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神野沙樹

「活き生き組織」をともに作る社会保険労務士

神野沙樹(かみのさき) / 社会保険労務士

株式会社Niesul(ニースル社労士事務所併設)

コラム

障害者の法定雇用率が引き上げられます。

2012年10月12日 公開 / 2012年10月17日更新

テーマ:労務に関すること

コラムカテゴリ:ビジネス

平成25年4月1日から 障害者の法定雇用率が引き上げられます。
「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、事業主に対して、その雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合が一定率(法定雇用率)以上になるよう義務づけています(障害者雇用率制度)。
この法定雇用率が、平成25年4月1日から改正されることになりました。

従業員50人以上56人未満の事業主のみなさまは特にご注意ください!


【 法定雇用率の改正と障害者雇用率制度等の概要 】

◆◆◆ 1 法定雇用率の改正  ◆◆◆
民間企業            ・・・(現行)1.8% → (改正後)2.0%
国・地方公共団体等     ・・・(現行)2.1% → (改正後)2.3%
都道府県等の教育委員会 ・・・(現行)2.0% → (改正後)2.2%

法定雇用率は「労働者の総数に占める身体障害者・知的障害者である労働者の総数の割合」を基準として設定し、少なくとも5年ごとに、この割合の推移を考慮して政令で定めるとしています。今回の法定雇用率の変更は、同法の規定に基づくものです。

障害者雇用を進めていく根底には、「共生社会」実現の理念があります。障害者が ごく普通に地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる社会を実現するためには、職業による自立を進めることが重要です。
なお、障害者雇用率制度に基づく雇用義務を履行しない事業主は、法律に基づき、雇入れ計画作成命令などの行政指導を受けるとともに、その後も改善が見られない場合、企業名が公表されます。



◆◆◆ 2 障害者雇用率制度  ◆◆◆
原則として、事業主は、常時雇用する労働者の数*1に法定雇用率を乗じて得た数以上の身体障害者又は知的障害者を雇用しなければならない*2こととされています。

*1.短時間労働者(週所定労働時間が20時間以上30時間未満)は、1人につき0.5人と計算します。

*2.雇用した障害者の数は、1人につき次の表のようにカウントします(1人につき0.5人とカウントする場合や1人につき2人とカウントする場合があります)。

①身体障害者・知的障害者(②以外)    ・・・(短時間労働者以外)1人  /  (短時間労働者)0.5人
②身体障害者・知的障害者(重度の場合) ・・・(短時間労働者以外)2人  /  (短時間労働者) 1人
③精神障害者                   ・・・(短時間労働者以外)1人  /  (短時間労働者)0.5人


注.精神障害者については、雇用義務はありませんが、雇用した場合は、身体障害者・知的障害者を雇用したものとみなされます(具体的には、上記のようにカウント)。



◆◆◆ 3 その他の注意点  ◆◆◆
① 今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない事業主の範囲が、雇用する労働者の数が常時56人以上の事業主から常時50人以上の事業主に変わります。
ちなみに、その事業主には、次のような義務もあります。

・毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告。
・障害者雇用推進者*を選任するよう努める(選任するのが望ましい)。

*障害者雇用推進者の業務*
1. 障害者の雇用の促進と継続を図るために必要な施設・設備の設置や整備
2. 障害者雇用状況の報告
3. 障害者を解雇した場合のハローワークへの届け出 など


② 障害者雇用納付金制度*においても、平成25年4月1日から新しい法定雇用率が適用されます。従って、平成26年4月1日から同年5月15日までの間に申告する分(平成25年4月から平成26年3月までの申告対象期間)から新しい法定雇用率で算定することになります。

*障害者雇用納付金制度とは……法定雇用率を下回っている事業主(雇用する労働者の数が常時200人以下の事業主を除く。)から、法定雇用障害者数に不足する人数に応じて納付金を徴収し、それを財源に法定雇用率を上回っている事業主に対して調整金等を支給する制度。ちなみに、平成27年4月1日からは、常時雇用している労働者数が100人を超え200人以下の中小企業事業主に納付金制度の適用が拡大されます。


実施は来年度(平成25年4月)からですが、貴社に何人の障害者の雇用義務が生じるか、確認しておきましょう。



【 参 考 】障害者雇用のための各種助成金や職場定着に向けた人的支援など、さまざまな支援制度が利用できます。
<利用可能な支援の例>
○障害者雇用に関する各種相談、職業紹介  ・・・・ハローワーク
○職場定着支援、事業主への助言      ・・・・地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター
○各種助成金               ・・・・ハローワーク、高齢・障害・求職者雇用支援機構
(参考)厚生労働省ホームページ
トップページ「分野別の政策」 >雇用・労働 >雇用 >施策情報「障害者雇用対策」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/

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