相談にすぐ答える前に、「どうなりたい?」を聞いてみる

道下真介

道下真介

テーマ:ビジネス・職場における”ほめ育”




部下から質問されて、すぐに答えを渡す。
頼ってもらえたら、役に立ちたいですよね。

でも、その答えで相手が本当に困っていることまで解決できるかは、まだ分かりません。


こんにちは。
ほめ育コンサルタントの道下真介です。


今日は、研修でのやり取りから、相談を受けるときの聞き方を考えます。
私が大切にしているのは、相手が実現したいことを確かめてから提案する順序です。






質問に答えても、目的が分からないことがある


研修では、使っている化粧品を聞かれたときの会話が題材になりました。
商品名を尋ねられたら、その名前を答える。
会話としては自然です。


そこで私は、その人がどうなりたくて質問したのかを、もう少し聞いてみる話をしました。
商品名を知ることで、何を実現したいのか。
気になっているのは、どんな変化なのか。
そこが分かると、その後に話す内容も変わってきます。


相手の質問が間違っているわけではありません。
今の相手が知っている言葉で、聞いてくれているのです。
だから、その質問を受け止めたうえで、背景を尋ねてみる。
こちらの用意した答えに急ぐ前に、相手の話を聞く時間を取ります。


「何を知りたいか」と「知ってどうしたいか」
この二つを分けてみると、分かったつもりでいたことに気づきます。
私自身、対話の中で大切にしていることです。



職場の相談でも、一緒に目的を確かめる


例えば、部下から仕事に使う道具や資料を相談された場面を想像してみてください。
あなたには、使い慣れたものがある。
それを教えれば、すぐに話は終わります。


けれど、部下が短くしたいのは作業時間なのか。
減らしたいのは確認漏れなのか。
それとも、引き継いだ人にも分かる形にしたいのか。
目指していることによって、選ぶものも使い方も変わります。


「それができたら、どんな状態になるとよさそう?」
そんなふうに聞いて、本人の言葉を待ってみてください。
答えが曖昧なら、「今、一番困っているのはどの場面?」と、具体的な仕事に戻っても構いません。


上司が隠れた本音を言い当てる必要はありません。
「本当はこう思っているんだろう」と決めつけると、本人の話す余地がなくなります。
聞いたことを短く言い直して、「こういうこと?」と確かめる。
相手と一緒に、相談の中身をはっきりさせるのです。


こちらが思っていた目的と違っていても、そこで修正できれば十分です。
最初から分かっている上司であろうとするより、確かめながら話せる上司でありたいですね。


急いで答えが必要な質問は、もちろん先に答えます。
何でも深掘りするより、今その人が必要としている助けに合わせるべきです。



提案は、相手の話を聞いた後に


研修では、悩みを聞き出す前に、商品について話していないかという確認もしました。
知っていることがあるほど、教えたくなる。
その気持ちは、育成の場でも起こります。


ただ、こちらが伝えたいことと、相手が今必要としていることは、同じとは限りません。
相手の目的を聞ければ、「そのためなら、この方法を試そう」と、理由をつなげて提案できます。
本人も、自分の仕事と助言がどう関係するかを考えやすくなります。


「まず、聞いてほしいんです」


私が研修で繰り返し伝えたかったのは、この順序です。
ほめ育でも、相手を知ろうとする関わりを大事にしています。
理解があってこそ、伝える言葉を選べます。


次に相談されたとき、答えを渡す前に、目的を一つ確かめてみる。
そして、提案した後も「これで困っていることに近づけそう?」と聞く。
一度で全部を聞き出そうとせず、会話の中で確かめていけばいいのです。


人材育成では、答えを教えることに加えて、本人が自分の課題を言葉にする時間も大切です。
その時間を、あなたの聞き方でつくってみてくださいね。


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道下真介
専門家

道下真介(ほめ育コンサルタント)

株式会社Torus

ほめる習慣を組織に根付かせる「ほめ育」コンサルティングを展開。社内のほめる基準となるほめ育コンピテンシーを明確にし、ほめる基準とほめて育てる文化を組織に根付かせ、人材定着や業績向上のサポートをします。

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