経営理念浸透のためのポイント
企業理念を策定していると、「お客様第一」という言葉が候補に挙がることがあります。
確かに、「お客様を大切にする」「お客様の期待に応える」という考え方は、会社にとって大切なものです。
ところが、ある会社では、「お客様第一」という言葉を使うことをやめました。
理由を尋ねると、経営者はこう答えました。
「それは、当たり前だからです」
企業理念には「当たり前のこと」を書いてはいけないのでしょうか。
「当たり前」そのものが悪いわけではない
私は、そうではないと思います。
大切なのは、その「当たり前」を、どこまで自分たちの言葉にできるかということです。
「お客様を大切にする」は、多くの会社に共通する考え方です。だからこそ、そのまま理念にすると、「正しいことは書いてあるけれど、この会社らしさがあまり感じられない」と思われてしまいます。
一方で、
「困ったとき、最初に思い出してもらえる会社になる」
「お客様の期待を、一歩だけ先回りする」
といった言葉なら、同じ「お客様を大切にする」という考え方でも、その会社ならではの姿が見えてきます。
理念は「正しい言葉」より「その会社らしい言葉」
企業理念は、正しい言葉を並べることが目的ではありません。
「その会社だからこそ言える言葉」を見つけることが大切なのだと思います。
そして、オリジナリティのある言葉には、もう一つ大きな意味があります。
それは、「覚えてもらいやすい」ということです。
覚えてもらえる理念は、印象に残る
立派な言葉でも、どこかで聞いたことのある表現では、「いいことが書いてある」で終わってしまいます。
しかし、少し意外だったり、その会社らしい表現だったりすると、「あの会社が言っていた言葉だ」と記憶に残ります。
企業理念は、額縁に入れて飾って終わるものではありません。
従業員が日々の仕事の中で思い出し、お客様や取引先からも「この会社らしい」と感じてもらってこそ、理念は生きた言葉になります。
「珍しい言葉」ではなく「自分たちの言葉」
ただし、「珍しい言葉で作ればよい」ということでもありません。
大切なのは、奇をてらうことではなく、その会社の歴史や経験、経営者の想い、従業員に大切にしてほしい価値観などから、自然に生まれてくる言葉を使うことです。
きれいな言葉より、自分たちの言葉。
誰にでも当てはまる言葉より、自分たちにしか語れない言葉。
「お客様第一」を書かなかった会社が教えてくれたのは、理念とは「当たり前のことを否定するもの」ではなく、「当たり前の先にある、その会社らしさを言葉にするもの」という考え方です。
「この言葉は、本当に私たちの会社らしいだろうか」と問いかけてみる。
そこから、会社の個性が伝わる理念が見えてくることがあります。
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