経つと反ったりします。建てる側からすればこれは、クレームの元以外何者でもありません。ビニールクロスを多用するのも安価に張替えが出来る為です。でも安い無垢フローリングでも、つまづくほど反るものでもありません。素足で心地よく波打ちが感じられる程度です。節も模様と考えれば悪くありません。
漆喰壁は化学物質を吸着し湿度調整の働きも高い壁材です。しかしプラスターボードに直接塗る今の工法ではひび割れを封じる事ができません。建てる側の論理を用いれば仕上げ材としての選択肢から排除されてしまい、ビニールクロスが多用されるのです。
でもひび割れが目立ち難い仕上げ方法にしたり、ひび割れしても素人でも直せる塗り方にしておけば、仕上げ材として充分使えます。
建てる側は、クレームを排除するあまり、一般ユーザーが必要ないと考える部分まで、お金を掛けています。例えば納戸はモノを置く為だけの部屋ですので仕上げ材は何を使っても性能は変わりません。しかし、実際は洋室と同じフローリングを貼り、ビニールクロスを貼っています。
また、標準の仕様から外れた仕様を要求すると、法外な追加料金を要求されます。
建てる側の論理ではなく、住む側の論理で家を組み立てれば、自分の為のオリジナルな注文住宅がローコストで出来上がるはずです。
そのためには、自分が家に何を求め、何を排除したいのかを突き詰めて考え直す事です。
建てる側の論理に縛られていたのでは、決して「値段は安いけど安いなりの家」から抜け出せません。