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残業が法定休日にまたがる場合の割増賃金

2019年4月13日

テーマ:労働基準法関連

コラムカテゴリ:法律関連

休日は「法定外休日」と「法定休日」に分けられ、会社は労働者を法定外休日に出勤させた場合、25%以上の割増賃金の支払いが必要(法定労働時間を超えた場合)なのに対し、法定休日に出勤させた場合は、35%以上の割増賃金を支払う必要があります。
では、前日の残業が法定休日にまたがってしまった場合等はどのように計算するのでしょうか。

<法定休日の定義>
法定休日については労働基準法に「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」、例外として「4週間を通じて4日以上の休暇を与える使用者については適用しない」と定められています。
なお、休日とは原則0時~24時までの24時間が休みであることが必要です。

<割増賃金の取扱い>
トラブル等で深夜0時をまたいで時間外労働になった場合(2暦日にわたる場合)、1業務として取り扱い、勤務の開始時刻が属する日の勤務として取扱います。しかし、法定休日の割増率は、0時~24時で判断となるので注意が必要です。
なお、法定休日の割増と時間外労働の割増が重複することはありませんが、深夜の割増については加算する必要があります。
【例】 
①残業が法定休日に及んだ場合(9時~翌3時まで労働した場合)
9時~18時(1時間休憩) 0%
18時~22時  25%以上(時間外労働)
22時~0時  50%以上(時間外労働+深夜時間)
0時~3時  60%以上(法定休日労働+深夜時間)

②法定休日に出勤し、翌日まで及んだ場合(9時~翌1時まで労働した場合)
9時 ~22時 35%以上(法定休日労働)
22時~0時  60%以上(法定休日労働+深夜時間)
0時 ~1時  25%以上(深夜時間)
*法定休日割増賃金は、0時~24時の間で判断します。0時~1時は、法定休日の勤務として取扱いますが、35%の割増率の適用を受けない労働時間が8時間以内である為、時間外の割増は不要。

③法定休日に出勤し、翌日の始業時間まで及んだ場合
(日曜の20時~翌月曜10時まで働いた場合)
20時~22時  35%以上(法定休日労働)
22時~0時   60%以上(法定休日労働+深夜時間)
0時~5時    25%以上(深夜時間)
5時~8時   0%
8時~9時   25%以上(時間外労働)
9時~10時  0%(月曜日の通常の勤務となる)

例③の場合、日曜の20時~24時の間は法定休日労働となるので35%以上の割増率が適用されます。翌日の0時~10時の労働について、2暦日にまたがる勤務については勤務開始時刻が属する日の勤務として取扱うため、0時~9時は、日曜日の勤務として取り扱い、9時以降は月曜日の勤務として取扱います。
よって、0時~8時までは、法定休日割増を要する時間を除き、1日8時間以内の労働に該当する為、深夜時間(0時~5時)に対する割増賃金のみ発生します(法定労働時間の週40時間を経過した場合は、25%以上の割増賃金必要)。そして、8時~9時までの1時間は1日8時間超過による時間外労働として25%以上の割増賃金となります。

時間外労働・休日労働をさせる場合は、「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」が必要です。36協定には1か月の間に労働させることができる法定休日の回数及び、始業終業を記入する必要があります。この定めた範囲を超える休日労働が発生した場合、労働基準法違反となるので注意しましょう。

この記事を書いたプロ

鈴木圭史

労務相談の専門家

鈴木圭史(ドラフト労務管理事務所)

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