事業所の考え方

鈴木圭史

鈴木圭史

テーマ:労働安全衛生法関連

労働基準法や安全衛生法は事業場ごとに適用されます。よって、就業規則や労使協定、安全(衛生)管理者等は事業場ごとの人数で考えます。
事業場の解釈は、原則として「場所的概念」(住所ごと)によって決定され、同じ場所にあれば1つの事業所、場所的に分散している場合は原則として別の事業場とされています。
なので、本社の道路を挟んで向かいに支店がある場合、事業所は2つと考えられます。(近いからと言って1つの事業所にまとめることは原則できません。)
しかし、これには例外があり、「①様態が著しく異なるもの」「②規模が小さく独立性がないもの」は異なった扱いとなります。

①様態が著しく異なるもの
同じ場所でも労働状態が全く違う部門であれば、別の事業場として取り扱われます。
例えば、工場の診療所や食堂等です。この場合、工場で生産にあたる労働者と食堂で料理を作る労働者、診療所で診察にあたる労働者とでは、業態が著しく異なります。このような場合、それぞれ別々の事業場とみなされます。

②規模が小さく独立性がないもの
場所的には離れているものであっても、規模が極めて小さく、組織的な関連や事務能力等を勘案して一つの事業場とする程度の独立性が無いものは、直近上位の機構と一括して一つの事業場として取り扱うこととされています。
例えば、滞在が少人数で業務が営業のみの営業所です。
事業所に非該当となった場合は、非該当となる場所の管轄ハローワークへ「事業所非該当承認申請書」を提出することで直近上位の事業所に含めての取り扱いになります。

働き方改革や地方創生の一つとして「サテライトオフィス」(企業の本拠から離れたところに設置されたオフィス)という言葉を耳にすることがあります。こちらも、小規模で独立性を有しないものである場合は、直近上位の機構と一つの事業場とできますが、勤怠管理や業務指示を行っている方がサテライトオフィスにいる場合は、独立した事業場と考えられる傾向があります。
実際の判断は、営業所の規模や業務内容、命令系統等を基にケースバイケースです。事前に労働基準監督署に確認する方がいいでしょう。

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鈴木圭史
専門家

鈴木圭史(特定社会保険労務士)

ドラフト労務管理事務所

社労士として20年以上の経験を誇り、労務相談から発展した、労務リスクの回避につながる労務監査を推進。IPOやM&A支援でも実績があります。「船員の働き方改革」に対応する海事代理士業も。

鈴木圭史プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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