休業手当が支払われない… 労働者に直接給付
傷病手当
傷病手当は雇用保険法の求職者給付の1つです。
傷病手当の支給要件は、公共職業安定所にて求職の申し込みをした後で、疾病または負傷により職業に就くことができない期間が継続して15日以上ある場合に基本手当に代わって支給されます。(15日未満の疾病・負傷は基本手当が支給されます)
支給日数は、その人の年齢や雇用保険加入期間、退職理由、基本手当を支給した日数等により異なります。
<支給額>
基本手当の日額が傷病の認定を受けた日分、支給されます。
基本手当の日額は、在職時の賃金日額(被保険者期間の最後から6か月間の賃金総額/180日で計算したもので)×賃金日額に応じた率(80~45%)で求められます。
支給日は、傷病が治った後最初に基本手当を支給すべき日になり、傷病認定を受けた日分の基本手当の額が支給されます。
<申請>
就職に就くことができない理由がやんだ後、最初の基本手当を受給すべき日までに傷病手当支給申請書に受給資格者証を添えて公共職業安定所長に提出する。
傷病手当金
傷病手当金は健康保険法に属しています。
社会保険に加入している者が、業務災害・通勤災害以外の傷病のため就労することができない場合にその療養期間中の所得を補償するために給付されます。(被扶養者及び、任意継続被保険者は支給対象外です)
労務不能となった日(業務終了後に傷病が発生した場合はその翌日)から連続3日待機(有給・欠勤・公休どれでも可)した後、支給を受けた日から1年6か月間、仕事に就けなかった日に支給されます。
<支給額>
1日当たりの給与金額(支給開始日の属する月以前の12か月間の各月の給料の平均した額/30日)の3分の2が支給される。
12か月に満たない場合は、支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額、もしくは当該年度の前年の度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額のどちらか少ない額で計算します。
<申請>
傷病手当金は事後請求となり、2年間さかのぼって請求できます。
傷病手当金支給申請書・事業主の証明書・医師の意見書を保険者(協会けんぽ・健康保険組合)に提出します。
傷病手当金は、退職後も継続給付が可能となっており、
・退職日以前に継続して1年以上被保険者期間があること(被保険者期間が1日も空いていなければ転職前の会社の期間も通算できる)
・退職日に傷病手当金の支給を受けている、もしくは受ける条件を満たしていること(退職日に出勤した場合は継続給付に該当しなくなるので、有給か欠勤でなければならない)
の両方の要件をクリアしていれば、引き続き傷病手当金を受け取ることができます。
ただし、報酬や休業補償給付、障害厚生年金等の支給を受けている場合は、原則支給はされません。例外として傷病手当金の額のほうが多い場合は差額が支給されます。
ちなみに、業務上又は通勤の疾病・負傷により労働することができない場合は、休業(補償)給付が支給されます。
傷病手当と傷病手当金は、名前は似ていますが、定められている法が違い、支給の要件も異なります。会社在職中は、傷病手当金が支給され、退職し継続給付を受けている場合は、職に就くことができない状態なので失業手当(傷病手当等)は支給されません。この場合はハローワークに受給期間の延長手続きをします。
業務外で疾病・負傷した場合、その時の状況(就職中なのかどうか)で傷病手当なのか傷病手当金なのか変わってきます。