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ブラック企業大賞とは?

2018年6月23日

テーマ:ブラック企業にならないために

コラムカテゴリ:法律関連

その年度で、最もブラックとみなされた企業を決める「ブラック企業大賞」という取り組みをご存知でしょうか。これまで、東京電力やワタミフードサービス、電通などの有名企業が選定されてきました。この記事では、「ブラック企業大賞」の内容や選定基準のほか、歴代大賞企業の受賞理由について解説します。

「ブラック企業」を独自に選定して周知

「ブラック企業大賞」とは、その年度で最もブラックだった企業を決める取り組みのこと。「ブラック企業大賞」は2012年から行われており、年々認知度が高まっています。世間で「働き方改革」が声高に叫ばれるなか、労働環境の見直しが注目されているのが背景にあるでしょう。

「ブラック企業大賞」は、ルポライターや弁護士、ジャーナリストなど、日頃から労働問題に関わっているメンバーが得た情報をもとに選定されています。選抜は、公式サイトにある「ブラック企業を見極める指標」に基づいて行われています。

具体的には「長時間労働」「セクハラ・パワハラ」「いじめ」「コンプライアンス違反」「育休・産休などの整備の不備」「労組への敵対度」「派遣差別」「派遣依存度」「残業代未払い(求人票でウソ)」と実に多様です。

「ブラック企業」は、これらの様態がいくつも積み重なっており、その形は一様ではないことから、選抜に苦労することもありそうです。選考委員会では、メンバーが意見を交換しながら、業界や分野などのバランスを取ったうえで、大賞企業を選定しているのでしょう。

「ブラック企業大賞」に輝いたのはどんな企業?

では、どのような企業がこれまで「ブラック企業大賞」に選ばれてきたのでしょうか。

歴代の「ブラック企業大賞」を紹介します。初代大賞は東京電力(2012年)。東京電力は、福島第一原発の事故処理において、下請け企業の安全管理がずさんであることが問題に。さらに、社内における男性社員のいじめ自殺が判明し、労働環境が劣悪であることがクローズアップされました。

2013年に認定されたのはワタミフードサービス。ワタミフードサービスといえば、「名ばかり管理職」という労働問題の存在を自ら世に知らしめたパイオニア企業。低賃金労働やパワハラ、セクハラが常態化していたことが知られています。

さらに、居酒屋「和民」で正社員として働いていた女性が入社後わずか2か月で過労自殺した事件は、世間を震撼させました。

そして、2014年に認定されたのはヤマダ電機。ヤマダ電機では、自殺や労災認定が後を絶ちません。自殺は2004年、2007年、2013年に起こっており、労働環境の改善は喫緊の課題となっています。

さらに、劣悪な就労環境も話題に。ノルマが課され、日々のプレッシャーが激しいだけでなく、長時間の残業は当たり前。それなのに、低賃金労働を余儀なくされているのが実情です。家電量販店は、出店攻勢が続き、競争が激化していることがこのような苛烈な労働を招いたのかもしれません。

大手企業のなかにも「ブラック企業」はある

2015年はセブン-イレブン・ジャパンが選定されました。理由はFCオーナーへの苛烈ないじめ。あまりにもひどい搾取構造が問題視されました。

そして、2016年に選定されましたのは電通。2015年12月25日に新入社員の女性が過労自殺したことは記憶に新しいでしょう。

最後に2017年の大賞企業についてです。選ばれたのは「引越社グループ(引越社、引越社関東、引越社関西)」。

「ブラック企業大賞」ホームページにある受賞理由から、そのブラック度をひもといてみましょう。引越社グループは、男性営業社員をシュレッダー係に配転し、懲戒解雇に。そして、懲戒解雇の理由を男性営業社員の顔写真入りで「罪状」としてグループ店舗へ掲示するという、人格を毀損させる行為をしました。

これを東京都労働委員会は不当労働行為と認定。東京都労働委員会が調査を行うなかで、労組からの脱退を促す行為をしていたことも明らかになりました。引越社グループは、2015年にもノミネートされており、「ブラック企業」として注目されていました。こうなれば、世間から「ブラック企業」と言われぬよう、労働環境の改善に取り組みそうなものですが、引越社グループは残念ながらそうではなかったようです。

これまで見てきたように、「ブラック企業大賞」の受賞企業は世間一般に知られている企業ばかり。つまり、大手企業だからといって、「ホワイト企業であるとは限らない」ということです。

今後、「ブラック企業」への社会的圧力が高まるなか、労働基準監督署による実地監査は増えていくでしょう。取り締まりの本格化と「ブラック企業大賞」のような民間の取り組みによって、「ブラック企業」が減っていくよう、期待したいものです。

この記事を書いたプロ

鈴木圭史

労務相談の専門家

鈴木圭史(ドラフト労務管理事務所)

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