昔の大工さんのような仕組み
子どもの食卓
私の家族は祖父とお袋の3人暮らし。部屋は、和室が二部屋と土間の炊事場があるだけ。お手洗いも風呂も外でした。祖父は炊事場の端をカーテンで仕切って寝台で寝ていました。
私は広縁と押入れがある八畳ほどの和室に、お袋と二人で寝ていました。と言ってもお袋は二交代制の会社に勤務していたので、月の半分は一人で寝ていましたが、夜中に怖い夢で目が覚めると祖父の寝台に潜り込んでいました(^o^)
今でも懐かしいと思えるのは、おくどさん(かまど)がある炊事場で、家族で話す時間。三人がひとつのテーブルを囲んで、色んな話をしながら食事をする。
そこには笑いがあったり、祖父の昔話があったり、食べ方を注意されたりと、子どもの私にとっては食卓がプチ社会でした。
これが幼い頃の家族のカタチでした。
住環境と習慣
同じ食卓で顔を合わせ、食べ物の好き嫌いや人間模様のことなどを家族間で共有し、子どもはマナーを覚えたり、愛情を感じて安心や自信を持って、徐々にアイデンティティを形成してゆきます。
子どもが学校という社会に出る前に、家庭で安定したココロを育むことが大切です。幼い頃は親と一緒に食事していた子どもも、やがて一人で生活するようになると、自分の好きなものを食べたりファーストフードばかりを食べるようになるでしょう。
でも、家族で食卓を囲んだ経験があると、そのような食習慣に戸惑いや罪悪感が芽生えます。それは子どもに家族と一緒に食事した土台があるからこそです。
やがて子どもは家庭を持ちます。子どもの頃に過ごしたカタチと、自分の家族のカタチが融合し、新たな家族のカタチとして受け継がれていきます。
子どもが社会人の仲間入りをするのは、学校を卒業して就職した時ではありません。学校というコミュニティは、子どもにとっては社会そのもの。子どもが社会人の仲間入りするのは学校に入学した時から始まります。
学校では、人間関係の問題、能力の問題、環境の問題、家庭の問題、差別の問題など、社会人と同じような様々な課題や問題に向き合いながら過ごすことになります。
名門校に入るのも大切かもしれませんが、まず学校というプチ社会で、子どもが一人でやっていける土台ができているかどうか。様々なストレスを抱えても安心して帰れる家庭はとても大切です。
家族のカタチ
私は住まいの設計と、新築・リフォーム計画のコンサルティングに携わって気付いたことがあります。それは家族のコミュニケーションがギクシャクしている原因のほとんどは、住環境と家族の生活習慣にあるということ。
家族のカタチは親子関係だけではなく、住環境が大きく影響を及ぼします。ゾーニング(部屋の配置)や動線で家族の関係性は変わります。住環境による親の生活習慣を、子どもは幼い頃から観て育ちます。
出したモノを片付けない親の生活習慣を観て育った子どもは、片付けが苦手になります。家族が揃って食事をしない家庭で育った子どもは、一人で食べる方が落ち着くようになります。
このように子どもはしっかり親の習慣に習い、その背中を観て同じ体験をします。このように考えると、これからの親子関係は、それぞれの親子関係・住環境・生活習慣の3つをトータルで学ぶ広角的なサポートが必要になってくると考えています。
【小さな実践】
親子関係に住環境と生活習慣がどのように影響しているか書き出してみる