【法律改正】2018年6月成立「働き方改革」解説~中小企業の定義
人は自分が納得したことしか行動しない~
「なぜ納得しないか」を知ることの重要性
(4)社内の「現状」を把握するでも触れたように、
働き方改革の肝と言っても過言ではないのが、「意識」です。
人は「自分が納得したこと」「これをした方が良いと思ったこと」しか、行動しません。
しかし、人の意識ほど変えることが難しいものはありません。
ですから多くの場合、納得しないまま、あるいはなかば強引に進めてしまい、
結局「続かなかった」ということになってしまいます。
働き方改革に対して前向きになれない要素があるとすれば、
「なぜ」前向きになれないのでしょうか。
「働き方改革に賛同してもらえるように働きかけをする」にしても、
「なぜ」という理由が明確になっていなければ、アプローチ方法が決まりません。
そして、意識の中で最も影響が大きい「ヒト」が、トップ・役員の方です。
会社の大きさは、社長の器で決まるとも言われています。
みなさんの会社のトップ、役員の方は、どのような意識をもっていらっしゃるでしょうか。
まず、トップや役員の方の中に潜んでいる「よくある意識」を見ていきましょう。
※今回は、あくまでも「課題の整理」です。解決策の立案は、ステップ12以降でご紹介します。
なぜ解決策の立案ではなく「課題の整理」から手を付けることが大切なのかは、
ステップ(5)社内の「課題」を整理する~課題整理が必要な2つをご覧ください。
働き方改革に対するトップ・役員の方の意識「あるある事例」
働き方改革を進めるにあたって、
何よりも大切であるといわれているのが「トップ・経営陣の覚悟」。
当然のことですが、トップが「何が何でもわが社で働き方改革を進める」
という想いであれば、社内外から賛同を得ながら進んで行くことでしょう。
反対に、トップが「法律で決まったから仕方がなく取り組む」という想いであれば、
社内も「形だけ、仕方なく取り組む」ということになります。
さらに、トップが「働き方改革なんてわが社には関係ない」と思っていれば、
社内で働き方改革が進むことはないでしょう。
ここでは、働き方改革に対してトップや役員の方が持っておられることが多い
「ネガティブな意識」について、見ていきましょう。
【よくある意識(トップ・役員の方編)】
(1)働き方に対して
・早く帰ると「暇なのか?」と言われる(思われる)など、
遅くまで仕事している方がよいという意識
・有給休暇の取得を申請するとあまりよい顔をしないなど、
「働いてなんぼ」という意識
・男は外で仕事をして、女性は家を守るという意識
・仕事は顔を合わせることが大切であり、
顔を合わせないとコミュニケーションが取れないという意識
・働き方改革自体を進めようという意思表示はあるが、
トップ自身が「経営者は関係ない」という意識(=トップ自身が長時間労働をしている)
(2)働き方改革や業務改善に対して
・働き方改革を進めること自体が、
会社にとって何のメリットになるのかと懐疑的な意識
・働き方改革を進めるより、
営業活動をした方が売上・利益アップにつながるという意識
・働き方改革は、社員を甘やかすことであるという意識
・お客様第一主義を貫くことが何よりの信頼獲得の手法だから、
お客様に何を言われても対応しなければならないという意識
・トップは働き方改革を進めたいと思っているが、
役員が「そんなことをしても会社のためにならない」という意識を持っている
・法律を守っていては、会社はつぶれてしまう(仕事が回らなくなる)という意識
担当者発信の「働き方改革」の場合に知っておきたい
「トップ・役員の意識」
働き方改革を進めようと思い立つのは、トップである場合もありますし、
総務や人事のご担当者さまの場合もあります。
いずれの場合でも、最終的にはトップが本気にならなければ、
働き方改革を進めることができません。
そのためにどうすれば良いのか。
詳しくは「解決策」のステップであらためて触れますが、必要なことは「数値」と「熱意」です。
数値とは、「働き方改革」が「ヒト」「カネ」にとって良いという材料。
具体的に言うと、以下の数値にとって、
働き方改革は有効に機能するのだということを示すわけです。
【ヒト】
・採用率
・定着率
・離職率
【カネ】
・効率化
・生産性向上
・売上、利益向上
・労働分配率
トップは、労働力人口が減ることは認識しているでしょうから、
その少ない人員の中でどのように進めるのが良いのか、
働き方改革によってどのような働き方を実現していくのか、
数値を踏まえながら話すということです。
しかしながら、数値だけでは人の心を動かすことは出来ませんので、
あとは担当者の方の想い、熱い気持ちを持つこと。
これを読んで「難しそうだな」と思われた方、大丈夫です。
これまでのステップ(社内の現状把握と、トップの意識(課題)の整理)を
しっかり実践すれば、自ずとアプローチ方法は見えてきます。
諦めずに進んでくださいね。
■まとめ
働き方改革という言葉が時代を席巻するタイミングと同時に、
メディアで取り上げられ、一躍有名になったのが、大阪市に本社を置くIT企業であるSCSK社。
それまでIT業と言えば「長時間労働・深夜労働が当たり前」の世界。
しかし、会社で寝袋で寝ている社員を見て
「これでは、何年、何十年と働き続けることはムリだ」と思った社長が、働き方改革(時短)を敢行。
残業代が減った分を、賞与で還元するという施策が話題を呼びました。
確かに、残業をしている=残業代を稼いでいるという意識もあるでしょうから、
この施策自体も働き方改革成功に寄与したと思いますが、
一番のポイントは何だったかというと、「トップの意識」でした。
当時社長であった中井戸信英氏は、改革に先立ち、
社員に説明するとともに、社員の家族に手紙を書かれました。
そして、それだけにとどまらず、
取引先各位にも働き方改革を断行することを「宣言」されたのです。
始めは「どうせ無理」という意識だった社員も、
社長の「本気の姿」を見て少しずつ意識が変わっていったといいます。
やはり、何はともあれ働き方改革の成功を左右するポイントは、
「トップの意識」と言っても過言ではありません。
御社のトップが、どんなことを考え、意識し、行動をされているのか、
まず把握し、課題はどこなのかを明確にすることから始めなければ、
どんな施策も絵に描いた餅になります。
根気のいる作業ですが、とことん話し合い、明確にしてみてくださいね。
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