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コラム

ブラック企業の定義とは?

2018年6月14日

テーマ:ブラック企業にならないために

コラムカテゴリ:法律関連

社会的認知度が上昇している「ブラック企業」という言葉。「ブラック企業」には、明確な定義はありませんが、違法労働やハラスメントが常態化している企業のことを意味します。

「ブラック企業」は、貴重な資源である人材を浪費させ、社会に対してさまざまな悪影響を与えています。こうしたなか、厚生労働省を中心に「ブラック企業」に対する制裁が行われるようになりました。

この記事では、「ブラック企業」を取り巻く社会状況と労働行政の現状などについて解説します。

「ブラック企業」に対する目は厳しい

「働き方改革」が声高に叫ばれるなか、労働環境に対する意識は高まっています。

こうしたなか、「ブラック企業」への社会的な糾弾が目立つようになってきました。この背景には、人口減少社会があるでしょう。

日本は人口減少社会に突入しており、今後、労働人口の激減が見込まれています。言うまでもなく、企業は働き手がいなければ、収益を確保することはできません。今までは、企業の発言力が強く、労働者はそれに甘んじてきましたが、今後はそうならないでしょう。

労働人口が減少する社会では、労働者の発言力は高まり、労働者が主体的に働く企業を選ぶ時代が来るかもしれません。

要するに、企業が「労働者から選ばれる時代」に突入しているということです。このような時代に「ブラック企業」というレッテルを貼られ、社会的イメージを毀損することは、相当なダメージとなってしまいます。人が集まらないばかりか、取引先からもそっぽを向かれ、事業が継続できない恐れさえあります。「ブラック企業」と呼ばれないためにも、労務管理を早急に行う必要があります。

「ブラック企業」に明確な定義はない

そもそも「ブラック企業」とはどのようなものなのでしょうか。

実は、「ブラック企業」という言葉には、社会的に確立された定義はありません。しかし、厚生労働省は「ブラック企業」に見られる、一般的な特徴を次のように記述しています。少し長くなりますが、そのまま引用します。

「①労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す②賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い③このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う」

この内容を見ると、違法労働が常態化しているだけでなく、過度なプレッシャーを日常的に受ける環境にある職場が「ブラック企業」であるとわかります。

「ブラック企業」に対する社会的な視線は厳しくなっているものの、「ブラック企業?そんなものは私には関係ない」という声があるのも事実です。なぜ「ブラック企業」は糾弾されなければならないのでしょうか。

その理由は、人材は「社会的資源」であるからです。人ひとりに投入された税金(例えば、義務教育)は膨大な金額になります。こうして長い時間をかけて成長させた人材を使い捨てるばかりか、深刻な精神的ダメージを与え社会復帰を困難にさせることは、社会的に大きな損害です。だからこそ、「ブラック企業」は適正化されなければならないのです。

「ブラック企業」に対する社会的制裁が行われるように

近年、「ブラック企業」の対義語として「ホワイト企業」という言葉を耳にするようになりました。インターネット上では、就活生を中心に「ホワイト企業」に関する情報が交換されるようになってきました。

「ホワイト企業」とは、こちらも社会的に認知された定義はありませんが、一般的に働き方がクリーンな会社のことを意味します。

若者を中心に働き方への意識が高まるなか、さまざまな場面やツール(ツイッターやフェイスブックなど)で企業に関する情報交換が行われています。このような環境下では、「ブラック企業かホワイト企業か」という二者択一の議論が展開される傾向があります。

インターネットの情報はひとり歩きしてしまうこともあります。企業の情報管理能力が問われる時代になっていると言えるでしょう。

「ブラック企業」という言葉が社会的に認知されるなか、厚生労働省は「ブラック企業」の締め出しを行うようになってきました。その一環がハローワークにおける求人票の受け付けです。

これまでハローワークは、企業が提出する求人を受け取らなければなりませんでしたが、長時間労働やパワーハラスメントなどが常態化していると見られる企業の求人は、拒否することができるようになりました。

そして、厚生労働省は「ブラック企業のリスト」をホームページで公表するようになりました。公表という社会的な制裁を受ければ、社会的イメージの低下は避けられません。

さらに、労働行政を司る労働基準監督署も黙ってはいません。労働基準監督署は、違法労働などを取り締まるための専門部隊です。大手広告代理店・電通で起きた悲惨な過労死事件で、注目されたことは記憶に新しいでしょう。

労働基準監督署は、違法労働を取り締まるために、労働基準監督官を増員する方針のようです。「ブラック企業」への社会的圧力はますます高まっていくでしょう。

この記事を書いたプロ

鈴木圭史

労務相談の専門家

鈴木圭史(ドラフト労務管理事務所)

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