部下の「当たり前」に、まだ伝えていない強みがある

道下真介

道下真介

テーマ:人間関係における”ほめ育”



「自分には、これといった強みがなくて」
そう言う人が、周りを助けていることがあります。

こんにちは。
ほめ育コンサルタントの道下真介です。

本人が気づいていない良さを、上司はどう見つければいいのか。
私が研修会で交わしたやり取りから、人材育成のヒントをお話しします。

あくまで私の考えですが、強みを見つけるときは、得意なことの名前だけで終わらせないのが大切です。




得意なことを聞いて、もう一つ尋ねる


研修会の中で、話すことは得意だという話が出ました。
そこで私は、その得意なことによって、目の前の相手にどんな良いことがあるのかを尋ねました。

話すのが得意。
それだけでも長所です。

けれど、人と比べ始めると、自分より話の面白い人も、経験の長い人も見つかります。
すると、せっかく見つけた良さを、自分で小さくしてしまうことがあります。

ここで、目を向ける先を変えてみるのです。

自分が話すことで、相手も話しやすくなるのか。
相談しやすい雰囲気ができるのか。
その人の話を聞く時間につながっているのか。

誰よりも上手かどうかだけでなく、相手との間に何が起きているかを確かめる。
すると、強みの説明が具体的になります。

こうすることで、「話すのが得意です」から、どんな役に立てる人なのかが見えてくるのです。


本人ほど、価値に気づいていない


研修会に参加されていた皆さんには、元気に話し、相手の話も聞く力がありました。
私は、その良さをお伝えしました。

ところが、人前で話す仕事をしていると、それを当たり前に感じてしまうことがあります。

「そんなの、いつもやってることやん」

自分には自然にできるから、わざわざ良いところに数えない。
その一方で、苦手なことはよく見える。
できないところを埋めようとするうちに、持っている力を使う意識が薄くなってしまうのです。

職場でも、少し思い出してみてください。

誰かが質問したとき、手を止めて説明してくれる人。
初めての仕事で迷っている人に、次の手順を教えてくれる人。

あなたの周りには、そんな行動をしている方はいませんか。

本人は「普通に答えただけ」と思っているかもしれません。
でも、助かった人がいるなら、伝えられる価値があります。

結果の数字になる前にも、人が働きやすくなる行動は起きています。
そこを見つけることも、上に立つ人の仕事だと私は考えています。


行動と、助かったことを一緒に伝える


では、どう伝えるか。

「あなたは優しいね」と人柄をまとめる前に、実際にした行動を言葉にしてみてください。
そのうえで、自分や周りがどう助かったかを添えるのです。

例えば、実際に資料の場所を案内してもらったなら、
「保存先まで教えてくれたので、探し直さずに済んだ。ありがとう」
と伝えられます。

これは、ほめるための決まり文句ではありません。

あなたが本当に助かった内容に合わせて、言葉を選びます。
見ていないことや、確認できていない効果まで足さなくていいのです。

また、「気が利く人だから、これからも全部お願い」と仕事を集めるのは別の話です。

強みを認めることと、役割を押しつけることを一緒にしない。
本人がどんな仕事に力を使いたいかも、聞いてみたいですね。

伝えた後、本人が意外そうにしていたら、どの場面を見てそう思ったのかも添える。
根拠が分かれば、お世辞として受け流さずに考える材料になります。

今日、一人の部下について、当たり前に受け取っていた行動を一つ思い出してみる。
そして、何をしてくれたか、どう助かったかを伝えてみる。

その具体的な言葉があれば、本人も自分の良さを確かめやすくなります。

人材育成は、苦手なことを教える時間と、すでにある力を生かす時間の両方で進みます。
あなたがまだ伝えていない「ありがとう」は、ありませんか。

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道下真介
専門家

道下真介(ほめ育コンサルタント)

株式会社Torus

ほめる習慣を組織に根付かせる「ほめ育」コンサルティングを展開。社内のほめる基準となるほめ育コンピテンシーを明確にし、ほめる基準とほめて育てる文化を組織に根付かせ、人材定着や業績向上のサポートをします。

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