障がい者の雇用人数及び、障がい者雇用給付金

鈴木圭史

鈴木圭史

テーマ:障がい者雇用

すべての事業主は、従業員の一定割合以上の障がい者を雇用することを義務付けられています。雇用義務を履行しない事業主に対しては、ハローワークから行政指導が行われます。

<障がい者の雇入れ人数>
障がい者の最低雇用人数は「常用雇用労働者数×法定雇用率(%)」(1未満の端数切り捨て)で求めることができます。現在(2019.1月末時点)の法定雇用率は民間企業の場合「2.2%」となっています(2019年度の申請申告から適用)。よって、現在従業員が45.5人以上の企業は障がい者を1人以上雇用している必要があります。
なお、障がい者の法定雇用率は、2021年4月までに2.3%に引上げられる予定です。

〇常用雇用労働者のカウント
週の所定労働時間が30時間以上の場合:1人
週の所定労働時間20時間以上30時間未満の場合:0.5人

<除外率制度>
障がい者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、職務の割合に応じた障がい者雇用義務の軽減が設けられています。除外制度は法改正により現在廃止となっていますが、経過措置により段階的に除外率が引き下げられることとされています。
〇業種(除外率)
・建設業、鉄鋼業、道路貨物運送業等(20%)
・鉄道業、医療業、高等教育機関(30%)
・倉庫業、船舶造船・修理業、航空運送業等(10%)


【例】建設業で常用労働者95人の場合
95人×20%(除外率)=19人(除外人数)
(95人-19人)×2.2%=1人(雇入れが必要な障がい者数)

<雇用障がい者数のカウント>
常時雇用する障がいがある労働者の人数が1人であっても、障がいの程度や所定労働時間により、人数の算定が異なります。

障がいの種類     :所定労働時間30時間以上(20時間以上30時間未満)
・身体・知的障がい者     :1人(0.5人)
・重度の身体・知的障がい者  :2人(1人)
・精神障がい者        :1人(0.5人)

<障がい者雇用納付金>
障がい者雇用納付金とは、障がい者の雇用に伴う事業主の経済的負担の調整を図るとともに、障がい者の雇用促進等を図るための、事業主の共同拠出による制度です。
仕組みは、雇用率未達成の常時労働者100人越えの企業から納付金を徴収し、雇用率達成の企業に対して調整金(報奨金)が支給されます。

<障がい者雇用納付金申告の有無>
年度(4/1~3/31)の12か月間に常用雇用労働者100人を超える月が5か月以上の場合、「障がい者雇用納付金」の申告が必要となります。申告書を提出しない場合は
*年度途中で事業廃止となった場合は、100人を超える月が5か月未満でも申告が必要

〇未達成の場合(申告及び納付が必要)
雇用障がい者数が法定雇用障がい者数未満である場合、不足1人当たり月額5万円が徴収されます。なお、常用労働者が100人越え200人以下の月が8か月以上ある事業主は、2020年3月まで不足1人当たり月額4万円に減額されます。
【計算式】
納付金の額=
(法定雇用障がい者数―雇用障がい者数)の各月の合計数×月額5万(4万)円

 納付金の額が100万円以上になる場合は3期に分けてそれぞれ3分の1ずつ納付することができます。

〇達成の場合
雇用障がい者数が法定雇用障がい者数を超えている場合は以下ようになります。
【障がい者雇用納付金の申告が必要な事業主】(申告及び調整金の申請必要)
超過1人当たり月額27000円が支給されます。

【常用労働者が100人以下となる月が8か月以上である事業主】(申請は任意)
次の①②のいずれか多い数を超える障がい者を雇用している場合、報奨金が支給されます。
①4月~3月までの各月ごとの常用雇用労働者数×4%の合計数
②72人
超過1人当たり月額21000円が支給されます。申請する場合は、報奨金の申請を行いましょう。
ただし、調整金・報奨金の支給申請にあたっては、除外率が適用されないので注意が必要です。

<在宅就業障がい者特例調整金(在宅就業障がい者特例報奨金)>
在宅就業障がい者又は在宅就業支援団体に仕事を発注(2019.1月現在:35万円以上)し、業務の対価を支払った事業主に対して「在宅就業障がい者特例調整金(在宅就業障がい者特例報奨金)」支給されます。
【計算】
 特例調整金(特例報奨金)=在宅障がい者への支払総額÷35万円×21000円(17000円)
*上限あり(21000(17000)×各月の雇用障がい者のカウント合計数)

【例】年間250万円の発注を行った場合の特例調整金
250万÷35万×21000円=147000円

申告申請書は、「独立行政法人 高齢・障がい・求職者雇用支援機構」よりマクロ機能付きのエクセルがダウンロードできます。なお調整金・報奨金の申請にあたっては、源泉徴収票や障がい者手帳の写し等、添付書類が必要な場合があります。
 申告書を提出しない場合には、障がい者の雇用の促進等に関する法律の規定により、障がい者雇用納付金の額が決定し納入の告知が行われます。この場合には、納付金の他に、納付金額の10%の追微金が科せられます。

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鈴木圭史
専門家

鈴木圭史(特定社会保険労務士)

ドラフト労務管理事務所

社労士として20年以上の経験を誇り、労務相談から発展した、労務リスクの回避につながる労務監査を推進。IPOやM&A支援でも実績があります。「船員の働き方改革」に対応する海事代理士業も。

鈴木圭史プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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