住宅ローンが払えない…最初にすべき5つの行動
「任意売却で家を手放したら、借金もチャラになるんですよね?」
ご相談の現場で、私が最も多く受ける誤解のひとつです。残念ながら、答えは「いいえ」。任意売却はあくまで不動産を売る手続きであって、借金そのものを消す制度ではありません。今日はこの「売った後に残るお金」、いわゆる残債務について、実務の現場からお話しします。
①なぜ売っても借金が残るのか
任意売却は、住宅ローンの残高より売却価格が低い「オーバーローン」の状態で行われるのが一般的です。たとえば残債2,500万円の家が1,800万円でしか売れなければ、差額の700万円は売却後も借金として残ります。これが残債務です。
この残債務は、法律上は消えません。ただし、もう自宅という担保がない「無担保の債権」に変わります。ここがポイントで、債権者にとっても回収のハードルが上がるため、現実的な返済方法を話し合う余地が生まれます。
②残債務は「分割返済」で交渉できる
ここで大切なのが、債権者との分割返済の交渉です。任意売却に応じる金融機関やサービサー(債権回収会社)の多くは、売却後に一括で残債を求めることはまずありません。生活再建を前提に、月々無理のない金額での分割返済に応じてくれるケースが大半です。
私が立ち会った事例でも、月5,000円〜1万円程度から始める分割で合意できたケースがあります。重要なのは、誠実に支払う意思を示し、家計の実情を正直に伝えること。隠したり連絡を絶ったりすると、かえって一括請求や法的措置を招きます。逃げないことが、最も有利な交渉カードなのです。
③それでも返せないときの選択肢
収入や健康状態によっては、分割返済すら難しい方もいます。その場合は、自己破産や個人再生といった債務整理を視野に入れます。任意売却を先に済ませておくと、競売よりも高く売れて残債が圧縮されるため、その後の債務整理もぐっと軽くなります。
判断には弁護士・司法書士など専門家の関与が欠かせません。私たち仲介会社は売却のプロであって、債務整理の代理はできません。だからこそ、信頼できる専門家と連携しながら進めることが、お客様を守る最善の道だと考えています。
まとめ
任意売却をしても借金はゼロにはなりません。しかし、残った債務は「交渉できる借金」です。一括ではなく分割で、生活を立て直しながら返していける道は必ずあります。住宅ローンの返済に行き詰まったら、一人で抱え込まず、早めにご相談ください。早く動くほど、選べる選択肢は多く残されています。


