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神野沙樹

「活き生き組織」をともに作る社会保険労務士

神野沙樹(かみのさき) / 社会保険労務士

株式会社Niesul(ニースル社労士事務所併設)

コラム

「育児・介護休業法」の改正。すべての企業に適用!

2012年10月16日

テーマ:労務に関すること

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 育児休業 申請介護休業法

「育児・介護休業法」のうち、従業員数100人以下の企業には猶予されていた制度が、24年7月1日より適用されました!
育児・介護休業法は、企業や事業所の規模や業種を問わず適用されます。すべての会社で介護休暇・所定外労働の制限・短時間勤務制度(所定労働時間の短縮措置)を設けなければなりません。
従業員数100人以下の企業には猶予されていた制度①~③の改正について解説します。


----- ① 介護休暇 -----

● 要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う従業員は、事業主に申し出ることにより、対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができます。

● 介護休暇は、労働基準法で定める年次有給休暇とは別に与える必要があります。

(*1)「要介護状態」とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。

(*2)「対象家族」とは、配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、父母及び子(これらの者に準ずる者として、従業員が同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫を含む。)、配偶者の父母です。

(*3)「その他の世話」とは、ア)対象家族の介護、イ)対象家族の通院等の付き添い、対象家族が介護サービスの提供を受けるために必要な手続の代行その他の対象家族に必要な世話をいいます。

 [ 対象となる従業員 ]
・・・原則としてすべての男女従業員。
勤続年数6か月未満の従業員と週の所定労働日数が2日以下の従業員については、労使協定で定めれば対象者から除外できます。

 [ 手続き ]
・・・介護休暇の申出は、休暇を取得する日や理由等を明らかにして、事業主に申し出る必要があります。
介護休暇の利用については緊急を要することが多いことから、当日の電話等の口頭の申出でも取得を認め、書面の提出等を求める場合は、事後となって差し支えないこととすることが必要です。




----- ② 所定外労働の制限 -----
 
● 3歳に満たない子を養育する従業員が申し出た場合には、事業主は、所定労働時間を超えて労働させてはなりません。

(*)所定労働時間は、法定労働時間を超えない範囲で各事業所が定めた労働時間です。


 [ 対象となる従業員 ]
・・・原則として3歳に満たない子を養育するすべての男女従業員。 (日々雇用者を除く。)
ただし、勤続年数1年未満の従業員と週の所定労働日数が2日以下の従業員については、労使協定で定めれば対象者から除外できます。

 [ 手続き ]
・・・所定外労働制限の申出は、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、開始予定日と終了予定日等を明らかにして、開始予定日の1か月前までに、事業主に申し出る必要があります。また、申出は何回もすることができます。




----- ③ 短時間勤務制度(所定労働時間の短縮措置) -----


● 事業主は、3歳に満たない子を養育する従業員で育児休業をしていないものに対し、短時間勤務制度(1日の所定労働時間を原則6時間に短縮する制度)を設けなければなりません。

● 短時間勤務制度は、就業規則に規定される等、制度化された状態になっていることが必要であり、運用で行われているだけでは不十分です。

● 短時間勤務制度は、1日の労働時間を原則として6時間(5時間45分から6時間まで)とする措置を含むものとしなければなりません。



 [ 対象となる従業員 ]
・・・原則として、1日の所定労働時間が、6時間を超えるすべての男女従業員。

ただし、次のa~cの従業員は、労使協定で定めれば対象者から除外できます。
a) 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない従業員
b) 週の所定労働日数が2日以下の従業員
c) 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する従業員


 [ 手続き ]
・・・短時間勤務制度の適用を受けるための手続は就業規則等の定めによります。
こうした定めについては、事業主は、適用を受けようとする従業員にとって過重な負担を求めることにならないよう配慮しつつ、育児休業や所定外労働の制限など他の制度に関
する手続も参考にしながら適切に定めることが必要です。
※ このうち、c)に該当する従業員を適用除外とした場合、事業主は、代替措置として、以下のいずれかの制度を講じなければなりません。
 (ア) 育児休業に関する制度に準ずる措置
 (イ) フレックスタイム制度
 (ウ) 始業・終業時間の繰上げ・繰下げ(時差出勤の制度)
 (エ) 従業員の3 歳に満たない子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与




☆新たにこれらの制度の対象となる企業では、あらかじめ就業規則などに制度を定め、従業員に周知しておく必要があります。

③に関連して「子育て期短時間勤務支援助成金」
http://mbp-japan.com/osaka/kes-sr/column/16654/もご紹介しています。就業規則の見直し時に育児・介護の給付・助成金を活用されてはいかがでしょうか。

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