アダルトビデオプロダクション 派遣法違反で逮捕

鈴木圭史

鈴木圭史

テーマ:職業安定法・労働者派遣法

2016年6月、大手アダルトビデオプロダクションの元社長らが、経営する芸能事務所に所属していた女性をアダルトビデオ撮影に派遣したとして、労働者派遣法違反の容疑で逮捕されました。女性が警視庁にアダルトビデオへの出演を強要されたと相談して発覚したこの事件は、7月に東京簡裁が罰金の略式命令を出しました。

労働者派遣法のどの部分に違反してるかと言えば、58条の違反です。条文は下記のようになっています。
●労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)
『第五十八条 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。』

条文にある1年以上10年以下の懲役、20万円以上300万円以下の罰金は、労働者派遣法の中で最も大きい罰則です。

労働者派遣法では、適用除外業務として港湾運送業務・建設業務・警備業務・病院、診療所等における医療関連業務・弁護士、社会保険労務士などの士業など禁止されているものがありますが、今回のアダルトビデオの出演は、58条の「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務」に当たるとされ、適用されました。有害な業務と言えるのか、議論が分かれるところかもしれませんが、判例においてもアダルトビデオの出演が有害業務とするものがあります。

職業安定法にも、派遣法58条と同様の条文があります(職安法第63条)。2013年には、性風俗店に女性を紹介したとして職業安定法で定める「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務」として検挙された事例があります。

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鈴木圭史
専門家

鈴木圭史(特定社会保険労務士)

ドラフト労務管理事務所

社労士として20年以上の経験を誇り、労務相談から発展した、労務リスクの回避につながる労務監査を推進。IPOやM&A支援でも実績があります。「船員の働き方改革」に対応する海事代理士業も。

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