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1か月単位の変形労働時間制

2018年12月11日

テーマ:労働基準法関連

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 労働時間退職 手続き

労働時間に柔軟に柔軟な対応ができる制度として、会社業務の繁忙期・閑散期に応じた労働時間の分配を行う「変形労働時間制」と、始業・終業時間を労働者に自由に選択させることができる「フレックスタイム制」があります。さらに、変形労働時間制には「1週間単位」「1か月単位」「1年単位」の3種類があり、提出書類や要件が異なります。

<1か月単位の変形労働時間制>
1か月単位変形労働時間制は、1か月以内であれば、15日や4週間などの単位で設定することもできます。
1か月以内の期間を平均し、1週間当たりの労働時間が「40時間」(特例措置対象事業場は44時間)以下の範囲内において、1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
1か月単位の変更労働時間制における限度時間は「40(44)時間×暦日数÷7日」で求められます。

*特例措置対象事業場とは、法定労働時間について特例措置(1週間44時間、1日8時間)が残されている業種です。
(常時10人未満の労働者を使用する商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業が該当)

<届出>
1か月単位の変形労働時間制を採用する場合、労使協定や就業規則等に次の事項定める必要があります。
①対象労働者の範囲 
②対象期間及び起算日 
③労働日及び労働日ごとの労働時間 
④労使協定の有効期間(労使協定で定める場合必要、3年以内程度とすることが望ましい)
労使協定により定める場合は、労働基準監督署へ届出が必要です。就業規則により定める場合、常時10人以上の労働者を使用する会社は、届出が必要。

<時間外労働の考え方>
③の労働日及び労働日ごとの労働時間で定めた「所定労働時間」と、「法定労働時間」(1日8時間、1週40時間)で考えます。
所定労働時間を10時間で提出した日に、予定通り10時間労働させた場合は、残業時間となりません。また、所定労働時間が4時間の日に2時間残業させた場合も法定労働時間内(1日8時間、週40時間以内)であれば残業代の支払いは必要ありません。
しかし、所定労働時間を超えかつ法定労働時間を超えた場合は割増賃金の支払いが必要となります。

<途中退職等による賃金の清算>
「1か月を超えるフレックスタイム制」や「1年単位の変形労働時間制」を採用している場合、途中退社や転勤となった場合、繁忙期のみ勤務したものと、閑散期のみ勤務したものが同一賃金という不合理です。そこで実際に勤務した期間が変形期間より短い労働者に対しては、「賃金の清算」を行う必要があります(賃金を減額することはできません)。
清算の計算は、「実労働時間―(40時間×暦日数÷7日)」で出た時間が割増賃金を支払う時間です。
しかし、「1か月単位の変形労働時間制」においては、賃金の清算についての規定はありません。よって、前内容(時間外労働の考え方)についての割増賃金を支払っていれば問題はありません。ただし、労働者の福祉向上という観点から、清算を行うことが望ましいでしょう。

変形労働時間制を定める場合において、勤務時間が人によってバラバラなアルバイト等に導入する場合は注意が必要です。勤務パターンが数パターンしか記載されておらず、全パターンが網羅されていない場合、法定労働時間を超える部分については、時間外労働となり割増賃金の支払いが必要となる可能性があります。

この記事を書いたプロ

鈴木圭史

労務相談の専門家

鈴木圭史(ドラフト労務管理事務所)

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