相続した不動産を売却する際に、評価額の確認に注意
空家を相続した場合、相続人はその空家の所有権を取得します。所有権を持つ者は、その物件を自由に管理・利用することができますが、所有権が移転したにもかかわらず、名義変更をせずにそのままにしておくことには、以下のような問題が生じる可能性があります。
一つ目の問題:地方自治体から課税される固定資産税に関する問題
空家に関する固定資産税は、所有者が負担することになっています。つまり、空家を相続した相続人が所有者となり、その相続人が固定資産税を負担することになります。しかし、名義変更をせずに所有権を移転しないままにしている場合、固定資産税の請求書が被相続人(亡くなった登記簿名義人)の名義で届くことになります。相続人の全員が固定資産税を支払わない場合、税金滞納の罰則金が発生する可能性があります。また、税金滞納が長期化すると、差し押さえなどの強制執行手続きが取られる可能性もあります。
二つ目の問題:建物の維持管理に関する問題
空家に関しては、建物の老朽化や草木の伸び放題など、さまざまな問題が発生する可能性があります。建物が老朽化し、倒壊するような事態になると、周辺住民に危険を及ぼすことになります。また、草木が伸び放題になると、周辺住民に迷惑をかけることになります。そのため、所有者は、建物の維持管理や草木の剪定などを適切に行うことが求められます。しかし、名義変更をせずに所有権を移転したままにしている場合、建物の所有者が誰なのかが明確でなくなり、建物の維持管理や草木の剪定などが行われない場合があります。
三つ目の問題:所有権の喪失に関する問題
所有権を持つ者は、所有権を放棄する意思がない限り、その物件を自由に管理・利用することができます。しかし、名義変更をせずに所有権を移転したままにしている場合、所有権の喪失につながる可能性があります。具体的には、所有権を移転した相続人が亡くなった場合、その相続人の遺産分割が行われる際に、空家を相続したことが分からずに所有権が放棄されてしまうことがあります。また、所有権が放棄された場合、その物件は所有者不明物件となり、行政の手によって処分されることになります。所有者不明物件になることは、その物件の価値を低下させるだけでなく、行政の処分費用を増大させることにもつながります。
以上のように、名義変更をせずに所有権を移転したままにしておくことによって、固定資産税や建物の維持管理、所有権の喪失など、様々な問題が生じる可能性があります。行政の立場からは、これらの問題を回避するために、相続人は所有権の移転後、早急に名義変更手続きを行うことが求められます。また、行政は、所有者不明物件の発生を防止するために、所有者不明物件の処分に関する取り組みを行っています。しかし、所有権の移転後に名義変更手続きを怠ることによって、行政の手間や費用が増大することは避けられないため、相続人は名義変更手続きを早急に行うことが望ましいと言えます。
相続登記は、2024年4月1日から義務化 され、不動産の所有者に相続があったときは、相続により不動産の所有権を取得した相続人は「相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内」に不動産の名義変更登記をしなければなりません。
しかも、相続から2年以内に相続登記申請しなければ10万円以下の過料が課せられることとなっておりますので相続登記は早めに対策していただければと思います。