断熱材は省エネに重要ですが、断熱材の良否で全てが決まる訳ではない。
高気密高断熱住宅の性能を示す指標として宣伝広告にも
顔を出すQ値。
値が少ないほど、断熱性能が良いとされているのですが、
それが必ずしも快適さを表しているものではありません。
それはQ値を実際に求めてみれば判ってきます。
求め方を簡単に説明しますと、建物を屋根・壁・床・開口部
に分けて、それぞれの実面積と熱貫流率を算出しその積が
各部位の熱損失となります。
熱貫流率は単位時間・単位面積当たりに熱が移動する量を
表しています。それに面積を乗じるのですから各部位から
単位時間当たりの熱損失が求まるのです。
それを各部位ごとに床面積で割った値の合計がQ値となります。
一見合理性のある算出法とも思えるのですが、各部位から
均等に熱が流出・流入することが大前提になっています。
冬の寒い時期、室内の壁・窓・床・天井からそれぞれの
熱損失に従って熱が均等に逃げ出して行くのは理解できるのですが、
夏場は均等に熱が入ってくるとは限りません。
太陽高度の関係で屋根は全壁面の3倍の熱量を受けます。
熱が出て行く時は均等に出て行きますが、入るときは
均等には入らないのです。
その事をQ値は数式として表していません。
Q値だけを妄信していれば、冬場は快適でも夏場は暑くて
仕方のない家になってしまう可能性があるのです。